行動経済学を学びたい人の大学選び(選び方のポイントを解説)

 「どの大学にすればいいかわからない」という人をしばしば見かけるので、少しだけポイントを考えてみたいと思います。そもそも「経済学部であればどの大学でも行動経済学を学べる」と勘違いしている人も少なくないようで、その認識をこの記事をきっかけに改めていただきたいものです(後述するように、そもそも関東・関西以外の地域では、行動経済学を学ぶのに良好な環境を提供している大学はほとんど見当たらないというのが実情。学べる大学なのかどうかを見極める目利き力が必要)。

 本気で行動経済学を学びたいと思っている人向けに、大学選びのポイント(大学の選び方)を挙げていきます。

 なお、「自分が学びたいのは本当に経済学なのかな?」「行動経済学には興味があるが、それ以外の経済学や経済そのものには関心がないなぁ」「できれば経済学部以外で行動経済学を学びたいのだが、そうした大学はないのかな?」「行動経済学というよりも、経済学と心理学の両方を学びたいだけなのだけど」と少しでも疑問・懸念を抱いている読者は、この記事の最終節(最後に:あなたが学びたいのは本当に経済学?)を先にご覧ください。


これだけは押さえたい大学選びのポイント

【本気ポイント1】行動経済学を専門とする専任教員がいる

 高校生は知らないかもしれませんが、大学には常勤教員(専任教員)と非常勤教員の2種類の教員がいます。そもそも、大学には高校までと違って「職員室」のような全教員が集まる部屋はなく、教員は自分の研究室を持っています。常勤教員はその研究室を訪ねれば会えますが、非常勤の教員は基本的にその大学には研究室がなく、授業の時だけしか大学にいないというケースが多いです。というのも、多くの場合、本務校(本来の勤め先の大学)を別に持つ教員が、助っ人的に出講しているからです。例えば、A大学に所属している先生が、B大学から依頼を受けて非常勤講師としてB大学の授業も行っている、ということです。専任教員がいれば、授業以外でも会う機会を作れるため、行動経済学の専門家が専任教員として所属しているか確認しましょう。大学のパンフレットやWEBサイトの教員一覧で確認できます。ただ、大学の教員は頻繁に移籍するので、受験時に在籍していても大学生活の4年間でその教員がいなくなってしまうこともありえます。
 油断ならないのは、WEB上の大学紹介記事には、たとえ大学の公式WEBサイト上の記事においてさえ、古い情報が残っていることです。既に転出してしまった教員についての記事を読んで、今もいると勘違いして入学することは避けねばなりません。必ず、最新の教員一覧を確認しましょう。

【本気ポイント2】行動経済学の授業がある

 当たり前ですが、行動経済学の授業があるかも確認しましょう。たとえ専門家が教員として在籍していても、行動経済学の授業を開講していない場合もあるので、きちんと確認しておくことが大事です。また、これとは逆に授業自体は存在するものの「行動経済学の専門家ではない教員が授業を担当している」というケースもありますから、ポイント1で示したように教員プロフィールはきちんと確認しておく方が無難です。
 授業が開講されている学部学科を確認しておくことは重要です。入学するところとは異なる学部学科で開講されていたら、その授業を受講できるかわかりません(仮に制度上履修可能になっていても、時間割の関係上、卒業に必要な授業の方を優先しなければならない事態はよく起きます)。

 授業の有無をどのように確認すればよいでしょうか。1つ目の方法は、カリキュラムをパンフレットやWEBサイトで確認することです。2つ目の方法は、WEBでシラバス(講義要綱のこと)を確認してみることです。「〇〇大学 シラバス」とWEB検索すると、多くの大学でシラバス検索システムのページがヒットします。この検索システムを使って、志望する学部学科に行動経済学の授業があるか検索してみましょう。
 匿名のWEBサイト、または生成AIやYahoo!知恵袋の回答で得られる情報は虚偽情報がかなり混ざっています。「〇〇大学XX学部では行動経済学が学べる」と書いてあってもデタラメで、実際は行動経済学に特化した授業は存在しないということもあるのです(実際に授業があっても不自然ではない名門大学についてそうした嘘が書かれているケースは余計に悪質。後述するように、実は、たとえ国公立難関校であっても授業がない大学の方が多い)。必ず、上記の方法で公式情報をチェックしましょう。

