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【第1回】これからのビジネスは「インスピレーション」で切り開く ~心を整え感覚を研ぎすます9つの方法~

なぜ今、インスピレーションが必要なのか

インスピレーションは「生まれ持った人間力」に目覚めるきっかけである

2030年に必要とされるスキルに関する論文、「スキルの未来」では上位10位に次のスキルが発表されました。上位から順番に、「戦略的学習力、心理学、指導力、社会的洞察力、社会学・人類学、教育学、協調性、独創性、発想の豊かさ、アクティブラーニング」です。単純な作業に関するスキルは必要なくなり、「学び」や「人間の感情」そして「創造性」に関するスキルが求められています。

こうしたスキルは学校で教わって学ぶというより、「生まれ持った人間力」を、仕事を通して育てるものといえるでしょう。この「生まれ持った人間力」に目覚めるヒントが「インスピレーション」にあります。自分の頭にふっと浮かぶ言葉やイメージといったインスピレーション。今までのビジネス常識ではあまり重要視されていなかったものですが、時代の変化が早く、AIの進歩が著しい今の時代には必要不可欠なものになっていくのです。

不確実な人生に必要なのは論理力よりインスピレーションである

現代社会はテクノロジーの進化により、環境の変化が早く、かつ複雑さを増しています。そのため先行きが不透明で、将来の予測が困難な状態です。そうした社会において、これまでのビジネスの常識であった「論理的」で「理性的」であろうとすればするほど合理性は担保できず、意志決定が遅れてしまいます。意志決定が遅れるということは、新たな商品やサービスの開発が遅れるということであり、それは時代のニーズに合った展開ができないということです。方法論としての論理的思考は限界にきているといえるでしょう。

そんな状況を打破するために「インスピレーション」を活用します。論理的に導き出せないなら、これまで培った経験と知見で判断するしかありません。単なる感覚ではなく、知性と経験に基づいたインスピレーションで決断するのです。

会社で成果を出し続けるために必要なもの

近年AI(人工知能)の台頭は目覚ましく、AIを導入する企業が増えています。2045年には「シンギュラリティ(技術的特異点)」が到来し、AIが人間の能力を超え、その影響で社会や人々の生活に決定的な変化が起こると考えられています。

大量のデータを処理するスピードを比較した場合、人間とAIではスピードや正確さで勝負になりません。またプログラム通りのルールにそった作業、共通点を見つける作業、画像処理や画像認識などAIができることは増えています。その結果、人間の「仕事がなくなる」というデータもあります。

会社で成果を出し、必要とされるビジネスパーソンになるためには何が必要なのでしょうか。それは人間にしかできない仕事をすることです。具体的には、人体に関わる医療系の仕事やホスピタリティ性の高い仕事、高度な接客を必要とする仕事、さらに芸術分野などクリエイティブな仕事は、AIに取って代わられにくいと考えられています。その根源となるのがインスピレーションなのです。

自己実現に必要な要素がインスピレーションである

これまでの社会人のキャリアは会社主体によるものでした。会社主導の配置転換や昇格によって個人のキャリアが形成されてきました。しかし、終身雇用制度が崩れ会社の体力が落ち、人を抱え育て続けることができなくなったのです。また物質的に満たされ精神的な豊かさを求める時代へと変化し、価値観も多様化したことで、個人の欲求にフォーカスが当たったキャリア形成の流れが生まれつつあります。

つまり、会社で働く個人一人ひとりが自身の将来のキャリアを考え、仕事を通して成長し、その結果として会社の繁栄に貢献するという流れになりつつあります。その際に重要になるのが「自己実現」です。自己実現とは自己の内面的欲求を社会生活において実現すること。自分の世界観や人生観に基づいて、「こうありたい」と願う欲求です。その欲求が明確になってこそ、自分で考え自分で行動できるようになります。それはつまり自分の人生を自ら切り開くことができるようになるということです。

その状態に至るためにはいくつかの段階が必要ですが、自分の内側にある願いに気づくきっかけとなるのがインスピレーションなのです。

困難や試練、追い詰められたときこそインスピレーションで乗り越える

たとえば、仕事でAの判断をすればクライアントに大きな負担がかかり、Bの判断をすれば会社側が負担を抱えなければならない場合、何を根拠に決断すればよいでしょうか。

まずは上司に相談してアドバイスをもらうでしょう。情報を集め、過去の事例を参考に対応を検討するかもしれません。ただ往々にして、すべきこと、やるべきことはすでに心の中に浮かんでいるもの。それを認めるのが怖い、または抵抗があるからいろいろと理由づけをしようと考えるものの、考えすぎて思考の渦に飲み込まれるのです。

「考える」ということは、人間が備えもつ有効な手段です。しかし追い詰められると視野が狭くなり、最適な答えを出すことが困難になります。そんなときは、性急に決断しないことも重要です。ある程度考えたら時間をおいて熟成させるイメージをもってみてください。そうしてインスピレーションが最善の方法を導き出してくれるのを待つのです。

インスピレーションとは何か

インスピレーションは誰もが持っている潜在的な力である

そもそも、インスピレーションとは何なのか。それは直感からのひらめき・瞬間的に浮かぶ思いつきです。語源はラテン語で「息を吹き込まれたもの」という意味の言葉であり、そこから派生して「霊感」や「閃き」という意味になったといわれています。つまり大きく2つの意味があるということです。

