野党が内閣不信任決議案を提出する5つの理由|政権与党は国民の信を問え
本日15日午前9時、立憲民主・日本共産・社民・国民民主の4党共同で内閣不信任決議案が提出される見通しです。これには立派な大義があります。「政治の空白を生む」「緊急事態宣言下で解散・総選挙をさせるつもりか」などの批判はまったく的外れです。以下ご説明します。
※現在れいわ新選組は参議院議員しかいないため今回の「内閣不信任決議案」には関与していませんが、気持ちは同じだと思います。
☆不信任の理由1 国会の会期延長を拒否
内閣の信任・不信任は何か一つの理由だけでなく全体的に判断することではありますが、一つの契機は野党側の国会会期延長の申し出を自民党が拒否したことです。
これから変異株対応やワクチン接種などコロナ関係、そして東京五輪など重大事が続きます。補正予算を組んだり法律案を可決したりすることは閉会中審査では対応できません。この大事な時に国会議員が夏休みに入るなどあり得ないでしょう。
自公政権は2020年の夏も冬も野党が求める国会の会期延長を拒否しました。コロナ禍にもかかわらず一度も会期を延長していません。民主党・菅直人政権下では当時野党だった自民党が猛反対する中、国会会期を70日間も延長して東日本大震災の対応に全力を注いだのとあまりに対照的です。
☆不信任の理由2 コロナの封じ込めに失敗・やる気もない
国会の会期延長に応じないという一事を以ってしても不信任に値するわけですが、最大の不信任理由は菅義偉政権は発足以来9か月間ずっとコロナ対応に失敗し続け、かつやる気すら感じられないということです。
2021年になってから東京都に緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が出ている日数を数えると、6/20までの171日間のうちなんと143日間。全体の約84%に相当します。6/21以降もまん延防止等重点措置に切り替えられて継続する方針のようです。これは「緊急事態」ではなく、もはや日本の「常態」です。
平穏に過ごせた日数はわずか16%だけであるにもかかわらず、持続化給付金どころか特別定額給付金すら今年は支給がありません。1円の補償すらないままにずーっと「自粛」してくださいと「お願い」されるだけで、抜本的な感染症対策は何一つなされていません。
ないのは補償だけではありません。PCR検査の件数も一向に増える気配はなく、ナンなら厚生労働省が自らPCR検査を抑制するための言説を垂れ流していたことが明らかになっています。
ワクチンも大幅に遅れています。日本のワクチン接種状況はOECD加盟国37か国で最下位、世界でも129位です。G7参加国で比較してみると、
🐣<人口100人あたり接種完了人数>🐣
🇬🇧イギリス…44.62%
🇺🇸アメリカ…43.56%
🇩🇪ドイツ…25.68% ※カナダも同水準
🇮🇹イタリア…23.17%
🇫🇷フランス…20.96%
ーーーーーーーーーーーーーーーー
日本…4.33%
ワクチンなし、PCR検査なし、補償なし。何にもなし。ただひたすら、20時以降の飲食店を閉めるように「お願い」するだけ。コロナウイルスは夜行性ではありません。
野党各党はコロナを封じ込める具体的な戦略をとっくの昔に示しています。やる気も実行力も実績もない自公政権には1日も早く退陣していただいて、やる気も戦略もある野党にこの国を任せましょう。
☆不信任の理由3 東京五輪の強行
自公政権は国民には我慢を求める一方で、それでいて東京五輪だけは強行しようとします。学校では運動会すらできないところも多く、開催地の知事が「県境をまたぐ移動はしないで」と呼びかける状況下で、世界中から10万単位で人を呼び寄せてスポーツイベントとはどういう神経してるんでしょうか。
菅義偉首相は「G7で支持を得て五輪は国際公約となったからもはや延期・中止はない」などと詭弁を弄していますが、説明責任を尽くして支持を求めるべき相手は世界の首脳陣ではなく開催地の主権者たる日本国民です。9日の党首討論ではコロナ禍で敢えて五輪を開催する意義について菅義偉首相は何一つ示すことはできませんでしたし、その前後においても一切示されません(特定業界・団体が利益を貪る話だけがたくさん聞こえてきます)。
IOCや世界の首脳が何を言おうが関係ありません。五輪の開催是非の決定権を持つのは開催国の主権者である私たちです。(しかもG7の開催支持はあくまで「安心・安全なら」という条件付きですし、正式な合意事項でもありません。詳細はこちらをどうぞ。)
市民の命や暮らしを犠牲にしてスポーツ大会を強行しようとする政府なんか何の存在意義もありません。東京五輪を中止するべき8つの理由は別の記事にまとめていますのでそちらもぜひご覧ください。
☆不信任の理由4 教訓を活かす姿勢の欠如
コロナ感染症は世界的にも未曽有のできごとでしたから、一度くらいの失敗であれば「仕方ない」と考える余地もあります。(※厳しいことを言えば「感染症の流行」自体は歴史的に何度も繰り返されている現象なわけですから、このくらいの危機は想定しておいてほしいです。例えば日本共産党の田村智子議員は2019年4月9日、コロナ禍になる前の時点で「国立感染症研究所」の人員削減を問題視する国会質疑を行っています。このように事前に危機を想定し備えることこそ政治家の本来の仕事です。仮定の質問に答えを差し控えるような大臣など必要ありません。)
