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本とか読書とか。
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だれかの話

知らないことを知れば知るほど、自分は何も知らないことを知る。そしてまた知れば、自分の無知を知り、、この無限ループだ。 私は一生、「自分はぜんぜん知らない」と途方に暮れながら、知ることをやめないのだと思う。 本を読む一つの理由が、想像できる範囲を引き伸ばすことにあるので、知らないことが増えれば、比例して積読も増える。 最近読んでよかった本の感想をいくつか書きます。知らない誰かの世界を知りたくなったとき、おすすめです。 『世界はフムフムで満ちている 達人観察図鑑 』金井真

「そして誰もゆとらなくなった」

ちょっと前に読んだ、朝井リョウさんの新刊エッセイ「そして誰もゆとらなくなった」がおもしろかった。 過去二作のエッセイも外で読んだことを後悔するくらいおもしろかったのだけど(尿道カテーテルの部分は病院の待合室で読んでいたのでドキドキした)、今回も畳みかけるおもしろさよ…。何度も声を出して爆笑&によによ。 久しぶりに趣味100%の本を読めて気持ちよかった。深く呼吸できる感じ。 終始おかしみ溢れるエッセイで、基本は何も考えずにあははと読んでるのだけど、時折「確かに!」となる含

せっせと絵本を贈る

実家にあった200冊を超える絵本は、引っ越しに伴う断捨離の際にすべて私が引き取った。今でもちゃんと大事に保管している。 100冊くらいかなと思ってたら、ざっと数えて200冊を超えていた。本って数字で聞くと多く見えるけど、実物は意外と少なく見えるよね (見えない?) そんな絵本たちも、妹のお子という引き継ぐ相手ができた。ウキウキで、好きなだけ持って行っていいよ!と妹に話すと「え!?あれ全部もらったの!?てっきり数冊お気に入りだけ持ってると思ってた」と驚かれた。 本を溜め込

「シソンから、」

もうすでに2022年のベスト10冊に入る予感。読み始めて100ページで、高まる〜〜〜〜!となっていた。「シソンから、」チョン・セラン著。 読み終えたのは2月だけどいろいろ考えちゃって感想をうまくまとめられず、今に至ります。 ハワイとアメリカについての内容に沖縄と日本の関係が重なったり、朝鮮戦争と沖縄戦のことが重なったり。そんな沖縄もまた加害者としての側面もある…辛いけどそこも向き合わなければいけないことだと考えたり。 それでもやっぱりチョン・セランさん。 社会や歴史を見

中村文則さん3冊

去年は中村文則さんの本を読み始めた。前に少し書いたけど、ずっと作家中村文則が気になっていた。作品とご本人のギャップがとてもあると言われている人、「自分が暗いことで人に迷惑かけるのやめようと思ったんだよね」と言った人。 読んだ本は『自由思考』『何もかも憂鬱な夜に』『去年の冬、きみと別れ』の三冊。 中村さんもまた、ポジティブでは救えないネガティブを救ってくれるような作家さんだと思う。弱さを知ってなお「生きよう」と言える強さは、読む側に響く。今の世の中に中村文則さんがいてくれて

2021年の本ベスト約10冊

ドラマと同様に、2021年に読んだ本をなんとか絞って約10冊ピックアップしました。 社会人になってから、どんどん読書量が減ってきている。2021年はドラマを観る時間が増えたり、師走すぎて12月は1冊しか読めなかったりと、後期は思ったように読書が進まなかった。 それでも韓国文学は定期的に読めたし、語学・言語学関係や哲学など気になってた分野を読めたのはうれしい。今年は仕事の勉強が忙しくなりそうだけど、マイペースに読んでいこ。 2021年読了本:82冊(うち13冊マンガ)

買う本の選び方

推し本屋が営業を再開したので、お金を!使わせて!ください!!!!という気持ちで行ってきた。個人経営の書店で、選書が新刊と古本のどちらもツボなんだよ…。ときめく棚。 写真はそんな収穫。一冊はずっと探してた絶版本で、超ピンポイントなジャンルなので念のため伏せてます。 本を買うといえば、高校生くらいの頃からずっと選ぶときにやっていることがある。それは、平積みされている場合、一番上の本を買うこと。 多少よれたり破れていたりして、傷んでいても買う。多少光で焼けていても買う。汚れが

