見出し画像

【最終回】これからのビジネスは「インスピレーション」で切り開く ~心を整え感覚を研ぎすます9つの方法~

前回の記事では、ビジネスパーソンこそインスピレーションを活用するべきこと、インスピレーションを呼び起こす9つの方法について書きました。

今回は最終回です。
①インスピレーションを具体化するコツ
②インスピレーションをより高める「心磨き」
についてお伝えしていきましょう。

インスピレーションを具体化するコツ

燃え上がれ! インスピレーション

インスピレーションがひらめいた瞬間には目が覚めるような衝撃があります。でもその感動がいつまでも同じ温度で頭の中に残り続けることはありません。時間が経つにつれて鮮度が低くなります。あの瞬間の劇的な感動も、段々と薄れてしまいます。

そのためにインスピレーションの温度を下げないことが重要です。熱量を冷まさないこと。より熱くすること。いかにワクワク感を保ち続けられるかが鮮度を保つコツなのです。何度も頭の中で繰り返して想像してみましょう。インスピレーションを何度も描いて味わうのです。

この段階では、現実的なことや具体性を考えないほうがいいです。夢物語でいいのです。妄想として楽しむのです。現実的な資金や実現可能性を考えることは、急に冷水をぶっかけられるようなものなので、この段階では誰かに相談するのも控えたほうがよいでしょう。ここではいかに楽しみながら、ワクワクしながらインスピレーションの鮮度を保ち温度を高められるかが重要なのです。

言葉を使わないビジュアル化

アウトプットする際のコツとして、「言葉を使わない」ことです。イメージになっているものを言葉に当てはめることで、自身がもつ言葉の枠に押し込めてしまうことになるからです。そこからの発展がありません。「何となくこんな感じ」というのをそのまま視覚情報として落とし込むのです。かのアインシュタインも、思考の初期段階では主に視覚的なイメージを使っていたといわれています。

オススメは、自分が見ている、感じているイメージをそのまま取り出すことです。上手下手は考えずにイラストで描き出します。要は「落書き」をするように絵を描くのです。

ひらめいたインスピレーションはすぐにアウトプットしておいたほうがいいでしょう。常に手元にメモを用意しておくのです。「食事をした後にメモをしよう」、「商談中だからこれが終わって電車の中でメモを取ろう」、「ジムで運動中だから家に帰ってからメモしよう」、では遅い場合があります。そのインスピレーションが絶対に頭の中に残っているとは限りません。

練って練って練りあげていく

イラストでアウトプットしたものを、より具体化するために言語化していくときには、ポストイットを活用しましょう。ノートに直接書くのではなく、ポストイットに書き出し、それをノートに張っていきます。ノートよりも画用紙サイズの大き目のものがよいです。張ったポストイットを自由に動かしてさらなるインスピレーションを呼び起こすのです。

ポストイットは1枚につき1情報が原則です。1枚につき複数個の情報を書いてしまうと、情報の組み替えが自在にできなくなります。

1回のインスピレーションで具体的な形になることはあまりないはずです。多くの場合は何度も練り直していく必要があります。この練り直しの作業が重要です。少しでも「違和感」があればそれを逃さないようにしましょう。違和感や引っかかることはインスピレーションそれ自体なのですから。また、この練り直しがインスピレーションを形にする際の、もっとも苦しい部分であり、もっとも楽しい部分でもあります。

他にも「自分の上司ながらどう判断するだろうか」や「尊敬する経営者である孫正義だったらどう評価するだろうか」など、他人の視点をイメージして練っていくのもよいでしょう。

土台をつくる~教養としての思想、哲学、宗教

どんなにインスピレーションを願っても、自分自身にそのインスピレーションの「元」となるものがなければ表に出てきません。教養として、自己の人格形成の基盤として、インスピレーションの元として、思想、哲学、宗教は学んでおくべきです。

特に宗教に関して。宗教を単なる個人的な「信仰」だととらえてしまうと、「私は無神論者なので宗教の話はパス!」で終わってしまいます。それはとても勿体ないことです。人類の歴史の大半は、宗教の歴史であるといっても過言ではありません。文化と思想の知的関心として宗教にアプローチしてみるのは大変有用です。それに「救い」や「死後の世界」や「悟り」や「復活」などの宗教的概念は、過去の先人たちがどうしようもないほど追い詰められて生まれたものです。必ず今を生きる我々が生きる上でも役に立ちます。

信仰にこだわらずに、知的に宗教を楽しんでみませんか。知的な余裕、知的な遊びは、あなたの生活やビジネスをきっと豊かにするはずです。

身体を整える

インスピレーションの、そしてそもそも生きる上での基盤となっているのが、肉体です。「健全な精神は健康な肉体に宿る」といわれていますが、身体の調子が悪くなると、情緒やモチベーションにも影響を及ぼします。不規則な睡眠、暴飲暴食、栄養バランスを無視した食事内容、運動不足、また日常生活での心配や不安、過度のストレスは思考力、行動力を奪ってしまいます。健康な身体はインスピレーションを発揮するために重要な要件です。

