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【詩の翻訳】羊飼いたちの詩節/ペーター・フーヘル

羊飼いたちの詩節

我々は夜にベツレヘムへ向かい、
野を歩き回って探したのだ
藁と粘土でできた、傾いだ馬小屋を、
犬たちの遠吠えに囲まれて。

そして朽ちた敷居へと突き進み、
子どもを見た。
雪は天窓を抜けて明るく漂い、
外は氷と風。

一匹の雄牛がただあたたかく息を吐いた、
母親の近くにある飼い葉桶で。
彼女の服は、彼女のヴェールはなんと貧しいことか、
彼女の手はなんと痩せていることか。

一匹のロバが口を干し草の中に入れたまま、
いばらとあざみをのんびりと食べていた。
ロバは穏やかに飼い葉桶の敷き藁を引き抜いた、
おお、寒さ厳しい夜。

我々は杖のほかには何も持っていなかった、
羊もなく、自分の土地もなく、
上着はつぎはぎでほつれていて、
夜には暖かな壁もなかった。

我々はびくびくして口をきかずに立っていた。
羊飼いたちが、子どもよ、ここにいる。
そして我々は祈り、願った
道具や棃や雄牛を。

それから長らく立っていて、怒りを飲み込んだ、
というのも子どもは我々を見なかったからだ。
雄牛の角をつかみ、
ロバのそばで寝ていたのは子どもではなかったか?

松の木くずは燃え尽きた。
子どもは泣き叫び、眠り込んだ。
我々は野をさすらうために出ていった。
我々だけになったのだ!

この世界はこれでもっと良くなるだろう、
そう男が女に言った、
大工と作男と羊飼いのためにな、
男はそれをよく知っているのだと。

我々は疑わしくそれを聞いた——しかし喜んで。
多くの困窮に世界は耐えていた。
ひどく雪が降っていた。
茂みにも森にも星は一つも出なかった。

草、鳥、子羊と網と若者を
神は我々に封土として与えた。
大地は公平に分割された、
我々はそれを見たかったのだが。

Peter Huchel: „Die Hirtenstrophe“, Hrsg. von Ernst Meyer-Hermann[u.a.], Deutsche Gedichte für die Hauptschule, Frankfurt a. M.: Diesterweg,1966, S.30-32

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