完全オレ流障害観51「精神障害者が体調を崩したり不安定となるきっかけ」
色々な人を見させて頂いてきた中で、勿論全員がそうではないが、精神障害者の方が就労A型、B型、移行支援等に通っている方で、作業能力やポテンシャルが高くても気持ちが不安定になってしまう要因として考えられるのが、周囲の環境もあるとオレは思う。
というのも、精神障害の方々はバックボーンがとにかくすごい。
例えば、
「大企業で10年以上働いてました」
「学校の先生でした」
「責任者やってました」
的な方もいらっしゃる。
そういう方がうつ病、適応障害、双極性障害等になり就労系の作業所に通うようになると、一緒に作業する人でそういうバックボーンの人ってあんまりいなかったりする。
就労系の事業所には精神の方だけではなく事故などに遭われたりした身体障害の方、支援学校を卒業したての知的障害の方、あとはオレみてえな発達障害の方が混在している作業所も無数にある。
そうなってくると色々な特性の人の中に混じることになるのでどうしても他者と比較してしまう部分が出てくる。
オレだって適応障害となり前職を退職して就労移行支援に通っていたのだが、オレもそうなりかけた。
勿論悪く言うつもりは無いのだが、自分のバックボーンに自信がある人ほど、
「何でこんな人たちと一緒に作業しなきゃならないんだ」
「何でこんなレベルの低い作業をして工賃が1時間でこれだけなんだ」
「この先自分はここで作業を続けた先に何が残るんだ」
とか能力や力量の高い方ほど悩んで精神不安定になったりする傾向があると思う。
それは例えば自分の過去の栄光や活躍に対する自信のみならず完璧主義、過去の自分を超えたいという自己実現欲求、また人に認められたいという承認欲求、あとはこれはオレが当てはまるのだがどこか他者を下に見てしまう心理。
これらが邪魔しているからか、あの人より作業の速度や習得が遅かったりしたら自分を責めてしまうことだったり、自分の周りには、例えば指をしゃぶる、よだれをたらす、失禁する(勿論それらの行為を悪く言うつもりはありません)などのような他利用者がいて、その中に自分が混じって作業していることに対する劣等感、悔しさ、複雑さ、色んな感情がご自身の中で沸いてしまうんだと思う。
あとは自分より若い人、自分より能力が低いと思っている人(作業のみならず発言の内容とかを含めて)が就職が決まる、工賃が自分より多い、支援員の人から自分よりも信頼して作業を任されることがあるとそれに対する苛々やそれこそ劣等感を感じて体調を崩したりとかもあったりする。
オレも今の上司から言われたことがある。
「人と比較するのはやめましょう」的な。
だが精神障害の方の中には、頭ではそれがわかっていても難しい、感情のコントロールが効かない人もいる。
それゆえに周囲の環境や他の利用者の人の様子、行動、言動を見ていて自分と比較してレベルが低いと感じてしまい、ご自身の能力がいくら高くてもそういう事情で不調となってしまうんだろうなと、ふと思った。
自分の過去のご経験を非常に大事にされる方ほど、その真面目さゆえに体調に影響してしまうのかなとお察しする。
「若い頃はこれができたのに」
「病気になる前はバリバリ働けていたのに」
「月給30万円とか稼げていたのに」
などと色々考えてしまう方々ほど、今の自分が情けなくなるのかもしれない。
オレはそういう方々を何人も見てきたし、オレ自身もどこか他者を下に見てしまう未熟な部分があったり人を認めることが出来なかったり、「あのときこれが出来てたのに」と考えたり、感情のコントロールに影響があった移行支援時代とかがあった。
だからこそ、精神障害ってそういう辛さもあるよなと思う。