ソリューションを売るとは？

単純に物を販売する行為であっても、そこに意味づけをすることによって、売る姿勢や戦略が変わってきます。今回は、ソリューションを販売するということについて考えてみたいと思います。

例：苺を売る

さて、例として苺を売る場合について考えてみたいと思います。普通、苺を販売する際に、どんな形容詞を使って、買いたいと思う人に訴求するでしょうか？一般的に「甘くて、大きい、苺は、いかがですか？」といったことを言って訴求すると思います。では、この文言で販売した場合、どんな人に訴求していることになるのでしょうか？簡単に言うと、甘くて大きい苺を求めている人たちとなります。では、こういった人たちの目的は、何なんでしょうか？このお店に来る人たちの目的は、甘くて大きい苺を食べたいという欲求を満たすということであり、購入することによって目的が達成されるということが言えます。

では、例えば、ケーキ屋さんに苺を販売したい場合、同じ文言で販売しても同じように売れるのでしょうか？ケーキ屋さんの場合、より多くのケーキを販売するという目的があるため、まずは、大量に安く、そして安定的に仕入れることができ、さらに、ケーキを美味しそうにみせるために苺の見栄えを考えると想像できます。よって、大量に購入ができること、大量に購入した場合に一定の値引きがあること、安定的に販売してもらえること、そして、苺の発色や粒の均一性などが購入における重要な要素になると考えられます。そのため、もちろん、甘くて大きいことは良いことですが、このような要素は、一般の人に店頭で販売する時よりも重要ではなくなります。つまり、ケーキ屋さんの目的を達成するために解決すべき課題は、大量購入の実現、仕入費用の抑制、継続的な供給網の確保、そして、より多くのケーキが売れる要素になり得る見栄えの強化であり、その課題を解決する形で販売することが、販売の拡大につながると考えられます。

ソリューションを売るとは？

このように、購入する人たちが持つ目的を理解し、その目的を実施するために解決すべき課題に対して、解決策を提供し販売することが、ソリューションを売ることになります。そのため、ソリューションを売るためには、まず、どんな購入者がいて、そういった人たちにどんな目的があり、どんな課題を抱えているかを明らかにする必要があります。ただ、こういった考え方は、頭ではわかっても、実践することはなかなか難しいことです。市場調査等を実施することによって、統計的な情報は得られるかもしれませんが、実際の想いは人それぞれ異なることが多いため、結局の所、色々な仮説を立て、購入を考えてくれそうな人たちに対して、質問をすることによって、仮説を検証するしていくしかないと考えます。

先程の苺の例ですが、もし、より健康になることを目的としている人がいるとします。このような人は、常に十分な栄養素を摂取するという課題があります。よって、このような人に対しては、苺の持つビタミンの保有量の多さを伝えた方が効果的であると考えられます。また、お歳暮等の贈り物を送るという目的を持っている人がいるとします。この人は、受け取った人に喜んでもらうという課題がありますので、このような人に対しては、希少性の高いブランドであることを伝えることがより効果的だと想定できます。

しかし、店頭に立ち止まる人が、健康を気にしている人なのか、贈り物を探している人なのかは、見た目だけではわかりません。結局のところ、立ち止まった際に、質問をする等にて、目的および課題を聞いていくしかありません。もちろん、複数の種類の苺を置き、「最高糖度」、「贈り物に最適」、「最高のビタミンC保有量」といったようにそれぞれに、訴求するコメントを変えて、どの苺に興味を持つかによって、ある程度、目的を把握するということはできると思います。

ソリューションを売る時に重要なこと

ソリューションを売るということは、相手の目的および課題を知り、その課題を解決できるソリューションを提供することになります。よって、ソリューションを売るためには、まず、相手の目的および課題のヒアリングをする必要があります。相手の持っている課題が解決され、目的の達成に近づけることを理解してもらうことで、販売が成立すると考えられます。もっと端的にまとめてしまうと、ソリューションを売りたい場合、まずは、「聞く」行為から始めることが重要であると言えます。

今回の店頭での苺の販売の例の場合、苺の前で立ち止まる人がある程度、苺に対して興味がある人であることが言えます。しかし、実社会では、ソリューションを売るというセールスの行為の前に、ソリューションによって解決できそうな課題を持った人を探すというマーケティングの行為が必要となります。よって、ここで示したほど、単純なものではありませんが、ソリューションを売るということとは、どういったことかにフォーカスして、考えを書いてみました。