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インフレ続くアメリカではPBの食料品・日用品を歓迎。安かろう悪かろうからの変化|週刊小売業界ニュース|2024/7/15週

2024年7月15日~7月21日のアメリカの最新ニュースから、
最近の小売り業界について紐解いていきましょう。

今週のおさらいに、ぜひどうぞ!


2024年上半期の米市場では、プライベートブランド商品が販売数・売上高ともに過去最高を更新 | Retail Dive

<記事の要約>
今年上半期のプライベートブランドの販売数と売上高の伸びは、ナショナルブランドを上回った。ウォルマート、ダラー・ジェネラル、ターゲットはいずれも自社プライベートブランドの強化を見せており、従来のスーパーマーケットと、量販店やディスカウント店との競争が激化している。


2021年半ば以降、高い水準でインフレが進行する米国。

2024年6月の消費者物価指数は前年同月比で3.0%の上昇と、
徐々にインフレ率の低下傾向があるとの見立てがありますが、
物価高で日常消費のやりくりに支障が出るのは日本と同じです。


アメリカの消費者が低価格商品を切望しているのを商機に、
大手小売りがプライベートブランド(PB)の拡充に積極的です。

Walmartでは今年4月、若年層向けのPB食品「bettergoods」を発表。
約300品目を包摂し、価格帯は2~15ドル、うち7割が5ドル以下です。

Targetは今年2月、約4,000もの日用品を包摂するPBブランド
「deal worthy」
を展開し、最寄り品の囲い込みを狙います。
一部の商品は1ドル以下で、大半の商品は10ドル以下となっています。


これらPBブランドの展開は、物価高に苦しむ顧客からも好印象のようです。

「インフレ傾向が続くなかで、多くの消費者にとっては、ブランド名よりも価格のほうが重要になりつつある」と、ニューメレイターは述べている。「最近の数カ月を見ると、『価格のほうがブランド名より重要だ』と答えた人の数は、あらゆる所得層で増加している
高所得層の3分の1以上にあたる39.5%、中所得層でも38.8%が、節約の手段としてプライベートブランドの商品を購入している。ニューメレイターも、「出費を抑えるため、中および高所得層でも、プライベートブランドの商品を購入する人が増えている」と指摘している。

食品価格の高騰が収まらない米国で、プライベートブランドが躍進』(Forbes)


比較的、所得が高い消費者層であっても、
従来購入していたものより低価格のものを選択するという現象は
「トレードダウン」と呼ばれ、近年の傾向として現れています。


PB商品の拡大による消費者行動の変化の結果、
2022年度のPB商品市場(食品・非食品を合算)は昨対11.3%増と、
ナショナルブランド市場の2倍の伸び率となりました。

アルディ、ウォルマート、アマゾン・・・
米国で急拡大する PB の見逃せない新潮流

(Diamond Chain Store)



またこれまでは「PBはナショナルブランドの安かろう悪かろう版」
というイメージが多数派だった感がありますが、今は違うようです。

マーケティング調査企業、Nielsen IQの調査によれば

  • 回答者の62%が、価格が安いので新しいブランドを試してみたいと答えています。また、36%の消費者が、価格が安いからいつものブランド以外を買う気になると答えている一方で、品質が信頼できないから一番安い商品を買うのを避けると答える消費者(16%)もいる。

  • 実際、最も経済的に余裕のある世帯でさえ、プライベートブランド商品に対して最も好意的な意見を持っており、米国の高所得者(10万ドル )の 72%が、プライベートブランドはナショナルブランドの良い代替品だと思うと答えている

  • アメリカの若い買い物客の間でプライベートブランドに対する認識が変化していることを見てみよう。調査対象となったZ世代とミレニアル世代の70%が、プライベートブランドはナショナルブランドと同じくらい優れており、より高い金額を支払ってもいいとさえ答えている。団塊の世代とは異なり、若い消費者はプライベートブランド商品に対して、退屈だとか、味気ないといった先入観を持っていない。



<担当者からの一言>
プライベートブランドといえば、味や品質はナショナルブランドにおとるが、それよりも出費を気にする層に向けた商品展開だと、昔からの体験で無意識に考えてしまいますが、今後の消費の中心を担ってゆくミレニアル世代およびその下の世代は、ナショナルブランドと同等のフラットな目線でプライベートブランドを見ていることに驚きました。
ただ確かに、日本でも各コンビニが自社ブランドとしてOEM製造したお菓子などを展開していますが、OEM製造元がナショナルブランドを出すようなメーカーだったりするので、ナショナルブランドが棚を席巻し始めた時期と同じ感覚で見ると、実態を見過ごすことを再認識しました。



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