見出し画像

目標達成のための行動計画(アクションプラン)を考える際に有用なコーチングで利用されるGROWモデル

いくら素晴らしい目標を掲げたとしても、その目標達成に必要な行動計画(アクションプラン)まで考えなければ達成は難しいと考えます。有名なファシリテーションをベースとしたコーチングの方法としてGROWモデルがあります。このGROWモデルは、目標を具体化し、行動できる内容に落とし込む手法ですので、もちろん会社等の組織において、部門メンバーの行動計画を策定する際のコーチングとしてだけでなく、セルフコーチングとして、目標達成に向けやるべきことを具体化する方法にも利用できます。

行動計画の重要性とGROWモデルの有用性

目標達成における行動計画の重要性は、ネルソン・マンデラ氏の名言にて良く表されていると思います。

Vision without action is just a dream, action without vision just passes the time, and vision with action can change the world.
行動のないビジョンは、ただの夢、ビジョンのない行動は、時間の無駄、行動の伴ったビジョンによってこそ世界を変えられる。

このように、ネルソン・マンデラ氏は、どんな目標を掲げたとしても、それを実現する行動計画を考えなければ、それは、目標ではなく、ただの夢であると言いました。よって、目標設定を行うということは、目標の設定だけでなく行動計画の策定も含まれる必要があると考えます。

GROWモデルの良い点は、目標に対し、いきなり行動を考えるのではなく、まず、現状を認識し、目標と現状との間のギャップを把握し、その後、可能な選択肢を考えるというステップが間に入ることだと思います。現状を分析することにより、足りないことがよりクリアになり、さらに、実現性よりも可能性を重視し、取り得ることできる選択肢をより多く考えることで、より多角的に目標の達成に対する手段を考えることができるようになります。

GROWモデル

新年の抱負を例にGROWモデルを適用してみる

さて、なかなか行動計画の伴わない目標の代表格として、新年の抱負があると思います。年末年始と飲み会等会合が多く、太りがちなことから、今年こそ痩せると新年の抱負としてみては、結局何もできていないということも多いのではないでしょうか?今回は、新年の抱負として、「本をもっと読む」ということを起点にGROWモデルで自身に問いかけをして行動計画を策定してみたいと思います。

Goal(目標)

「本をもっと読む」というだけでは、どのくらいが「もっと」なのかわかりません。そこで、問いかけによって、具体化をする必要があります。以下は、自身に問いかけられる質問の例になります。

  • 本を読むことによって、何を期待しますか?

  • 何冊の本を読めばもっとと言えますか?

  • どういった分野の本を読みたいと思いますか?

  • どうやって読み終えた本の数を数えますか?

上記の問いかけに回答していくと目標が、「マネージャーとしての知見を広げるために、この1年間で、20冊のビジネスないしは歴史に関する本を読む。そして、今年、読み終えた本は、スマートフォンのメモ帳にタイトルと読み終えた日を書くことにし本数を計測する。」と具体的になります。多くの場合、問いかけに答えていくことで、自然に目標がSMARTフレームワークに沿ったものになると思います。

Reality(現状)

次に、現在の本を読む習慣について、問いかけをし、現状について、分析をしていきます。ここでは、以下のような問いかけが考えられると思います。

  • 最近読み終えた本はどんな本ですか?

  • 最近いつ、本を読み終えましたか?

  • 去年1年間で合計何冊の本を読みましたか?

  • いつも、どんな時に本を読んでいますか?

  • 毎週、何時間程度、本を読むことに時間を費やしていますか?

  • いつも、どのように本を選んでますか?

上記のような問いかけに答えることで、現在の本を読む習慣がわかってきます。もし、去年1年間1冊も本を読んでない場合は、一度、目標が妥当かどうか、考え直した方が良いかもしれません。なお、生活習慣の中で、例えば、通勤時間のすき間時間に本を読んでいる方の場合は、通勤の電車の中で30分本を読むことに費やしており、1日約1時間本を読む時間に費やしているという現状を把握できます。また、定期的に本屋に行って、読みたい本を探すのか、本アプリのランキングから見つけているのか等、どのように本を選んでいるかについても、現状を分析しても良いかもしれません。

Options(選択肢)

