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【第1回】いま知っておきたい「移住×転職」 U I Jターンで実現する自分らしい地方暮らし

●なんとなくからはじめるUIJターン

日々流れてくる感染者数のニュース。都会での生活に息苦しさを感じはじめた方も多いのではないでしょうか?

昨今、地方暮らしや田舎暮らしなど「移住」への関心が高まっています。コロナ禍による在宅ワークの普及、出社の制限など働き方に変化があり、それがきっかけとなって実際に移住をした人もいます。

しかし住み慣れた都会から地方へ、いまさら暮らしていけるのだろうか。テレビやネットで「地方暮らし」を検索して出てくるのは、都会での生活と真逆の農業やカフェ経営の話題。ちょっと違う。私にフィットするのは「地方移住×転職」。どこかでそんな相談ができないかなと、考えている人も多いことでしょう。

「移住」ってよく聞くけど、引っ越せば全部「移住」?

「UIJターン」ってなに?

今いる場所から住み替えをするとき、「これって移住?」と思ったことはありませんか。もしくは、振り返ってみれば「あれって移住だった」と。

本記事での移住の定義は「隣接する市区以外へのお引っ越し」。

つまり、日常の生活圏が異なることとしています。

はじめまして。私は移住5回&転職6回の経験があり、人より少しウロウロしている会社員です。

2018年に、これまでの経験をパワーアップすべく、キャリアコンサルタントの資格を取得。現在は福岡県内にある移住や転職の支援を専門とする窓口で働いています。

日々の業務は「移住×転職」のサポート。サポートといっても、情報収集のみもあれば、面談、履歴書や職務経歴書の書き方講座と、内容はさまざまです。相談に来られる方は20代~60代までと幅広く、移住を考えるきっかけは、結婚・離婚、早期退職、親の介護、子の進学、パートナーの転勤などさまざまです。

私はもともと地元へUターンすることに対し、ネガティブにとらえていました。30歳を前に、経営者であった父から「人が雇えなくて困っている、帰ってきてほしい」と頼まれ、「YES」と答えるまでにたくさんの時間悩み、友人に相談しました。

大学進学でやっと田舎を離れ、そのまま就職できたのに、地元に戻るって……

20代後半で地元に戻ることは、私にとっては苦行でした。

そう感じた理由の一つはプライドです。地元では2人目を子育てする友人や家を建てた友人も。「なんか、すごく負けた気がする」と感じていました。

二つ目は身近な友人との別れです。いまのようにZoomなどオンライン通話がメジャーではなかったため、気軽に会えない距離の引っ越しは、今生の別れ。そのように思っていたのです。

そこで「移住しない未来」と「移住する未来」を考えました。

具体的には、仕事や住まい、得るものと失うもの、時間の使い方やお金のこと。考えることで、不安や焦りといった感情が整理でき落ちつきます。次第に、挑戦したいことや移住後だったらできるかもしれないことが見えはじめ、私をワクワクさせていきました。

Uターン「したくないから」から「してもいいかも」へ、覚悟を決めていったのです。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)蔓延以降、移住に関心をもつ人が増えました。総務省発表の住民基本台帳の人口移動報告によると、2021年度は外国人を含めた集計を開始した2014年以来、初の東京23区が転出超過となり、コロナ禍の都心離れがうかがえます。

また、2002年より都市住民への移住支援・情報提供を行っている特定非営利活動法人 100万人のふるさと回帰・循環運動推進・支援センター(以下:ふるさと回帰支援センター)の発表によると、2021年の相談件数(面談・電話・メール・見学・セミナー参加)は、前年比で約29%増の49,514件となり、これまでの過去最高の件数を数えた2019年(49,401件)を上回る、過去最高の相談件数を更新しました。

私の元へも首都圏から地方への移住を希望する方の相談が増えました。具体的には、コロナ前に多かった「終の棲家」として田舎暮らしを求める中高年より、「地方で活躍したい」「のびのび子育てしたい」といった若者が増えたように感じます。

ある日、東京の大学に通う福岡県出身の男性が、「東京の大学に進学したけど、移住したことないんで……どうやって地元就職したらいいか……」と相談にいらっしゃいました。

「(ん? 福岡から東京の大学へ進学……)進学するとき、移住経験しているよ」

「え?」

こんな会話があるあるです。進学により地元を離れた方は移住を経験しているにもかかわらず、何故か忘れてしまっています。もしくは、それが移住だと気づいていない? 自ら、移住を「未知のもの、経験したことがない」とむずかしくしてしまっているのです。

「移住×進学」の場合は、親が住むところなど、ある程度手配してくれていた。だから不安に感じることも少なく、日常の延長線上で、そのまま生活が展開できた。

「移住×転勤(異動)」も同じ。会社がお世話をしてくれて不安が少なめでしょう。

では、「移住×転職」はどうでしょうか。実家へ帰るのであれば、知った土地なので心配は少なめ。もし、知らない土地だったら……そもそもどうやって、移住先を決めているのでしょうか?

