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2022年12月の記事一覧
【詩の翻訳】あと片付け/アントン・ヴィルトガンス
あと片付け
赤々と燃える炎をなして秋の森が燃えている
秋が森に火をつけたのだ
暗い山頂が丸くなっているところに、
焔が並び合い、びっしりと群がっている。
雲は煙のように立ちのぼる、
たくさん散らばった薪の山から。
そして冷たく厳しい風がハアハアと
鋭い息で火を吐く。
そのとききしむ枝葉から
いくつもの葉が火花のように飛び散り、
なおもほのかに光っている、葉が
白い大地に沈み込み、霜でぐっしょ
【詩の翻訳】冬になって/クリスティアン・モルゲンシュテルン
冬になって
湖には皮が張って、
ほとんどその上を人が歩けそう。
そこに大きな魚が泳いできて、
鼻をぶつけてしまう。
君は小石を手に取って
湖の上へ投げる、するとガチャン——
カツン——カツン——カツン——ツルル。
わあ、いい感じの小石だ!
小石は小鳥がさえずるみたいに鳴って、
小さなつばめが飛んでいるみたいに動く——
でも結局僕の小石は
ずっと遠く、ずっと遠く離れた湖の上に転がったままだ。
【詩の翻訳】冬/ヴォルフガング・ボルヒェルト
冬
いま赤い郵便ポストは
白い帽子をかぶってる、
斜めに、キザに。
多くの人が凍った道で
突然転がってしまった、
ふだんはしっかり立っていた人たちが。
でも雪はかすかに
奇跡みたいに
モミの木の上できらきらしてた。
蝶々たちはいま何の夢を見てるのかな。
Wolfgang Borchert: „Winter“, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Deuts
【詩の翻訳】冬のつぐみ/オダ・シェーファー
冬のつぐみ
青く、さまよいながら、
かすんだ霧の中で消えていった甘い声よ。
不安げに飛ぶ弱った羽は、
夜明け前のこうもりのよう。
暗闇の中で淡い色の黴が生え、
しめった毛皮が黒く染まる。
だから君は歌うんだ、明るい空を、
ポプラの香りを、こがね色の松やにを。
風は葉を破り、
雨は枯れた草の上に滴り落ちる——
それは見えない唇から響き、
フルートは霧のベールを抜けて
黄昏の夢と湿気の内に
あ
【詩の翻訳】雪の魔法/ルール・フォン・シュトラウス・ウント・トルナイ
雪の魔法
波立つ雪まじりの霧は野原の上を動いてゆく——
そこへ目を向けるような、確固たる点はない。
葉を落とした白樺は道の端にだけ
灰色がかって幽霊のように白い壁のまえに立っている。
雪片は静かに夢の中のように降りてゆき、
私は無言で果てしない空間中を歩き回り、
曙光から遠く離れて世界と時間が
私には大きな白い孤独に沈んでいくように思える。
Lulu von Strauss und To
【詩の翻訳】冬の夜には/フリードリヒ・ヴィルヘルム・ヴェーバー
冬の夜には
冬の夜にはパンがよく膨らむ、
というのも雪の下では種子が生き生きと芽を出しているからだ。
やっと春になってお日さまが微笑むときに、
君は感じるんだ、冬はなんていいことをしてくれたんだろうって。
なのに今、世界が君には味気なく空虚に思え、
君にとって日々は荒んだ厳しいものだ、
落ち着いて、移り変わりをよく見るんだ。
冬の夜にはパンがよく膨らむ。
Friedrich Wilhelm W
【詩の翻訳】クリスマスのショーウィンドウの前にいる子ども/マンフレート・ハウスマン
クリスマスのショーウィンドウの前にいる子ども
彼らが夢を見ていたときは、こんな感じで、
