K-1後の世界〜Road to Reintegration〜那須川天心 vs 江幡塁戦の発表について、思う

2019年12月6日 20:28

2019年の大晦日のRIZINにおける、那須川天心 vs 江幡塁の試合が発表された。

とても嬉しく興奮するし、とても寂しく虚しくもなる。

江幡塁はKNOCK OUTでの試合でしか観たことは無いが、完璧に仕上げられた身体、強烈なロー、鋭く威力のある右ストレート、隙を見逃さない勝負強などが印象に残る、疑いようの無い軽量級トップクラスの選手だ。

同じく軽量級トップクラスの小笠原瑛作との名勝負は、色濃く脳裏に刻まれている。

その二戦ともに小笠原を退けていることからも、また、過去の実績からしても、江幡の実力は確かなものだ。

那須川天心は、今更説明の必要など無いスター選手だ。

この両者の対戦は、キックボクシングファンであれば待ちわびていたもののはずだ。

このカードが決まって、嬉しくないわけがない。興奮しないはずがない。

しかし、このカードの発表会見において、天心自らの口から、武尊戦の消滅が語られた。

『もう交わることはないだろう』

と。

両者は事あるごとに比較されてきたし、お互い意識もしてきただろう。

対戦の可能性について、時に明確に、時に匂わせながら、両者ともに口にしてきていた。

その可能性が、完全に潰えてしまったのだ。

双方ともに、闘いたかったはずだ。それが、なぜ、こんなことになってしまったのか？

天心派の言い分としては、Ｋ-1の運営が、武尊の旗色悪しと見て、Ｋ-1のベルトの価値を毀損させないために対戦を避けさせた、というものだ。

要するに、武尊が逃げた、ということである。

武尊派の言い分は、天心がＫ-1のリングに上がればよい、というものだ。

ただし、これは問題がある。関係者から漏れ出ずる話を総合すると、Ｋ-1は選手と独占契約を結び、契約締結後は、直近の試合から1年間は他団体のリングに上がれなくなるようだからだ。

これでは、天心はＫ-1のリングに立てるわけがない。

自らのホームのRISEのリングに上がれなくなってしまううえ、ONEなどの海外団体から、もっと良いオファーが来る可能性もあるからだ（既に来ているかもしれない）。

また、『直近の試合から1年間』という契約も、非常にタチが悪い。試合をすれば自動的に、拘束期間が延長されていくことになるからだ。選手のリングに立つ自由を奪う、人権問題に抵触している事項だとすら思う。

こういったことも踏まえると、個人的には、天心派の言い分に与せざるを得ない印象を持つ。

ただし、武尊本人が天心との戦いを避けているとは到底思えない。天心との戦いについて、かなりの覚悟、責任感を持って発言していると感じられたうえ、最近の武尊はトレーニングの質も良さそうで明らかに強くなっており、実際にヨーキッサダー戦などのように結果も出しているからだ。

フィジカルコンディションも60kg級にフィットしてきており、58kg以上の契約で戦った場合、武尊が勝つ可能性も充分あるのではないかと、個人的には見ていた。

詳細は省くが、天心陣営側から散々アプローチしたきたこの状態で両者の試合が成立しないのは、どうにもＫ-1の運営サイドの思惑が絡んでいるとしか思えない。

本当に素晴らしい選手の価値は、敗戦で損なわれることなど、無い。

何に躊躇し、何を恐れているのか？

選手とファンの気持ちを踏みにじって。

両者の拳が交わらないことがはっきりし、本当に悲しいし、やるせない気持ちになった。

2019年の大晦日のRIZINにおける、那須川天心 vs 江幡塁の試合が発表された。

とても嬉しく興奮したし、とても寂しく虚しくもなった。

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