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オキナワンロックドリフター

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2022年6月の記事一覧

オキナワンロックドリフターvol.108

大学生活一年次前期は手探りの毎日だった。
必修科目である環境学概論は睡魔と格闘しながら前列でノートをとり、同じく必修科目である宗教学では、聖書を読んでいくうちに、これは人類史最古の昼メロだと判明し、覚えやすいようにオリジナル紫を聖書の登場人物にキャスティングし、聖書のダビデ王やヨブ記のヨブの悲嘆やロトの塩の柱の話を絵にして覚えたら、担当講師である女性の牧師さんにノートの絵がばれて、「絵で覚えてくれ

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オキナワンロックドリフターvol.107

最終日は慌ただしかった。早々とチェックアウトし、バスの中で熟睡。
それでもまだ眠いようでこんこんと帰りのスカイマークエアラインで眠りについた。
帰ってきた私を見て、祖母が放った第一声は「なんであんたそぎゃん太ったと!」だった。
私は新しくできたお弁当屋さんのお弁当が美味しくてと、目をそらしながら言い訳し、祖母の矢のような叱咤をかわした。
本当のことを言えるわけないじゃないか。
私は、15日の夜の俊

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オキナワンロックドリフターvol.106

とうとうこの時間がやってきた。よし、腹をくくり、いざパルミラ通りにあるFMコザまで行かん。
悲壮感に満ちた私の脳内では『必殺仕業人』の出陣曲である『いざ、行かん』が流れる始末だ。
ばくばくと緊張した状態の私を出迎えたのは花さんだ。花さんから概要をレクチャーされるものの私の緊張は解けなかった。あまりに私が固まっているものだから見かねた花さんは途中までならという条件でラジオに参加されるという。頼もしさ

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オキナワンロックドリフターvol.105

まるさんを見送り、二度寝した。ふとんにくるまりとろとろと微睡み、コザクラ荘スタッフの野口さんがくるまで惰眠を貪った。
起きたらブランチだ。そういえば、まだビクモンに行ったことがないなと気づき、ビクモンでハンバーガーを食べることにした。ビクモンとは、かつて沖縄にあったハンバーガーチェーンだが、当時既にコザは一番街に最後の1軒が営まれていたハンバーガーの店である。(2008年秋に閉業。それにより、ビク

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オキナワンロックドリフターvol.104

その夜はコザミュージックタウン音広場にて無料ライブが開催されていた。

Mr.スティービーさん 、沖縄在住のアメリカ人によるバンド“Shima guys”.....そして、トリは8-ball ではなくて、日曜の夜に7thにライブをやっているSunday night project。
レイ・レオン兄弟が8-ballとは別に組んだユニットだ。さて、どんなものかお手並み拝見。その前に音をいじっているレイ

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オキナワンロックドリフターvol.103

タフ&ココナッツに戻り、眠りについたものの、その日はやけに寒くてなかなか寝付けず、しかもとなりのドミトリールームは学生が宿泊していて、彼女らのお喋りが騒がしくて一睡もできなかった。

3月21日、早朝。 結局、寝付けなかったので、朝早く、お土産の残りをキッチンの皿に入れ、タフさんに書き置きしてタフ&ココナッツを去った。
前日に1度道に迷ったからなのか、すんなりと迷わずに安慶田までたどり着けた。

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オキナワンロックドリフターvol.102

15日にコザにてかなりのダメージを受けた私は、元気をもらおうと17日にカリミさんに会おうとするも、カリミさんの体調不良で会うのは20日に延期になり、落胆した。
仕方なく、栄町市場のねーねーたちにカリミさんへの伝言とお土産を託した。
そして20日。その日は夜に鼓響館でチビさんと久々の対面をするので時間は限られている。

朝早く宿を出て出発するも道に迷って引き返して30分のロス。

途中、食料品店があ

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オキナワンロックドリフターvol.101

出発時間まで仮眠をとった。短い時間だが疲れはかなり取れていく。
タフさんの奥様であるミユさんに呼ばれて目を覚まし、着替えてタフさんの車に乗り込む。最初は金武社交街へ。

移動中、タフさんとたくさん話をした。宿のこと、ネットのこと、歴代ココナッツムーンスタッフの皆さんのこと、そして、清正さんのこと。

金武社交街に到着。以前より小綺麗にはなっているが、失礼ながら、無理やり再開発したスラム街のような佇

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オキナワンロックドリフターvol.100

6人のサインが書かれたLPと、正男さんから頂いたマフラーを抱きしめて私はぽろぽろと泣いた。
夢は叶った。けれど磨耗し、失ったものも多い5年間だった。
結局、私のしたことはなんだったのだろう。
ただの無鉄砲ではないのだろうか。
ファンと名乗って傍若無人に振舞って秩序を乱し、勇気と無謀を履き違えて事態をもっとひどくしているのではないかという疑問がわき上がった。
達成感よりも虚脱感の方が大きかった。

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オキナワンロックドリフターvol.99

3月18日、ついに夢が叶う。
しかし、その1週間前なら期待にそわそわしていたのにその当日、いや3月15日以降ははやる思いよりも逃げ出したいほどの重圧感と緊張、そして暗澹たる気持ちの方が大きかった。
なんて約束をしてしまったのだ。私は。
苦節11年。再燃して5年間、来沖6回にわたって集めたサインがコンプリートするチャンスができるのはうれしいがそれよりも私のメンタルの耐久値はゼロに等しかった。

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オキナワンロックドリフターvol.98

スティービーさんの読み聞かせライブは正直な話、客はまばらだった。
スティービーさんとサポートメンバーでキーボードのグッシーさんがお客さんと談笑されていたので挨拶した。
「まいきー!どうしたのー!元気ないね!」
私はよほど顔色が悪いのだろう、様子が違うのを直ぐに察知された。
「本当に。この前会った時と違うよー」
グッシーさんにも悟られた。
そうこうしているうちに開演時間になったので、私は席に座ること

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オキナワンロックドリフターvol.97

会食が終わり、久住さんから送っていただき、ミュージックタウン前にて降ろしていただけた。
再び、ミュージックタウン前のオキナワンロックミュージシャンたちの写真展をしげしげと眺める。
すると、男性から声をかけられた。中央パークアベニューにあるライブハウス“Web Space”のマスター、ナガイさんだ。
「どこかで見た後ろ姿だと思ったら!やっぱりコサイさんだね」
私はナガイさんと立ち話をしながら、展示さ

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オキナワンロックドリフターvol.96

寒さから早めに眠りについたものの、やはり俊雄さんとコーキー夫妻の一件を引きずり、眠りは浅く、身体もだるく、微熱がした。
しかし、今日は久住さんとのランチ、スティービーさんの読み聞かせライブがある。ノロノロと起きて顔を洗おうとして水道の蛇口を捻ると水が赤茶けていた。
仕方ないので洗顔シートで顔を拭き、だらだらと着替えて街を歩いた。
コザの街は『アノコザ』というアートイベントが行われ、街のあちらこちら

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オキナワンロックドリフターvol.95

さっちゃんとのドライブは幾分か心を軽くしてくれた。
やけに綺麗な夕焼けをさっちゃんの車から眺めながら、最初は泡瀬周辺をぐるりとドライブし、海や、ゴヤ十字路等の街並みとは違う泡瀬の街並みを見た。
私の情緒の不安定さは明らかにわかるようで、さっちゃんは何度も「大丈夫?」、「車止めようか?」と声をかけてくれた。
そして、さっちゃんお勧めの店、北中城村にあるミッドヴィレッジというレストランへ。
さっちゃん

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