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誠実な黒ユリ(短編小説)


白いユリの花、マドンナリリーは"純潔"の象徴。
それはあなたに対する私の想いにピッタリだった。

いつかあなたに贈った白いユリの花。
私の名前にちなんだその花を渡して、私だと思って大事にしてね。なんて少し痛々しかったかもしれない。

花のプレゼントって普通は逆だろ。あなたは照れ笑いながらも嬉しそうに受け取ってくれた。
やはりマドンナリリーに比べるとまだまだ不完全なのだろう私は、花瓶を用意していなかった。
しかしあなたはそんなことも笑ってくれて、一緒に似合った花瓶を買いに行く。

暫く経っても、花瓶には白いユリの花が生けられている。
花瓶があるのに何も花がないのは淋しいし、君がいなくなったようで不安になっちゃうんだ。
あなたは何度枯れても同じ白いユリの花を新調してくれているのだ。


*****


2人に枯れる日が来るなんて、考えられなかった。

あなたは私に、サヨナラ。と言う。
私にはその真意がわからず、あなたに何度も問い詰めた。
何度も何度も話し合った。あなたは何度も何やら説明口調で私を窘めたが、それは私の耳には意味を成して入ってはこなかった。

やはり全く理解できなかった。
あなたは埒があかないと私を追い出した。

それでも私は諦めない。
私はあなたに黒いユリの花を贈った。


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