あなたは食事にどのくらい気をつけているでしょうか。お腹が減ってからとにかく何でも食べられればいい、そのような考えの人もいるかもしれません。しかし、人間の身体は食べた物で作られていきます。それはつまり、未来のあなたの身体を作るのは、今日のあなたが選んだ食べ物によるということです。身体の調子を壊し病気になれば、どんなにお金があっても、気力があっても、希望があっても、それを実行することはできません。今がよければそれでよし、の考えは未来の身体に大きな負債を重ねていくことになります。

身体をつくる元になる肉・魚・玉子・牛乳をしっかりと摂りましょう。エネルギーの元になる米・パン・めん類、身体の調子を整える元になる野菜・果物・きのこなどバランスの取れた食事がのぞましいです。

共同体のひとつとしての自分

オーストリアの精神科医アルフレッド・アドラーは「共同体感覚」というコンセプトを提唱しています。理想的な共同体を目指そうとする意思こそが、人間をより良い未来に導く原動力となると考えています。共同体とは、友人同士の小さなグループから、会社、地域や国といったものです。さらに広がれば生きている世界そのものが1つの共同体です。

判断に困ったときは、「より大きな共同体の声を聴く」ことを指針にしてみるのもよいでしょう。会社の1部署の社員としての判断に迷ったら、会社全体なら、日本の国なら、世界なら、はたまた人間としてはどうか、より大きな共同体にとってよい方向をインスピレーションに従ってみるのです。

2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標、SDGs。これを単なる数値目標としてとらえるのか、それとも地球人として貢献する気持ちで取り組むのか。「自己たる個」ではなく、地球という「全の中にある個」としてとらえ、全のための個である感覚を持つことができたならば、あなたのインスピレーション力は大いなる飛躍をもたらすはずです。

インスピレーションをより高める「心磨き」について

祈りの技法で心を磨く

ここまではインスピレーションを呼び起こすための具体的な方法についてお伝えしてきました。しかし前述の通り、木に例えるならばインスピレーションは実にあたります。実を育てるには根と幹がしっかりと育っていることが重要です。ここからは幹にあたる「感性」についてお伝えしたいと思います。

感性の磨き方の方法はさまざまあるかと思います。たとえば、旅行に行く、芸術に触れる、心にゆとりをもつ、自然に触れる、創作してみるなどの情報があります。もちろんそれもよいとは思うのですが、ここでは宗教家である私だからこそ語ることができる内容をお伝えします。

それは「祈り」です。祈りという人間の根源にある力を使って感性を、そしてその先にある「心を磨いていく方法」をお伝えしていきます。なぜ心磨きが必要なのか。それは心の状態が身体や表情や生き方に現れるためであり、同時に神様を現すということでもあるのです。

天地大自然の恩を知る

私たちは、天地大自然の中に生かされて生きています。植物は光合成により酸素を作り出していますが、その植物が育つ土壌がなければ、我々が吸う空気はありません。雨が降らない日が続けば水不足が起こり、水がなければ我々人間の命は続きません。一方で雨が降り続け、豪雨が続けば作物が育たず、作物が育たねば我々の命は続きません。我々は牛や豚、鳥など他の生物の命を食しているわけですが、その動物らが病気にかかってしまえば食すこともできません。我々が生きていられるのは、天地大自然のはたらきがあるためです。

我々は天地大自然に「恩」があります。恩を知ると感謝が生まれ、感謝は優しさへとつながっていきます。自分の心が柔らかくなると同時に、他人への対応の仕方も変わってきます。それはつまり社会全体が円満になるということです。

「いただきます」という言葉、作り手だけに感謝を伝えるものだと思っている人もいるかもしれません。そうすると「お店で食事をするとき、こちらがお金を払っているのだから店がお客に感謝すべきだ。こちらがいただきますなどいう必要がない」というロジックになります。しかしそもそも食事をいただくということは、他の命をいただくということ、天地の恵みをいただくことであり、それはつまり神様への感謝の意を伝えることになるのです。

ご先祖様! 縦の系図 ルーツを知る

あなたは3代前までのご先祖様の名前をいうことができるでしょうか。3代前というと父母、祖父母、曾祖父母のことです。父方と母方を合わせた人数でいうと14人です。14人の名前を覚えていますか。

なぜこんなことを聞くかというと、ご先祖様あってこその今の私たちの命だからです。もちろんまだまだ前からの命のつながりがあっての私たちの命です。しかし最低でも3代前までの名前は把握して、神棚や仏壇で、またお墓で感謝の意をお伝えすべきだと思うのです。

ともすると、「私たち自分の命は自分のものである」と思っているかもしれません。もちろん自分の命は自分のものに間違いはないのですが、その命はご先祖様あってのものであることを忘れてはいけません。軽々しく自らの手で命を絶つこと、他の人の命を奪ってよいものではありません。ご先祖様からつながる命であること、願いを込められてのあなたの命であることに気づけば、命の重みをより深く感じることでしょう。それは命ある限りの人生を有意義に過ごす意欲へとつながるのです。

御礼、お詫び、お願いの祈り

効果的な祈り方をご存知でしょうか。もしかすると祈りと聞くと、「神様や仏様に願いを伝えること」だけを思い浮かべるかもしれません。しかしそれは祈りのほんのかけらでしかありません。祈りにはより奥深さがあります。

