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僕色百景

100
とりあえずやる気と勢いだけで100日継続して綴った風景です。
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#昔話

第十五景 友達が出来る話

第十五景 友達が出来る話

僕は焦っていた。約束の時間に間に合うかギリギリのところだ。なぜこんなことになってしまったのか?

話は数時間前にさかのぼる。

iPhoneの振動とアラーム音で目が覚めた。ほぼセットした時刻だった。

納豆ご飯の最後の一口を味噌汁で流し込み、麦茶を飲み干す。顔を洗い、歯を磨き、寝癖を整えるために髪を濡らした。

ドライヤーで乾かして、丁寧にセットする。スーツのズボンに足を通し、慣れない手つきでネク

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第六景 山に登る話

第六景 山に登る話

以前マッチングアプリでお会いした人にどうしてひとりでも山に登るんですか?と問われた事がある。その時はそこに山にあるからと、適当に答えた気がする。

シーズンは週に1回、コンスタントに登っていた。よく考えてみても、あまり明確な理由が見つからなかった。

そもそも僕が山に登り始めるきっかけは、元ツレが登りたいと言い出したからだ。何故だか理由は分からない。

当初僕は驚いた。なぜなら彼女は身体を動かす事

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第五景 僕の話

第五景 僕の話

ここで僕の話をしようと思う。自己紹介は1番初めにするべきなのだろうが、1番初めにして、そのあと更新しない。なんて恥ずかしい事にならないよう、ある程度続けられる事が分かったこのタイミングでしようと思う。

【1991年】人口4千人ほどの山沿いの町に生まれる。逆子で、すぐに風邪を引いたため、保育器に入っていたらしい。死にかける。

【1995年】弟と庭でホースから出る水を振り回して遊んでいた所、目が回

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第三景 初めてのひとり旅の話

第三景 初めてのひとり旅の話

去年は色々あった。それまで積み重ねてきたものをほとんど失ってしまった。言葉通り地獄のような日々で気持ちを維持するのがとても難しかった。あらゆる瞬間にそのことを思い出しては泣き、鼻を詰まらせ、呼吸困難になった。

そんな絶望の淵に立っていた自分を元気つけるために、初めてひとり旅に出かけた。去年の12月に入ったばかりの頃だったと思う。それまで旅行といえば、誰かと出かけるものだった。

行先として決めた

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第二景 写真の話

第二景 写真の話

みなさんはどんな時に、どんなものを、写真に収めておきたいと思うだろうか?好きな人の顔、家族の顔、珍しい食べ物、風景、鉄道、海、車など色々考えるとキリが無いし、無限に考えられるだろう。

そんな中で僕が写真を撮る時の話をしたいと思う。それはクラフトビールを飲んだ時である。クラフトビールを好きになった経緯も話したいがここではひとまずスルーする。とても長くなる。それこそ書き出したらキリが無い。

まずこ

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第一景 もふおの話

第一景 もふおの話

初めてする話がこの話になるとは思いもしなかったが、昔を思い出していたら、ふと思いついてしまったもふおの話をしようと思う。

もふおとの出会いは、僕が東京に住んでいた大学生の頃である。あれは大学4年生になったばかりの春に違いない。そうだ、ちょうど越したばかりのアパートの周りを歩いていた時のことだ。

住んでいたのは一般的なロフト付きの1LDK、そして彼女もついていた。まあそれは置いておくことにする。

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