WEBサイトやパンフレットのカリキュラム表にお目当ての科目が掲載されていても、実際は教員不足でその科目を最近では非開講にしている大学もあります(その状況が続くなら、そこに入学してもお目当ての科目を学ぶことはできません)。開講されているならシラバスに掲載されるので、シラバスも確認しておくのが賢明です。

【本気ポイント3】行動経済学のゼミがある

 大学で本気で一つの分野を究めようと思ったら、単に講義を受けるだけではなく、専門のゼミナール(ゼミ)を受講することが重要です。ゼミでは教員の指導の下、少人数教育と研究活動が行われるため、みっちり学ぶことができます。行動経済学をテーマとする研究活動を行っているゼミが志望校にあるか確認してみましょう。「行動経済学の講義はあるけれど、行動経済学のゼミはない」という場合もありうるので、きちんと調べておくことが大切です。その際、ゼミが開講されている学部学科がどこなのかもしっかり確認してきましょう。別のところを誤って受験すると取り返しが付きません。インターネットで調べてみたり(シラバスの確認含む)、オープンキャンパスのときに尋ねてみるなどして、確認してみましょう。シラバスを使って調べる場合は、行動経済学の講義担当教員が行っているゼミ(3・4年次の演習または卒業論文指導)の内容を確認するとよいでしょう。

【本気ポイント4】実験経済学の授業がある

 行動経済学は経済実験を行う機会の多い分野なので、実験経済学の授業も行われていると、なお良い教育環境です。

【本気ポイント5】経済実験設備がある

 日本では、経済実験専用の実験室を保有している大学はまだまだ限られています。実験設備が整っている大学は、行動経済学の研究・教育に力を入れようとしていることが分かります。志望校に実験室があるか調べてみましょう。

【本気ポイント6】行動経済学分野の大学院生がいるor若手の行動経済学者を輩出している

 大学院での研究教育が充実していれば、学部の教育も充実している可能性が高まります。大学院の実力を測る一つのバロメータは大学院生の数や、若手研究者の輩出数です。行動経済学会の大会報告者や学会誌『行動経済学』で修士課程や博士課程の学生が発表しているものを探してみて、所属大学を見てみるとよいでしょう。または、行動経済学の専門書や専門論文の著者で、若手の研究者のプロフィールを見て、どこの大学院の出身かを確認してみましょう(※学部の大学名ではなく、大学院の大学名)。
大会 | 行動経済学会 (abef.jp)
行動経済学 (jst.go.jp)


どのポイントまでをクリアしていればよいか

 少なくとも、ポイント1~3を全てクリアしていれば、ある程度充実した教育を期待できます。万全を期すならば、ポイント4~6を少しでも多くクリアするような大学を選びましょう。

 ただ、いくら受験時に入念にリサーチして入学したとしても、安心はできません。大学ではゼミの配属も選抜が行われるでしょうから、必ずしも第一志望のゼミに入れるとは限らないのです。志望通りのゼミに入れなくても、腐らずに頑張る覚悟が必要です。加えて、前述の通り、行動経済学を専門とする専任教員が移籍などの理由で退職することもありえます。そうした場合、大学が後任の教員を雇えなければ、行動経済学の講義やゼミが非開講になる可能性もあります。こうした運の要素もあることも知っておきましょう。

(ちなみに、行動経済学を学ぶための進学先について、もし私が親戚から相談を受けたら、一言目には大阪大学経済学部を挙げると思います。受験者当人の学力をひとまず度外視すれば、ですが。行動経済学を学べる大学・学部の例については、以下でさらに検討していきます)


