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「そして誰もゆとらなくなった」

ちょっと前に読んだ、朝井リョウさんの新刊エッセイ「そして誰もゆとらなくなった」がおもしろかった。

過去二作のエッセイも外で読んだことを後悔するくらいおもしろかったのだけど(尿道カテーテルの部分は病院の待合室で読んでいたのでドキドキした)、今回も畳みかけるおもしろさよ…。何度も声を出して爆笑&によによ。

久しぶりに趣味100%の本を読めて気持ちよかった。深く呼吸できる感じ。

終始おかしみ溢れるエッセイで、基本は何も考えずにあははと読んでるのだけど、時折「確かに!」となる含蓄あるお言葉もありです。

例えば、なぜ大人は学生に旅行をすすめるのか、という問いに対する朝井さんの答え。

「様々に環境を変えてみることで、自分にとって本当に本当に大切なものがわかるからなのだ。」これを読んで、ほんとそうだ〜!と思った。

私も海外へ出たことで、生きていく場所の条件が絞れた。毎日食べても飽きないくらい食が合う、ふらっと一人で行ける距離に海がある、日本のエンタメにアクセスできる、太陽光が入る部屋、できれば畳がほしい、などなど。

他にも、バンジージャンプやら滝行の話などを読んで、私は刺激ジャンキーなのかもしれない…と自分の本質について考えさせられてしまったり、ペルーとボリビアの話は、行ったことある場所だからあるあるで読めたり。

にやにやあはは笑いつつ、ふっと真顔で考え事に思考が飛ぶ。特に後半ではその繰り返し。

不意打ちで解き放たれる「十二人の琴線ジャンジャラ鳴りまくり人間が集った。ヲタ十二楽坊。」とか「万年在宅人間 featuring 痔。」とか「せっかく気が触れているのだから」に、ジョイフルで何度も顔を伏せた。ひどいときは震えていた。やめてくれよほんと。(大好きです)

結婚式の余興や観覧席獲得のための応募、日頃のLINEのやりとりなど、直木賞をとる文才をいたるところで惜しげもなく発揮しているのすごいし、才能を生活に溶け込ませているところに感動する。生産性がなんぼのもんじゃい!豊かさとはこういうことでは!?

基本、正気になったら終わり、という雰囲気で脳を騙して進んでいく話が多いです 最高です。

本を読んだあとは、オンラインで配信された「没ネタ成仏トークライブ」も見ました。表に出せない激強エピソード満載で楽しかった。

エッセイを読んでトークライブを聞いて、写真って大事だな…をあらためて。

朝井さんの話は定期的に読みたいし聞きたいので、三部作といわずに四作目でも新シリーズでも…!ファンのエゴかもしれんと思いつつでも読みたい!!!!


そして何より、タイトルが同世代ゆとりとして刺さる。ゆとっててもゆとってられなくても、生活は続く、、なんとか生活していこう。

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