しかし、自公政権には上記のとおり反省する気もまじめにやる気もまったく感じられません。緊急事態宣言それ自体が3度めの発出となり、ダラダラ続いているわけですから、どうして3度も出す羽目に陥ったのか、どうして目標期限内に解除できなかったのか、ちゃんと原因分析と反省をして再発防止に活かすべきであるのに、そうしたことを菅義偉首相は何も語らないし、党として取り組んでいる気配すらありません。
それだけではありません。WADAさんによる警察庁への開示請求により、いわゆる「自宅療養」(という名の国家による遺棄)により、今年1月~5月21日までで全国で少なくとも122人も亡くなっていたことが判明しました。最多は大阪28人、次いで東京22人、兵庫20人、神奈川11人と続いています。
病気を罹患したのに病院で適切な医療が受けられずに亡くなった人の数です。曲がりなりにも先進国を自称する国として、本来は0で当然の数字です。このような医療崩壊の現状が一市民の開示請求で初めて明らかになること自体が大問題です。
しかも自公政権は増税した消費税を使ってこの期に及んで病床削減を進めたり、後期高齢者の医療費の窓口負担を1割から2割へと倍増したりしています。「消費税の増税分全額は社会保障の充実と安定化にしか遣わない」という約束を反故にしているだけでも問題であるのに加えて、今まさに感染症禍であるときに医療を削減・弱体化するなど正気の沙汰ではありません。
※安倍政権下、2014年の政府広報。大嘘でした💢
※話は逸れますが2012年総選挙のときの自民党ポスター。政権奪還後には掌を返してTPP賛成に回りました。ウソしかつかない、ある意味ブレない自民党💢
教訓を次の事態に活かそうとする姿勢が欠如するばかりか逆行することしかしない自公政権に、私たちの命や暮らしを任せるわけにはいきません。
☆不信任の理由5 自民党の強権政治と腐敗
昨年9月の菅義偉政権の発足以降、わすか9ヶ月の間で、
✅吉川貴盛・元農林水産大臣
✅河井克行・元法務大臣
✅河井案里・元参議院議員
✅菅原一秀・前経済産業大臣
なんと4人もの自民党議員(うち3人は閣僚級、しかも法を司る法務大臣までいる!💢)が有罪判決を受け辞職しています。異常事態です。
いずれも金権問題です。中には私たちの血税である政党交付金1.2億円を含む1.5億円を組織的にバラまいて有権者を買収したという、民主主義を根底から歪める悪質極まる事例もあります。
にもかかわらず、上記のうち1件たりともまったく説明がありません。本人の記者会見もなければ自民党の党としての説明も一切なし。例えば6月3日には野党が菅原一秀を政治倫理審査会に出席させるよう求めましたが自民党はまったく取り合いませんでした。その前日である2日には内閣記者会が取材を申し入れていますが、秘書官を通じ「首相として回答することはないので受けない」と取材を拒んでいます。
事件そのものもさることながら、説明責任を果たそうとする素振りを一切見せない自民党の不誠実極まる姿勢こそ厳しく糾弾されなければいけません。
金権腐敗だけではありません。強権政治も大問題です。沖縄に対する強権、日本学術会議に対する強権、そして「令和の治安維持法」とも称される重要土地規制法案にデジタル庁設置法。「意に沿わない官僚は左遷させる」と公言して憚(はばか)らない菅義偉首相は、官僚のみならず国民をも厳しい監視下に置き、意に沿わない国民を排除できる仕組みを作ろうとしています。
G7では「民主主義、自由、ジェンダー平等含むあらゆる平等、法の支配、人権尊重などの普遍的価値を共有すること」が合意されました(※東京五輪の開催と異なりこちらは正式な合意事項です)。しかし菅義偉政権の言動や政策は「普遍的価値」に逆行することばかりです。
1933年、リットン報告書の採択に反対して日本は国際連盟を脱退しました。今日においても日本は度重なる国連からの勧告を無視し続けています。このまま自公政権に国を任せていたら、88年前と同じように日本は国際社会から完全に孤立してしまうでしょう。G7での菅義偉首相の立ち振る舞いを見ると、既に孤立しつつあるのではないかと強く懸念されます。日本が世界から干される前に、私たちが自民党を選挙で干すことが必要です。
☆おわりに
以上、菅義偉政権に対する不信任の理由のうち主なもの5つのみをご説明しました。まだまだたくさんありますがもうお腹いっぱいでしょう。
検察は刑事責任しか追及できません。政治家の政治責任や道義的責任を追及し、ダメな政治家に「懲罰」を科すことは私たち有権者にしかできない仕事です。その最重要の機会が選挙です。
内閣不信任決議案の提出を受けて、政権与党が衆議院解散・総選挙に踏み切るかどうかは未知数ですが、つい先日も二階俊博・自民党幹事長が「(野党が内閣不信任決議案を提出するなら)いつでも解散に打って出る決意はある」と言い切ったばかりです。有言実行していただこうではありませんか。五輪前に、国民の信を問うべきです。
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