さらに一歩進んだ大学の選び方

学部生の研究活動にも着目してみよう

 どこの大学の学部生が熱心に行動経済学の研究に取り組んでいるかという一つの参考値になるのが、「行動経済学会 学部生ポスターセッション」です。一般の研究者に混ざって学会で報告する気概のある学生はどの大学にいるのか、そして研究指導の手間を惜しまない教員はどの大学にいるのかがわかります。行動経済学を真剣に学びたい人にとって大学選びの参考にもなるでしょう。(行動経済学の専門ゼミがない大学でも学会には参加できますので、上記の「本気ポイント」をきちんと確認するようにしてください)
行動経済学会 第17回大会 (abef.jp)
行動経済学会 第16回大会 (abef.jp)
行動経済学会第15回大会 オンライン会場 (abef.jp)
行動経済学会第14回大会 オンライン会場 (abef.jp)
行動経済学会 第13回大会 (abef.jp)

 2019年から2023年までの傾向を見ると、同志社大学(経済学部・商学部)と慶應義塾大学の報告数が非常に目立ちます。それ以外には、大阪大学、横浜市立大学、福島大学、近畿大学などといった大学が継続的に報告に参加しています。これら以外の大学名については、リンク先の行動経済学会のサイトで直接ご確認ください。予稿のPDFファイルを開くと執筆者の所属学部もわかります。

 ちなみに、これまでの行動経済学会の年次大会は学生だと参加費無料でしたので、近場で開催される際には、関心のある中高生は研究発表を見学するのも良いでしょう(学生証などの身分証明書を持参しましょう。なお、開催予定の大会でも過去と同様に無料になっているかは保証できませんので、念のため必ず事前に大会の公式WEBサイトを確認してください)。一般向け教育セッションや学部生ポスターセッションだと内容は易しい方だと思います。とはいえ参加者のほとんどは社会人と大学院生なので、中高生が足を踏み入れるのはちょっと度胸が必要ではあるでしょうが。


教員・大学院生の研究が活発な大学はどこか

 科研費データベースを使い、2018年度から2024年度までに経済学やファイナンスに関連する分野で「行動経済」をキーワードに含む研究課題で科研費を獲得した件数を、研究実施大学別にみてみましょう。すると、研究が活発に行われている大学がある程度見えてきます。参照したページはリンクを貼っておきますが、2025年度以降の最新情報が追加されると以下の件数とずれが生じますので気を付けてください。また、科研費の交付期間中に交付を受けている教員・ポスドクが他大学に移籍した場合は、元の大学と移籍先の大学でダブルカウントされていることも留意が必要です。(最新情報のリンクはこちら
 なお、行動経済学の授業を持たない大学もランクインしますのでご注意ください。

7件:大阪大学
5件:東京大学
3件:慶應義塾大学、早稲田大学、関西大学
2件:京都大学*、高崎経済大学、東北学院大学*、大阪経済大学、関西学院大学
<以下略、掲載順はDBに合わせた>
(※「*」マークの付いた2校は、交付期間中に1件分の該当教員が転出しているので実質的には2件ではなく1件)


大学探しのヒント

 上記で紹介したような大学の探し方だと、どこから探してよいかわからない人も多いでしょう。探し始めるヒントとして、行動経済学会の役員や大会プログラム委員の所属大学・学部をまずは確認してみるのも手です。ここに書かれている大学・学部で、実際に行動経済学が学べるのかを上記に示したステップで調べてみましょう。
役員紹介 | 行動経済学会 (abef.jp)


行動経済学を学べる可能性が高い大学(経済学部)の例

 2023年度にインターネットで得られた情報を基に、あくまで一例として示します。ただし、専門教員の転出や休講など、最新の状況や実態を反映していない可能性もありますので、鵜呑みにはせずに必ず大学の最新の公式情報を確認してください。

【国公立大学】
・大阪大学 経済学部
・大阪公立大学 経済学部
・滋賀大学 経済学部
・高知工科大学 経済・マネジメント学群 人間行動専攻

【私立大学】
・慶應義塾大学 経済学部
・早稲田大学 政治経済学部
・同志社大学 経済学部
・関西大学 経済学部(※同志社大学経済学部の方が関連科目・教員は充実)
・近畿大学 経済学部 経済学科 経済心理学コース
・大阪経済大学 経済学部
・桃山学院大学 経済学部

<その他の大学については以下>
行動経済学を学びたい人の大学選び(追加解説編)|正力綾士 (note.com)

