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「アンダー、サンダー、テンダー」

韓国文学にハマって1年と4か月が経ちますが、ちまちま読み進めて20冊になりました。

記念すべき20冊目はチョン・セランさんの「アンダー、サンダー、テンダー」でした。わたしが韓国文学にハマるきっかけとなった1冊目「フィフティ・ピープル」もまたチョン・セラン作品なので、ささやかな節目ですが、このタイミングで読めて嬉しい。そして、この読了をもって、日本語訳されているチョン・セランさんの書籍類は読破してしまった…。嬉しいような、惜しいような。でも、二作品が翻訳中らしいのでこれまた楽しみ!

本作は、高校時代を共に過ごした男女6人の物語。過去の記憶から、30代を迎えた現在へと繋がるお話です。映像を観ているかのような作品だったな。とあるシーンの文字の羅列は、映像がカラーで立ち上がってくるようで、本当に素晴らしかった。

ということで「アンダー、サンダー、テンダー」に出てきたセリフと、それを読んで思ったことを少し書きます。

直接的なネタバレにはならないけど、読む人にとっては展開を想定するヒントになるので、これから読む or 読みたい人は、以下を読まずに閉じちゃってください。まっさらなまま楽しんだほうがいいと思うので…!



「でも何だか、本棚が一つしかない家で育った人は、頭の中が健康なような気がするな」

感覚的にわかる気がした。本を読むと嫌でも情報が入ってくるし、新しいことを知る。それで知った気になり、理屈をこねくり回すのは健やかとは言えない。そしてまた、知らないことを痛感するのも苦しい。
でも、知るという行為には、自分を削って相手の痛みを減らす側面があると思う。知らないほうが幸せに生きていける、でも誰かを踏みつけながら…。どちらが健康かと言われたらよくわからない。


‪「結局、大人になればすごいことができるようになるのではなく、もともとやっていたことを本格的にするようになるのだろう」

就職したとき、今まで何気なくやってきたこととか苦手だけど頑張ったこと、それから子供のころに体験したことが、ふいに仕事に生きる瞬間があって、それがおもしろかった。でも、苦手や嫌なことは、社会人として暮らせるレベルをクリアさえすれば、あとは好きや得意をひたすら伸ばすのがいいなと最近思う。


「Tシャツコレクションは、その人について非常に多くのことを教えてくれる」

たしかに!と思った。わたしもTシャツコレクション見られたら、けっこうな趣味がバレる。


「二つのことを悟った。一つは、子供の時に頭角を現す分野が、その時はとても些細なことに見えても、後でほんとうに自分に合った仕事になり得るということであり、もう一つは、グローバル化とは、友達が地球のあちこちに散らばってしまうことなのだ」‬

これの一つ目はさっき書いた「結局、大人になれば〜」に通じるね。頭角を現すほどかはわからないけど、自分が人から褒められたり頼られる部分は、子どもの頃から得意なことだったなと気づいた。今の仕事を続けるべきかどうかを迷っているので、立ち止まって考えてしまう。
あと二つ目もほんとそうだ。住んでる土地柄もあるけど、車で会いに行ける友だちより、飛行機に乗らないと会えない友だちの方が多い。


「ずっとやり続けていれば、何かにつながる。手放したり、諦めたりしないでやっていれば、自分でも気づかないうちに何かになるんだ。だから、意味のないパスはないんだよ」

じんわり勇気をもらえた言葉。へこたれず、腐らず、手放したくないものや諦めたくないものは掴んでいようと思った。



読みたい韓国文学はまだまだたくさんあるので、読み進めます。読みたい本がたくさんある幸せ…。ただただ嬉しい。楽しい。

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