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ぐん税ニュースレター vol.39 page04 -FP通信 Part①-

6月にNISAについて記事にしましたが、よくNISAと比較されるiDeCo(個人型確定拠出年金)について解説しようと思います。

NISAの記事

iDecoの概要とメリット

iDeCoはindividual-type Defined Contribution pension planの頭文字をとってiDeCoと呼ばれています。その名のとおり年金という扱いがNISAと性質が異なる点で、国が運営する公的年金(国民年金、厚生年金)とは別に任意で加入する私的年金です。簡単に言うと自分で金融商品等を運用し年金として老後の蓄えをすることです。iDeCoが個人型とあるように企業型というもの、いわゆる企業型DCというものもあります。企業型DCは福利厚生の意味合いが強く、毎月企業が掛金を拠出して従業員自身の投資判断で運用していく制度です。企業によっては企業が拠出する掛金に加えて従業員自身が掛け金を上乗せするマッチング拠出という制度もあります。企業型DCとiDeCoは2022年10月から併用できるようになっていますが、企業型DCでマッチング拠出制度を利用している場合はiDeCoとの併用はできません。

iDeCoの代表的なメリットとして節税効果(税制優遇)があります。まずiDeCoで拠出した掛金は全額所得控除されるため所得税と住民税の節税効果があります。運用によって得た利益も非課税です。受け取り時は課税対象にはなりますが公的年金控除を適用することができます。なお受け取り方法は一時金として受け取ることもできるため、その場合は退職金所得控除を適用することができます。

掛金の限度額

加入資格者によって掛金の限度額が異なります。自営業者の場合は月額6.8万円、専業主婦(夫)だと月額1.3万円までとなっています。会社員(や公務員)についてはやや複雑になりますが、会社に企業年金がない場合は月額2.3万円、企業型DCと併用する場合は月額2.0万円、DB(確定給付企業年金)に加入している場合は企業型DCの加入有無に関わらず月額1.2万円、公務員も月額1.2万円までとなっています。

手続きの流れ

①まずは金融機関を比較検討するところからスタートです。銀行や証券会社など様々な金融機関でiDeCoの口座を開設することができます。基本的には取り扱っている金融商品や手数料、サポート体制で選んでいけばよいかと思います。NISAと同じく1人1口座までしか開設できませんので、自分に合ったところをよく検討して選びましょう。
②次に毎月かけられる金額と金融商品および配分を決めます。掛金は限度額を上限に毎月5,000円以上から1,000円単位で決められます。金融商品は大きく分けて元本保証型と元本変動型があります。元本は元手のお金のことです。元本保証型には定期預金と保険商品があります。これらはリスクが低い代わりにリターンも少ないのが特徴です。iDeCoの口座は手数料がかかりますので元本は保証されるもののリターンが少ないと手数料負けする可能性がある点に注意してください。元本変動型は基本的に投資信託になりますが投資信託には様々な種類があります。複数の種類を選ぶことでリスクを分散することもできますし、元本保証型よりもリターンを得られる可能性があります。あくまで可能性であり当然元本割れリスクもあります。
③ここまで検討したら金融機関に口座開設を申し込みます。希望の金融機関に必要書類を請求し必要事項を記入して提出しましょう。また身分証や印鑑等のほかに勤め先に在籍証明書類を用意してもらう必要があります。
④書類を提出し審査が完了したら口座開設となります。審査には1~2カ月程度かかります。口座開設となったら掛金の積み立てがスタートします。

NISAとどちらがよいか

ここまでの説明で、NISAとどっちがいいの?という疑問がでてくる方も多いと思います。前提としてiDeCoとNISAは併用可能なので両方すればいいと思いますが、どちらがいいかという点ついては個人の投資方針によります。iDeCoは年金ですので基本的に60歳まで掛金を払い出すことはできませんので長期的な計画が必要です。NISAは運用中でも投資方針を変更することができますし選べる株式も多くなります。制度上のポイントとしては税制優遇が異なります。iDeCoは冒頭に記載したとおり拠出時、運用時、受取時において所得控除を受けることができますがNISAは所得控除は無く運用益が非課税であることと受取時に関してはそもそも課税対象ではないという点があげられます。

iDeCoにデメリットが多いと言われる理由

私はiDeCoについてはかなり前に本で概要を勉強したのですが、今回の記事を執筆するにあたり改めて内容を復習しようとネットで調べたところ「iDeCo」と検索するとスグに「デメリット」というワードが候補で出てきて、その手の記事が多いことに驚きました。iDeCoをデメリットと考える人が多いということですね・・・。それにはいくつか理由があります。よく指摘されているのが60歳まで受け取る(掛金を払い出す)ことができないうえに途中解約ができないという点があげられます。さらに受け取りには10年以上の加入期間が必要ですので、50歳過ぎてから加入すると60歳になった時点ではまだ受け取ることができないということになります。加入時に決めた掛金で運用が続きますので急に現金が必要になった時などに対処ができない場合がでてきます。
ちなみに掛金の支払いが困難になった場合には年に一度だけ掛金を減額することができます。ただし当然節税効果も少なくなります。最悪の場合は支払い停止をしてこれまで積み立ててきた分のみで運用を続けることも可能ですが、支払い再開の際は再度加入申し込みの手続きが必要になり、当然停止期間の節税効果もありません。さらにiDeCoの口座には管理手数料がかかるという問題もあります。それにより運用益が少額な場合、元本割れのリスクがでてきます。
次にあげられるデメリットは価格変動による元本割れリスクです。これについては金融商品である以上避けられないと言っていいでしょう。リスクを分散するために先に記述した元本保証型も取り入れるとよいと思います。

投資は自己責任で行ってください。という月並みの言葉を置きつつ投資においてそもそもの話を次の記事でしていきます。

ファイナンシャルプランナー 原


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