静かで遠くて、でも不思議と近かった。
今、夢は彼らのもとをあまりにも早く離れてしまった、
でも妖精はまだここにいる。
羽のついた車輪は動き続ける、
飾られた2本の蝋燭が赤々と燃える下で。
蝋燭の間で冷静に
牧人が彼の雌牛たちとぐるぐる回っている。
くるみ割り人形の王は噛む準備万端で、
欲望と怨恨で目をぎょ
【詩の翻訳】今夜も/エーリヒ・グリザー
今夜も
今夜も
車輪は駆けてゆき、火は炎々と燃え上がり、
一人の母の孤独な心臓は脈を打つ。
船は大海原をゆき、
明るく輝く電車はうなりをあげて
いくつもの街を過ぎてゆき、
熱を帯びた額の上を
看病する姉妹たちの手が優しく進む。
わが家のような部屋やあるいは広間の中の
いつも人々が祝いのために集まるところは、
晴れやかに照らされて、
ある人は外の夜の闇の中にいる。
ある人は通りをぐるぐると走り抜け
【詩の翻訳】クリスマス前の夕べに/ヴィルヘルム・ローブジエン
クリスマス前の夕べに
日暮れの静かな霧けむる野原、
雪を通してきらめく孤独、
そして奇跡のような穏やかな
クリスマスの平和があたり一面に。
ただところどころに、風と消えつつ、
ざわめきが世界を渡ってゆき、
かすかな鐘の音が
静かな野原じゅうをさまよう。
そして騒がしい日に起きてくださった
すべての奇跡が君にご挨拶、
君の心は童謡を歌い、
君は敬虔で善良な気分になる。
そして君の眼差しは輝き
【詩の翻訳】クリスマス/ヨーゼフ・フォン・アイヒェンドルフ
クリスマス
市場や通りからは人が消え、
どの家も静かに灯りがついて、
僕は物思いに耽りながら小道を歩く、
すべてが祝祭の雰囲気をまとっているようだ。
窓辺では女性たちが
色とりどりのおもちゃを敬虔そうに飾っていた。
大勢の子どもたちが足を止めて眺め、
そうしてじっと立ち止まって大喜びしている。
そして僕は城壁を出て
平野まで歩く、
崇高なる輝きよ、神聖なる慄きよ!
世界はこんなにも広く静かな
【詩の翻訳】クリスマスローズ/カール・ミヒャエル・キスラー
クリスマスローズ
高らかに響くヴァイオリン
とトランペット
がそれらを雪の中で驚かせた。
花開くように、
崇めるように
それらを天使の手が目覚めさせた。
白いバラ
は今、ありうる限り銀と煌めき
讃えて光り輝き、
敬意を表してこうべを垂れる、静かに、
妙なる夜を前に。
Karl Michael Kisler: „Die Christrose“, Hrsg. von Ernst Meyer-He
【詩の翻訳】羊飼いたちの詩節/ペーター・フーヘル
羊飼いたちの詩節
我々は夜にベツレヘムへ向かい、
野を歩き回って探したのだ
藁と粘土でできた、傾いだ馬小屋を、
犬たちの遠吠えに囲まれて。
そして朽ちた敷居へと突き進み、
子どもを見た。
雪は天窓を抜けて明るく漂い、
外は氷と風。
一匹の雄牛がただあたたかく息を吐いた、
母親の近くにある飼い葉桶で。
彼女の服は、彼女のヴェールはなんと貧しいことか、
彼女の手はなんと痩せていることか。
一匹
【詩の翻訳】善き力に/ディートリヒ・ボンヘッファー
善き力に
善き力に誠実に静かに囲まれ、
奇跡のように守られ、慰められて、
そのように僕はこの日々を君たちと過ごしたい、
そして君たちと新たな年へと向かいたい。
暮れゆく年はまだ僕らの心を苦しめそうだ、
重苦しい日々の悪しき重荷がまだ僕らにのしかかる。
ああ、主よ、僕らの追い立てられた魂にお与えください、
安寧を、その安寧のためにあなたは僕らをお造りになったのです。
あなたが僕らに苦しい杯を、