(注1)以下の記事でも紹介した通り、大阪大学社会経済研究所は文部科学省から共同利用・共同研究拠点(行動経済学研究拠点)に認定されています。
国公立の人気校の経済学部を比較する:高校生に知られていない個性|正力綾士 (note.com)
ちなみに、上記の記事で紹介した大学のうち、一橋大学・神戸大学・九州大学・名古屋大学・東北大学・北海道大学・横浜国立大学・東京都立大学の経済学部(都立大は経済経営学部)のシラバス・カリキュラムには、行動経済学に特化した「講義」科目は見当たりません(2023年度現在)。一方、阪大経済学部では、「行動経済学」をタイトルに含む科目が2つ、「ナッジ」をタイトルに含む科目が1つ、「行動科学」をタイトルに含む科目が1つと、行動経済学やその関連科目が大変充実していることは明白です(2024年度の開講科目より)。

(注2)「経済心理学コース」と銘打っているだけあって、近畿大学では行動経済学・実験経済学のみならず、行動ファイナンス・経済心理学・神経経済学・認知心理学・社会心理学といった関連科目も用意されています(経済心理学コースは入学後に選考を経て所属。落選することもある)。また、2024年度時点の情報では、滋賀大学経済学部には行動経済学の講義・ゼミを担当する教員以外に、認知心理学社会心理学の専門教員も1名ずつ在籍しており、関連講義のみならず心理学のゼミも開講されています。同じく2024年度時点の情報では、高知工科大学経済・マネジメント学群でも、行動経済学の担当教員以外に、社会心理学・進化心理学の専門教員が1名在籍しています。

(注3)上記以外にも、行動経済学の専門家が在籍して授業を行っている大学は存在します。受験候補である大学について、【本気ポイント】に従って確認してみましょう。ただし、関東・関西以外の地域では、行動経済学を学ぶのに良好な環境を有する大学はほとんど見つからないでしょう。そもそも専門教員がいない、いたとしても専門的な授業がないというところが圧倒的多数派です。

行動経済学以外にも色々な分野を学んでみたいという人は

 行動経済学以外にも、経済学の色々な分野を学んでみたいという人のための参考情報は、下記で解説しました。
大学選びの注意点:一部の経済学部でしか学べない科目|正力綾士 (note.com)


経済学を学べる学部についての記事はこちらから
経済系学部の選び方|正力綾士|note


最後に:あなたが学びたいのは本当に経済学?

 あなたが「行動経済学」「ナッジ(nudge)」「幸福度・満足度」「利他主義」などといったキーワードに惹かれて学んでみたいと思ったものは、実は経済学ではなく、その正体はマーケティングや消費者行動論、あるいは心理学(消費者心理学、認知心理学、社会心理学、進化心理学など)である可能性があります。こうした分野は行動経済学と関心が重複していたり、あるいは行動経済学の研究成果を取り入れていたり(逆に行動経済学の方が成果を取り入れていたり)、相互依存的な関係にある学問であったりするためです。

 その証拠に、放送大学の「知覚・認知心理学」という授業では、行動経済学でおなじみの「コイン・ギャンブル」の実験やプロスペクト理論、フレーミング効果などを紹介しています。
「知覚・認知心理学('23)」【第11回 判断と意思決定】

 経済学が想定する人間像と実際の人間行動との間のギャップに関心があったり、人間の行動のクセに着目して政策や社会制度を改善させることに興味があったりという場合は経済学部で問題ありません。
 しかし、人間の認知バイアスや行動のクセをビジネスに応用することに関心がある場合は経営学部・商学部などのビジネス系の学部(および一部の心理学部)が適しているでしょうし、そもそも人間の心理そのものに関心があるという場合はもちろん心理学部などの方が適しているでしょう。

※日本心理学会の高校生向けの動画リスト
高校生のための心理学講座 YouTube版 - YouTube

 上記に加えて、分野横断的に学べるところも検討対象になるでしょう。例えば、経済経営学部や経営経済学部のような2分野にまたがるところや、一部の政策系学部(総合政策学部など)や文理融合型学部が考えられます。政策系学部や文理融合型学部には、経済学・経営学・心理学まで含めてカリキュラムを構築しているところが一部の大学にはあります。

