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じっくりと言葉の向こう側を考えると・・・「特別講義」あっという間に読める、超ショート怪談。

あっという間に読める、超ショート怪談。でも、よ~くその場面と背景にあるものを想像してみると、じわっと何かが迫ってくる。長期休暇の時期なると行われる特別講義。その内容によって受講生の数は変わる。だが・・・


「特別講義」

春休みの第四木曜日に行われる特別講義、
「古代バビロニアの失われた文化における霊魂との対話」は、
近年流行りのスピリチュアル系の授業にもかかわらず
毎回受講生がゼロだ。

その理由は講義時間の長さにある。


夕方6時に始まり、翌日の朝6時まで・・・休憩なしの12時間。

しかし、
受講生がいなくとも、講師は毎回熱心に講義をする。

これまでにも「無意味だ!」と言って
この『ひとり講義』を止めた職員が三人いた。


一人目は、趣味の釣りに出かけて、岩場で足を滑らせて転落、数日後に遺体が海岸に流れ着いた。

二人目は、学生食堂の改築工事中、点検に入った冷蔵庫のドアが閉まり、
翌朝まで誰にも気づかれずに窒息死した。

三人目は、旧校舎の避雷針を修理している時、突然雷雲が発生して、雷が直撃、即死だった。

それ以来、止めようと言い出す者はいない。
もちろん学生も講師も登校してこないし、事務局の職員たちも決して残業をせず家路を急ぐ。

そして講師は、講堂で一人ぶつぶつと古代バビロニアの言葉で講義を続ける。
窓という窓のカーテンを閉じ、匂いのきついお香を焚き込み、
机と椅子で、巨大な魔法陣を組んで・・・。

                                                    おわり



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