●移住先の選び方

 ここで、ちょっとだけ、未来を想像してみてください。

これからの生活、どんなところに住んで、どのように働きたいですか?

実家に戻りたい、憧れの街で暮らしてみたい、祖父母のサポートがしたいなど、なんでもOKです。

「移住×転職」を考えるとき、まず自分に問いかけてほしいのは、「10年後どこで・どのように生きるのか、どんな自分でありたいか」です。

しかし私の元に届く相談の多くが「どんなところに住みたいか」や「どんな仕事がしたいか」しか考えていないケースです。

ハッキリ言います! まずは、夢から覚めましょう。

「田舎に住んだら、家族でバーベキューがしたいです。だから広い庭がある……」

ちょっと待ってください!

毎日バーベキューしますか?

他にもいろいろあります。
運転免許がないのに、駅から徒歩40分で本当にいいのでしょうか?
お子さんの学校は? 仕事はどのようにお考えですか?

相談者の方々の理想に向かってぐんぐん進む姿、嫌いではありません。もちろん私は、応援したいです。しかし人生の大きな転機になる「移住×転職」のタイミングでは、少し立ち止まって冷静に、自分と、家族と向き合ってほしいのです。

「移住×転職」でとくにIターンやJターン(※)の場合、新たな土地で家を借ります(買います)。

Iターン:アルファベットのIのように、地元から他の地域へ移り住む場合や、今住んでいる場所から地元以外のどこかへ移り住むこと。たとえば、福岡県出身の人が進学で東京都へ移住。東京都出身の人が結婚を機に広島県へ移住など。

Jターン:アルファベットのJのように、地元を離れている人が、今住んでいる場所から地元の近くに移り住むこと。たとえば、福岡市出身の人が進学で東京都へ移住。その後、転職を機に北九州市へ移住するなど。

家を借りる(買う)とき、仕事をしていないと貸してくれません(買うためのローンが組めません)。大前提として、お金を払える人にしか貸さないし売らないのです。こんな当たり前のことが、忙しくなると見えなくなってしまいます。

(転職するなら地方がいいな。でも、思ったよりも転職活動で交通費がかかりそうだ……それだったら、仕事を辞めて先に移住しよう)

「そう思って、先に仕事を辞めたんです。それが……家を貸してくれません! だから移住できずに困っているんです」

「……(そうだよな)」

仕事をしている(内定がある)状態でないと、住む場所の確保がむずかしい。つまりUターン(※)で実家へ戻る、結婚を機にパートナーの元へ行き同居するなど、移住先が確保されていない場合、仕事を先に決める必要があります。

Uターン:アルファベットのUのように、地元から他の地域へ移り住み、その後地元へ戻り住むこと。たとえば、福岡県出身の人が進学のため東京都へ移住。その後、就職を機に地元へ移住するなど。

 しかし、移住も仕事もあなたの理想を叶えるための道具のひとつにすぎません。

そもそも「移住することによって手に入れたい未来」はなんでしょうか。

私は社会人になって以降、いわゆる「都会(大阪市)」と「田舎(今治市)」での暮らし、そして「地方都市(北九州市)」での暮らしを経験しています。いずれの地域も5年ほど住んでみて思ったのは、日々の生活の違いは交通の便くらいで、生活コストの大きな差は家賃です。

「田舎に引っ越すと、ほしいものが手に入らないのでは」と言われることもありますが、インターネットでのショッピングや通販が普及した現在、ほしいものが買えないということは少なくなりました。確かに、○○屋の食パンが買いたい……というのはありますが、逆に都会にいたころは、地元の魚が食べたい……と思っていましたので、きっとどこに行ってもないものねだりは出てくるでしょう。

どこが住みやすかったか聞かれても、「全部」と答えるくらい、それぞれに良し悪しがあり、住みやすいと感じました。そう感じることができたのは、それぞれの土地で叶えたいこと、手に入れたい暮らしのイメージがあり、そのイメージと現実にギャップが少なかったからだと確信しています。これから続く人生です、理想に近づく「移住×転職」を考えてみましょう。

まずは10年後、あなたはどこで、どんな暮らしを手にいれていますか?

次回に続く

著者プロフィール

山本 りお

福岡県在住
移住×転職コンサルタント/国家資格キャリアコンサルタント

大学卒業後、販売職として子供服メーカーに就職。デザイナー、事務職など、5回の移住と6回の転職で「パートから役員まで」さまざまな働き方を経験。北九州市への移住をきっかけに、現在は移住や転職経験を活かした自治体設置する「移住・就職相談窓口」に勤務。4年間でのべ約4,000件の面談を実施。20代~40代の方を中心に「移住×転職」活動をサポート中。

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