「水中の哲学者たち」

「どんな人がタイプ?」と聞かれたとき、「清潔感があってやさしい(寛容な)人」と答えることが多いけど、本当は心の中でもう一つ、「考えることをめんどくさがらない人」と呟いている。 でも実際には、ほぼ言ったことはない。この回答でわたしのめんどくささが滲み出る気がして、心に留めおく。 今まで好きになった人たちや仲良くしている友人たちは、趣味や性格はバラバラだけど、彼らの多くは考えることをめんどくさがらないなと思う。 わたしが「なんで◯◯なんだろう」「これの理由は◯◯かな」などと

「アンダー、サンダー、テンダー」

韓国文学にハマって1年と4か月が経ちますが、ちまちま読み進めて20冊になりました。 記念すべき20冊目はチョン・セランさんの「アンダー、サンダー、テンダー」でした。わたしが韓国文学にハマるきっかけとなった1冊目「フィフティ・ピープル」もまたチョン・セラン作品なので、ささやかな節目ですが、このタイミングで読めて嬉しい。そして、この読了をもって、日本語訳されているチョン・セランさんの書籍類は読破してしまった…。嬉しいような、惜しいような。でも、二作品が翻訳中らしいのでこれまた楽

「正欲」

朝井リョウさんの「正欲」を読んだ。 今まで感じたことのない感覚になったので、感想を書こうと思う。物語の内容にがっつり触れることは書いてないけど、ネタバレ敏感な方は注意です。 前評判を聞いていたのでおそるおそる読み始めたらあっという間だった。びっくりした。読んでる間中、自分の中にあるものを掬い取って差し出されているような感覚だった。私がだれにも言ってこなかった、言っても伝わらなかったことが、文字にして目の前に立ち上がっていた。自分の中で息をひそめて煮詰めていた言葉が、本の中で

「女ふたり、暮らしています。」

そう、わたしはずっと、こういう話が読みたかった!!!! 人生のパートナーとして友人を選んで、それを実行している人たちのエッセイ。 能町みね子さんの「結婚の奴」を読んだときも心強い気持ちになったし、阿佐ヶ谷姉妹の本もあるけど、自分とより共通点が多い人の体験談も読んでみたいなと思っていた。 結果、読めば読むほど、読んでよかったと思える本でした。 わたしも基本的になんでもひとりでできるし、ひとりの時間は必要だし楽しい。けど、一人暮らしをしてみて、人と暮らすほうが生活にハリが

本のこと2020

2020年は、例年と比べて読んだ本は少なめでした。 びっくりしたのは、ダ・ヴィンチのBOOK OF THE YEAR上位50冊(単行本)のうち、既読が一冊もなかったこと。13年間この企画をチェックしてきて、たぶん初めてのことだと思う。今年は自分の読書傾向変わったなと思ってはいたけど、ここまでとは予想外です。まず、小説を読む量が少なかった。エッセイとかルポ的なものが増えたし、韓国文学にハマったので、小説は小説でも韓国のものを読んでいたり。去年は韓国文学ブームを感じていたので、

一度だけ

人生で一度だけ、後頭部を鈍器でどんっとやられたような文章を読んだことがある。「頭を殴られたような」って比喩はこういうときに使うんだろうなと思った。  生まれて今日まで数千冊の本や漫画、ほかにも教科書や広告、SNSなどたくさん文章を読んできたけど、あんな体験は一度きりだけ。 それは大学時代、実習中に見つけた新聞のスクラップ記事だった。なんの気なしに手に取り読んだものの、脳天をガツンとやられてしばらく立ち尽くしてしまった。目の前がぼやけて、心臓もどくどくしていたのを覚えている

「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」を読んでのお気持ち供養

「表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬」「罪の声」「Creepy Nuts 武道館」これ全部、この順番で、一か月未満というスパンで摂取したエンタメ。 贅沢すぎる…。虚弱なエンタメ消化器しかもっていないので、胸がいっぱいで消化不良が起こっている。なので、順番は逆だけどnoteにぽちぽちお気持ち供養しています(合掌)これがラスト! 「表参道~」は単行本で読んでいたんだけど、書下ろし2本+DJ松永さんが解説と帯を書いていると聞いては、買わないわけがない。毎年100冊くらいの