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ナナフシ・ナイトクラブ【短編集4】

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#小説

【短編】月曜日は私の両手に

【短編】月曜日は私の両手に

月曜日を私の胸の中に入れて暖めたい。

私が月曜日を愛する理由を説明しなければならない。そう思って語り始めたら脳の中を重いずっしりしたものが歩き回って邪魔して、結論、私は月曜日が大好きなのだと説明したら隣の白髪のおっちゃんは歯抜けの口を見せて、「なんだそれ」と言った。

月曜日は私にとって全てが始まり、金曜日の19時以降は私にとって全てが終わる時間なのだ。ずっしりとした体に、つんつんした髪の毛を備

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【短編】停滞した週末

【短編】停滞した週末

超くだらない話をして、私の明日は超くだらないと確信した。道すがら、転がっているペットボトルには汚れが目立ついろはすのラベルが絡みつき、少々視線をあげれば、おそらくセブンイレブンから出てきた男の生脚が見えた。すね毛がぼーぼーだった。見たこともないのに、どこにでもあるような視界で、私は私で明日もくだらないのだなと思った。

帰ってみたら部屋は意外に整っていた。そうだ、私は今日1日を素敵な特別な日にしよ

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【短編】カラカラ乾き、しっとり濡らす夜中の3時

【短編】カラカラ乾き、しっとり濡らす夜中の3時

新人類が天上から下りてくる妄想をしながら、私が歩いているアスファルトの道路がひたすら続いていくことに諦念が湧く。世の中をいい方向に変えてくれるものはいつも上から降ってきて、私を蔑み嘲笑い壊すものは、大抵下からやってくる。
今日だって私がエレベーターで下に降りようとして、乗り込むタイミングで下から上がってきた他者の社員と正面衝突しそうになり、舌打ちをされた。私を不幸にするものは大抵下からくるのだ。

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