祈りの正しい順番は、御礼、お詫び、お願いです。まずは日々の御礼を申し、そして知らず知らずのうちにおかしている過ちや不備をお詫びし、そして最後にお願いするのです。

もしもあなた自身が神様だと想定してみてください。人間が祈りをささげています。いきなり「どうかこの願いを叶えてください」といわれたらどんな気持ちになるでしょうか。お願いの前にいうべきことがあると思いませんか。「まずは挨拶ぐらいしたら」、と思いませんか。

祈りとは神様との対話です。我々の命を生かしてくださっている神様とのコミュニケーションです。円滑なコミュニケーションに必要な最低限の礼儀は知っておきたいですね。

実意丁寧をもってあたる

実意丁寧とは日々の行動指針にあたるものです。「実意」とは誠意のこもった思いやりの気持ちであり、まごころです。心の在り方をさしています。「丁寧」とは細かい部分に注意や気配りが行き届いているさまであり、所作、態度、言葉づかいといった行動を現すものです。こうした心持ちで生活をすることが、自身の感性を磨くことに通じていきます。

有名な格言に、「神は細部に宿る」という言葉があります。
(英語で表現すると、God is in the details.)
芸術の世界やデザインの世界の他にもさまざまな分野で引用されています。一般的には「素晴らしい作品は細部までこだわり抜かれている」という意味になります。またビジネスにおいても、「物事を大きく見て、小さなことをおろそかにしては意味がない」といった訓示的な使い方がされています。

しかし、私はもっとシンプルに考えます。どんな些細なことであっても、実意をもって丁寧にあたれば、そこに神が現れる。だからこそ願いが成就するし新たなきっかけが生まれ、ビジネスも発展していくのだと。

人を助けて自らを助ける

人は誰しもそれぞれの苦しみや悲しみを抱えています。そんな状況だからこそ、助かりたい、より幸せに生きたいと思っていることでしょう。ではどうすれば自分が助かっていくのか。それは人を助けて自らを助けるにつきます。

世間一般の考えとしては、まず自分の生活を確立して、ゆとりがあれば他人を援助しようとするのではないでしょうか。もしくは、人を助ければ回り回って必ずお返しがある、と考えるかもしれません。しかし本当のあるべき姿は違います。

「人を助けて自らを助ける」の意味は、神を現すことにあります。神様は人間に助かって欲しいと願われています。でもなかなか人間には伝わらない。科学の発達で目に見えない存在を否定し、我情我欲により心を錆びつかせていく。そんな中でも、神様の願いを現す行動が、人を助けることです。人を助けることによって神様の願いが現れ、その人が助かります。それはつまり、助けた本人に神様が現れるということであり、そのために助けた本人が助かるということです。神様の願いにそった行ないなのです。

最後に

インスピレーションに向き合うということは、自分の本心に向き合うということです。それは簡単なようで決して簡単ではありません。社会の中で、コミュニティの中で、組織の中で生きるということは、意に反することもしなければならないこともあるもの。割りきることもでてくるでしょう。でもそれはすべてを割りきって、あきらめなければならないこととは違います。「自分の本心に正直である生き方」があることも受け入れて欲しいものです。

本心で生きることは、周りを顧みずに自分勝手に生きるということとは違います。社会の中での役割を果たしながら、なおかつ自分の在り方で生きていくのです。いやむしろ、かけがえのない自分の強みを育てながら、社会に貢献して生きるともいえるでしょう。

「いうのは簡単だけど実行するのは難しい」という声が聞こえてきそうです。おそらく頭で、理屈で考えても答えは浮かんでこないでしょう。そういうときこそ感じるのです。心穏やかに、インスピレーションに身を委ねるのです。すべてをお任せする気持ちで。

あなたの人生に幸あることを祈りつつ。

神田道雄

著者プロフィール

神田道雄

取次師/国家資格キャリアコンサルタント
法学部法律学科を卒業後、大手居酒屋チェーン店に新卒で入社。その後は、大学生の就職支援→イベント運営業→採用代行業務→転職希望者の支援→Webディレクター→コンテンツマーケシングディレクター→キャリアコンサルタントと分野や職種がバラバラな仕事に興味の赴くままに従事。その後、家業を継ぎ宗教法人金光教竹原教会の教師となる。神信仰を体得することで、これまでの経歴が単なる興味で選んだのではなく、インスピレーションに導かれてのものであることに気づき、新たな視点での物事の見方を体得。
これまでも1000人以上の方とキャリアコンサルティングを実施するなか、インスピレーションに気づいてからの面談や対話は、相談者との関わり方の度合いや成果に雲泥の差がでている。実際に相談者自身の気づき力、満足度も向上している。心を整え感性を磨く「心磨き隊」増加中。

最初から読むのはコチラから!

*   *   *

【いつか出版したいあなたへ】
著者デビューを目指す人必見!
「電子出版サロン2022」が3月よりスタートします!!

▼詳しい内容などは、コチラをご覧ください。
『電子出版サロン』特設ページ


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?