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「敗北の意味」・・・墓標に刻まれたものは。と企業ドラマ。


先人の魂に触れるとき、若者は雄々しく生きる道を学ぶ。

旅での出会いで生まれた物語の数々を紹介していきます。


『敗北の意味』

私は、切り立った山の狭間にある港、アラスカのスキャグウェイにやって来た。

美しい雪山に囲まれ、おだやかな入り江の奥にあるこの静かな港町に
世界中から熱い情熱が集まった時代があった。

19世紀末。スキャグウェイから800キロの山中に金鉱が見つかり、
時ならぬゴールドラッシュが起こり、
一攫千金を求める男たちはこの港から山に入っていったのだ。

だが、険しい山の中で栄光を掴むものは多くは無かった。


「ここには、当時の夢を追って命を落とした人々が埋められています」

現地のガイドの計らいで、当時から使われている共同墓地を訪ねることが出来た。

木漏れ日を浴びて立つ墓標の中には、日本語で書かれたものもある。
いかなる思いを抱いて、故郷を遠く離れ、力尽きたのであろうか・・・。

そんな私の気持ちが伝わったように、ガイドは話を続けた。

「彼らにとって、命を落とすことは敗北ではなかったのですよ。
 金を諦めること、ただそれだけが敗北です。
 だから、最後まであきらめなかった彼らは、誰一人後悔せず、
 きっと満ち足りた人生を送ったに違いありません」

つまり彼は、『夢に挑め』と言いたいのだ。

いや、立ち並ぶ墓標たちが、
日々漫然とした人生をおくる者たちに伝えろと訴えているのだ。

港を訪れると、見知らぬ世界に挑んだ熱い魂が語り掛けてくる。


                      おわり


夢に挑め、とは誰もが一度は聞いたことがあるセリフだと思います。
最近では流行りの企業モノのドラマなどで、似たようなセリフがよく聞かれますね。
でもそれは、一見夢を追い求める人々を描いているように見えますが、実際には些末な足の引っ張り合いをサスペンスフルに描いているものも少なくありません。まあ、それでもとても面白く、つい見てしまうのですが・・・
ふとした瞬間に、ものすごく内向きであると感じてしまいます。

舞台が日本の銀行や中小企業なのですから当然なのでしょうが、大きなお金を動かしても、ロケットを飛ばしても、画期的なアプリを開発しても、それが今の世界ではどうなのか?という疑問が湧いてきます。
もしかしたら原作では丁寧に描かれているのかもしれないのですがね。

今の日本では、世界を相手に、未来に繋がる本当の夢を追うような物語は、
好まれないのか、それともリアリティを感じてもらえないのでしょうか。

もしそうなら、それはこの国にとって、とても不幸な事なのかもしれません。

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