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ぐん税ニュースレター vol.33 page03 -社会保険労務士の部屋から-

賃金のデジタル払いが可能になります!

スマホ決済が世に出てきて、特にPayPayなどはものすごいスピードで浸透しましたが、コロナ禍がそれに拍車をかけて、今ではあのQRコードやステッカーを見ない店のほうが珍しいくらいになりました。使い始めの頃はスマホ決済が楽しくて、買い物での決済はもちろんのこと、友達への割り勘の支払いや、外出先の子どもへのお小遣いの補填やらもできることに感動して、『こんなに何でもスマホ決済ができるなら、会社の経費や給与だってPayPayでいいんじゃないの?』と思ったものでした。

そして、満を持して(か、わかりませんが)2023年4月、いよいよ『賃金のデジタル払い』に向け、資金移動業者による厚生労働大臣への指定申請が始まりました。それに先立ち、『労働基準法施行規則の一部を改正する省令』が定められています。
ここで、労働基準法の第24条を見てみましょう。有名な『賃金支払いの5原則』について書かれています。

第二十四条 
 賃金は、①通貨で、②直接労働者に、③その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
 賃金は、④毎月一回以上、⑤一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(第八十九条において「臨時の賃金等」という。)については、この限りでない。

これが昭和22年(1947年)に定められた労働基準法の中の条文です。賃金の現物支給や中間搾取もあった当時の時代背景を思うと、①、②などの定めも納得がいきます。①通貨で、というのは、現物払いの禁止と共に、現代では『現金で』という解釈ですが、これについては40年後、昭和63年の通達で、労働者の同意がある場合には、労働者の指定する口座への振り込みも可能、とされています。そして更に37年経って、『指定資金移動業者のうち当該労働者が指定するものの第二種資金移動業に係る口座への資金移動』を選択できるように改正されました(余談ですが、デジタルなどというカタカナは条文中には使われていません)。

社労士試験では労働法について勉強しましたが、終戦直後(こういう言い方出てくるのも、私が昭和40年代だからですね(^^; )の法律は変わらないものの、施行規則や通達でどんどん内容が膨らんでいくので、実務的にはこれらにも細かく目を通していないといけない、と改めて感じました。
ところで、このデジタル払い、給与計算事務担当者としては、現金払い、銀行振込、デジタル払いが混在するようですと、あまり気が進みませんね。

厚生労働省ホームページより

社会保険労務士 高橋


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