 経済学ではなくビジネスや心理学的な要素の方に関心があるのであれば、関連しそうな学部を色々と調べて、自分の興味関心をきちんと見極めてみましょう。

 もちろん、ビジネスに関連するのであれば経営学部や商学部の方に強みがあります。そうした学部で消費者行動論や広告論などを学べばよいのです(授業の中で消費者心理の分析に力点を置いているところにしましょう)。
※珍しい所では、追手門学院大学のように経営学部の中にビジネス心理専攻を設けていて、マーケティングや消費者行動論とは別に心理学の授業群も用意している大学もあります。ここまで明確に心理学に力点を置いている経営学部・商学部はかなり稀です。

 しかし、心理学部でも、心理学の経済やビジネスへの応用を学べる大学があります。ビジネス関係への応用に関心があるならば、ビジネス心理(消費者心理学、広告心理学、組織心理学などを中心とした科目群)の科目・プログラムや教員を充実させている心理学部が最近増えているので、そうした所を探してみるのも一案です。

 以下では、行動経済学関連の科目がある大学を挙げていきます。

 例えば、立命館大学総合心理学部では、当然ながら大部分の授業は心理学関連ですが、「行動経済論」の授業もあります。武庫川女子大学心理・社会福祉学部心理学科には「行動変容・ナッジ」「経済心理学」という行動経済学を想起させる名称の授業があり、消費者心理学などのビジネス実用的な科目も用意されています。同じように神戸女子大学心理学部には、「行動経済学概論」という授業があるほか、広告心理学やプロモーションの心理学など心理学をビジネスに応用する観点でも学べるカリキュラムが作られています。
 関東では、早稲田大学文学部心理学コースや成城大学社会イノベーション学部心理社会学科にも「経済心理学」の授業があります。心理学を軸に経営学・経済学・社会学も一緒に学びたいという場合、成城大学社会イノベーション学部心理社会学科は検討の価値ありです(ゼミ一覧を見ると中村國則
ゼミが行動経済学も扱うことが分かるでしょう)。
 北海道では北海道大学文学部において、「行動科学演習」という科目で行動経済学を扱っています(人間科学コースの行動科学研究室では行動科学を広く学べますが、その中に行動経済学も含まれています)。
(※以上は2024年5月時点の各大学のWEBサイトに依拠しています。最新の状況はご自身でご確認ください)

 経営学部・商学部・心理学部などであればどこでも上記のようなことを学べるとは限りません。また、上で示した大学名はあくまで一例であって、専門家が在籍して授業を行っている大学は他にもあるでしょう。あなたの学びたいことが学べる大学かどうか、カリキュラムや教員リストをよく見て考えてみてください。調べてもよくわからない場合は、オープンキャンパス(または大学の教職員があなたの地元へ出張して開催している進学説明会)に参加して直接質問すると、最も確実な情報を得られるでしょう。

 なお、「経済学と心理学の両方に興味があるなら、心理学的要素がある行動経済学を学べば良いと聞いた。自分は両方の学問を学んでみたいので行動経済学が学べる経済学部を探している」という受験生も多いようですが、これは非常に要注意の考え方です。経済学部に進学してしまうと、(行動経済学ではなく)伝統的経済学を学ぶ時間の方が圧倒的に多いですし、行動経済学は心理学そのものではないので、経済学と心理学をバランスよく学びたいという希望を充足させられるかがかなり疑問だからです。ただし上述の通り(注2を参照)、一部の大学では部分的に心理学も学べる例外的な経済学部もあるので、その程度の心理学学修でよいのであれば、しっかり大学を選べば経済学部でもよいでしょう。

 しかし、多くの場合は、むしろ複数の専攻を持てる制度(副専攻制度など)がある大学で、経済学と心理学を別個に専攻した方が希望に沿うのではないかと思われます。あるいは経済学と心理学の両方共がカリキュラムに含まれる分野横断型の学部も選択肢になるでしょう。こうした進路も視野に入れつつ、自分に適したところをよく検討してみてください。