そのため、人によると、インスピレーションを「霊感的なもの」のみにとらえていて、普通ではない超人的な能力と考えてしまうかもしれません。また神や霊、スピリチュアルなイメージでうさんくさいと感じることで、自分とはまったく関係がないものと思ってしまうかもしれません。

しかし、私がいうインスピレーションはそういった神聖なものだけではなく、ふとした日常で起こることも含んでいます。そのため「何だか今日はこれが食べたい」「あ、家に忘れ物をしたのを思い出した」「あの話とこの話がつながるかもしれない」、そんな日常の誰もが体験している「ふとした思いつき」や「ぱっと浮かんだひらめき」もインスピレーションなのです。

インスピレーションは芸術分野の人だけのものではない

インスピレーションを活用する人というと、芸術分野の仕事の人を思い浮かべるかもしれません。デザイナー、芸術家、小説家、カメラマン、舞台監督、音楽家などの独自の感性を使って仕事をする人のことです。

たしかに自身の感性を表現する仕事の人は、わかりやすくインスピレーションを活用しています。しかし、芸術分野に関わらずインスピレーションを活用する場面はあるのです。職業の違いで求められる形が違うだけなのです。

たとえば、パン職人が新しいパンを考案するための形や材料を決めるのもインスピレーションを活用しており、工場のライン作業者が改善の糸口に気づくのもインスピレーションです。事務担当者が数字のミスに気がつくのもインスピレーション。要は当人にその意識があるかないか、インスピレーションの力を信じて活用しようとしているか否かなのです。

インスピレーションは才能の元である

インスピレーションは、一人ひとりの個性であり、生まれ持った才能の源です。誰もが遺伝子を持っているのと同じように、誰もが他の人とは違うインスピレーションを持っています。才能とは、頻繁に繰り返す思考であり、感情であり、行動パターンです。ついこだわりすぎてしまうもの、その話題になると時間を忘れてしまうもの、他の人より早くできること。「なぜ」と聞かれても理由が答えられないものは、インスピレーションからくる無形の才能です。

ただ、世の風潮として、才能を存分に発揮している人よりも、能力不足を乗り越えた人を称える傾向があります。そのためあなた自身の中にある才能を発揮するよりも、今いる環境で必要な能力を努力によって身につけることを誘導されているかもしれません。それは「いばらの道」を選んでいることになります。

大切なのは、「今のあなた」から始めること。あなたが元来もっているインスピレーションを感じ才能を目覚めさせること。才能を強みとし、「強みのゾーン」で仕事に取り組むのです。それは職場での仕事の意欲や生産性に格段の差がでることでしょう。

インスピレーションが生まれて育つまでの流れ

インスピレーションが生まれて育つまでの流れを一本の木に例えて考えてみましょう。インスピレーションが木の実だとすると、木の根は思想、哲学、宗教であり、木の幹は感性、葉は身体です。つまりインスピレーションとは育てて受け取るものといえます。

地中に張った根は、水や栄養分を吸い上げ、また四方に張り巡らすことで木自体を支えます。また水や養分の通り道となる幹が木全体を形づくる骨格としての役割も担います。幹から伸びる葉は光合成による養分の生成を担う大事な器官。蒸散や呼吸といった外界との水分や酸素の交換の役目もあります。これから器官がすべて整ってこそ実がつくのです。

土台となる思想・哲学・宗教があり、そこから感性を磨き、身体を整えてこそ、インスピレーションを発揮することができます。決して特別なスキルではなく、適切なプロセスを経ることで誰もが身につけ活用することができるものなのです。

インスピレーションと神様との関係

インスピレーションの活用においてもっとも重要なことは、インスピレーションの力を信じることです。目に見えないインスピレーションを、目に見えないからといって信じない人もいます。それは神様が目に見えないから信じないというのと似ている部分があります。

目に見えないものの存在は本当に信じるに値しないのでしょうか。たとえば、愛、友情、勇気、信用などは目に見えないものですが、その大切さを否定する人はいないはず。つまり目に見えないから信じないというのは偏見のひとつでしかないのです。

インスピレーションは神様からのメッセージです。人智を越えた大いなる存在が、人間に助かって欲しいからこそ伝えてくれる重要なメッセージなのです。まずはそのメッセージを受け取りましょう。受け取って、自分なりに取り組むことでよりインスピレーションが強くなります。そして神様に想いを投げ返す。神様との対話を重ねようとすることで、インスピレーションがより起こりやすくなります。実は神様を信じることと、インスピレーション力を高めることはきっても切り離せないものなのです。

次回に続く

著者プロフィール

神田道雄

取次師/国家資格キャリアコンサルタント
法学部法律学科を卒業後、大手居酒屋チェーン店に新卒で入社。その後は、大学生の就職支援→イベント運営業→採用代行業務→転職希望者の支援→Webディレクター→コンテンツマーケシングディレクター→キャリアコンサルタントと分野や職種がバラバラな仕事に興味の赴くままに従事。その後、家業を継ぎ宗教法人金光教竹原教会の教師となる。神信仰を体得することで、これまでの経歴が単なる興味で選んだのではなく、インスピレーションに導かれてのものであることに気づき、新たな視点での物事の見方を体得。
これまでも1000人以上の方とキャリアコンサルティングを実施するなか、インスピレーションに気づいてからの面談や対話は、相談者との関わり方の度合いや成果に雲泥の差がでている。実際に相談者自身の気づき力、満足度も向上している。心を整え感性を磨く「心磨き隊」増加中。

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