次に、目標達成のために、どんな行動(アクション)が可能であるかを考えます。個人的には、ここは、単純なブレーンストーミングの場として良いと考えていますが、アイデアを広げるためには、プロセスを考えると良いと思います。「本を読み読んだ本数を測定する」というプロセスには、「対象となり得る本の探索」、「本の選択(購入)」、「本を読む」、「読書の進捗の確認」、「読み終えた本の記録」等があると考えられます。よって、選択肢をリストアップする場合、これらの個々のプロセスにおいて、どんな行動があり得るかを考えてみると良いと思います。以下が、ここで考えられる選択肢(行動)の例になります。

  • 本のランキングを調べる

  • ある本の紹介サイトに定期的にアクセスする

  • 電子書籍アプリのウィッシュリストに読みたい本を記録しておく

  • 電子書籍アプリを利用し本を購入する

  • 定期的に本屋に通う

  • 朝起きたら、本を読む時間とする

  • 通勤時間のすき間時間を本を読む時間とする

  • 毎晩寝落ちするまで本を読む

  • ランチに一人で出かけ本を読む

  • 時間を本を読むことに費やせた日は、カレンダーにチェックを入れる

  • 毎日、読んだページ数を記録する日記をつける

  • 読み終えた後に読書の感想をブログの記事にする

  • 毎日、読んだ部分の内容を要約しツイートする

リストアップをしていくと、一つの目標を達成するだけにも関わらず、いろいろなアプローチの方法があり得ることが、分かってくると思います。

Will(意思)

先程の「Options(選択肢)」のステージにおいて、もし、実現可能なことだけをリスト化してしまった場合、選択肢のアイデアが保守的になってしまいがちです。そのため、やるやらないは別として、自由に発想をする方が色々な可能性に気づくことができるので、より良いと思います。そして、この「Will(意思)」のステージにて、実際に実行することを決め、その内容を具体化します。具体化の中には、いつ、どのようにというような内容が含まれます。以下が、意思を以ってやると決めたものの例となります。

  • 常に1つ以上の本がウィッシュリストの中に入っているようにする。

  • 常にインターネットの記事や会社の同僚との会話から出てきた注目の書籍に関してアンテナをはり、その中から興味を持ったものをウィッシュリストに入れる。

  • 毎週、電子書籍を立ち上げた際に、ビジネスと歴史のカテゴリの中のランキングを確認し、気になったものをウィッシュリストに入れる。

  • 次の本を読む際に、電子書籍のウィッシュリストから本を購入する。

  • 毎日、就寝前の1時間を読書の時間とする。

  • 読書をした日は、カレンダーにチェックを入れる。

  • 読み終えた本は、スマートフォンのメモ帳にタイトルと読み終えた日を記録する。

  • 3ヶ月ごとに進捗を振り返る。

この「Will(意思)」のステージで決めたものが、基本的には行動計画となります。行動計画を決めた後は、それを実行することになります。

行動計画を決める際にGROWモデルが有用な点

繰り返しになりますが、GROWモデルが有用な点は、「Reality(現状)」と「Options(選択肢)」という二つのステージが、間に入っているため、行動計画を決める際に、いきなり何をするかを決めるのではなく、「現状ってどうなんだっけ?」と「どんなやり方があり得るんだっけ?」と立ち止まって考えることができることにあると思います。

もちろん、行動計画は、計画ですので、数ヶ月した後に、うまく出来ていないということもあり得ると思います。その際は、再度、GROWモデルを回し、特に「Reality(現状)」において、なぜ出来ていないのかを認識し、それに合わせて、行動計画を調整することが大切だと思います。よって、新年の抱負を確実に達成するためには、新年に行動計画を決めるだけではなく、数ヶ月おきに、行動計画の実施状況を内省し、修正が必要な場合は修正するということを行った方が、達成の実現性が高まると思います。最後に、今回は例として新年の抱負を利用しただけですので、何も、本当に新年の抱負に対してこれだけの考えをするべきだというものではありません。



現在、GROWモデルといったコーチングおよび内省や経験学習のフレームワークを活用した、目標およびアクションマネージメントシステムを開発しております。製品に関するご意見を募集しておりますので、何かございましたら、以下よりお気軽にご意見お寄せください。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?