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母よ

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母との思い出を綴っていきます。
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記事一覧

【勝手な詩】 洗濯物

【勝手な詩】 洗濯物

今日は晴れだ

僕は歩いてきた

母は洗濯物を干す

もう何十年と
繰り返す

寒さは遠のいた

洗濯物の乾きもいい

苦労をかけている

僕は母が転ばないように
見守る

あと何年続くだろう

母は
あと何回
洗濯物を干すだろう

洗濯物を干すのは
母の健康のバロメーター

こんな日々が
続くといい

いつかは終わるとしても

今日は洗濯物の乾きがいい

母はまだ生きている

今日は洗濯物がよく

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【勝手な小旅行記】 そば、産直野菜、温泉

【勝手な小旅行記】 そば、産直野菜、温泉

今日、私は母と一緒に、ちょっとした旅に出かけた。目的地は、車で1時間半くらいの距離にある、ガイドブックで母が見つけたおそば屋さん。途中、快適な高速道路をドライブし、会話を楽しみながら、私たちの期待は高まった。車は平日の割に多かった。

高速道路を降りて、山道を30分ほど走るとそのおそば屋はあった。

到着したおそば屋では、風味豊かなおそばを堪能。ここでのおそばは、何と言っても麺のコシと喉越しが絶品

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【勝手な詩】 母ちゃんの梅酒

【勝手な詩】 母ちゃんの梅酒

母ちゃんが
焼酎のパックを持ってきた

焼酎呑むと?


訊くと


漬けてたのが出てきた


言う

母ちゃんの梅酒だ

僕は
今日
もうやることも終えて

あとは
呑んでもいい時間だ

昔は
朝まで呑むほど
呑んでいた僕が
やっと
適量が
わかってきた

まだ
明るいが
呑んでもいいなら
母ちゃんの梅酒

呑もう

そして
早めに
眠ろう

明日も
そんなに
忙しくないし

もう
年末

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【勝手な詩】 いずれは

いずれは別れが来るだろう
母よ

いずれは別れが来るだろう
人生よ

いつも通りに
今日を過ごす

いずれは死ぬ
誰もが

そんなことを思いながら
タバコを吸う

自分という意識も
いずれは消えてしまうんだろうか

この
エネルギー体

しょうがないなあと思いながら
いずれは消えていくのだろうか

いずれは別れが来るだろう
母よ

そのときは
泣くだろう

初めて
あなたと出会ったときのように

ゴールデンレインボーなビール? 【幼少記】

幼い頃
新聞に
ビールのネーミング
の公募が載っていた

母はその公募に応募したらしい

結局
ビールのネーミングは

OURS(アワーズ)

に決定したのだが
OURS(アワーズ)の新聞広告に
応募作がたくさん載っていた

その中に
「私が考えたっちゃ」
と母が自慢げに僕に見せた

そのネーミングが

ゴールデンレインボー

だった

おさなごころに
僕は
恥ずかしくなってしまった

ゴールデン

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【詩】普通の誕生日

梅雨の中の晴れ間
洗濯をしている

いつものように

洗濯機を見ながら
炭酸水を飲んでいる

いつものように

この誕生日が
いつまで祝えるのだろう

普通の誕生日が
いいんじゃないか

劇的な誕生日じゃ
刺激が多すぎて

逆に何か
嫌なことが起こりそうだ

今夜も僕は
日記をつけるだろう

20年後に
振り返りたい

その頃に
洗濯機を眺めながら

今日のことを
思い出したい

何が普通なのかは

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【詩】赤飯と味噌汁

今日は母ちゃんの誕生日だ

母ちゃんの好きなものを食べよう

ケーキはあんまり好きじゃない

味噌汁おいしいね
赤飯おいしいね

お酒も少し飲もうかね

だいぶん苦労もかけたねえ

心配なこともあったねえ

まだまだ長生きしてほしい

母ちゃんの好きなものを食べよう

赤飯と味噌汁
そして少しのお酒

あとで背中も押そうかねえ

誕生日
おめでたいねえ

【詩】母

もうすぐ
母の日だ
僕は
赤玉ポートワインを
プレゼントしようかと
密かに
考えている

家族で
食事しようか
という
話にもなったが
母の
気分で
立ち消えになった

だから
せめてもと思い
僕の
渾身の
赤玉ポートワイン


どうやって
バレないように
買うか
考えている

男には飲ませるな

そんな懐かしいキャッチフレーズが頭をよぎる

あと
何度
母と
母の日を
迎えられるだろう

明日

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映画館にて

昨日
母と映画を観にいった

映画館の暗さは母の目では
階段も
見えづらかったようで
席にたどり着くのも時間がかかった

映画を観終え
少し明るくなった映画館の中でも
降りる階段が
見えづらかったようだった

ゆっくりでいいですよ

後ろに続く男性が言った

ありがたかった
ありがとうございます
と後ろの男性に返事をした

ちょっとしたことだけど
その一言のことについて
帰りのクルマの中で
ひとし

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【小旅行】唐戸市場行

【小旅行】唐戸市場行

朝10時に家を出て、山口県の唐戸市場まで行ってきました。
唐戸市場へ行くのは2度目です。
クルマで高速に乗って、約1時間半ほどかかりました。

まず、腹ごしらえしよう、と思いお寿司屋さんに行きました。
店の外には、人、人、人。
すごい賑わいでした。
学校が春休みだ、ということを考えていませんでした。
でも一緒に行った母がお寿司を食べたい、というので待つことにしました。

お店の前にある紙に苗字を書

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【母との思い出】#13

つい最近のことなのですが
ある有名な神社に参拝してきました。

圧倒されるような神社にお参りし、おみくじをひきました。

そこで僕がひいたおみくじと母のひいたおみくじが
まったく同じものだったのです。

母はそんなにこころ動いてはいなかったのですが、
僕はそんなことがあるだろうかと感激しました。

母はおみくじを神社に結びつけましたが、僕はこんなことは二度とないんじゃないかと思い、おみくじを持ち帰

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【母との思い出】#12

【母との思い出】#12

僕が幼い頃、母はよく
「お母さんは明日はもうおらんかもしれんからね」
とことあるごとに言っていました。

でもまだなんとか元気で生きています。
あの頃、淋しかったんだろうなぁ。
長生きしてください、母よ。

【母との思い出】#11

【母との思い出】#11

母が新聞のテレビ欄を見て言いました。
「この人は韓国の歌手ね?」

そこを僕が見たら、こう書いてありました。

ソウルシンガー。

分からないこともないですが、母よ……。

【母との思い出】#10

【母との思い出】#10

私が中学生の頃、土曜日の話です。

午前中だけの学校を終え帰ってきた私に、母は
「ラーメンの出前とろうか?」
と言いました。
「いいよ」
と答えた私に、母は出前を注文しました。

チャーシューメン、ひとつ。

土曜日の午後、チャーシューメンひとつだけの出前。
なんだか、虚しいような、悲しいような思いをしたことが忘れられません。