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小説の中身だけでなく発表会でも泣けた本屋大賞2021|孤独ゆえの繋がる喜び

※この記事にはネタバレはございません。安心してお読みください。
(Amazonの紹介文に書かれている程度の内容説明はあります)

☆今さら聞けない「本屋大賞」とは?

昨日14日、本屋大賞2021が発表されました。本屋大賞は書店員の投票により決定するのが特徴で、2004年に『博士の愛した数式』(小川洋子さん著、新潮社)が記念すべき第1回本屋大賞を受賞して以来、今回で18回めを迎えます。


過去一年間(2019年12月~2020年11月)で、書店員自身が自分で読んで「面白かった」「お客様にも薦めたい」「自分の店で売りたい」と思った小説を投票、一次投票で上位10作がノミネートとして選ばれ、さらに二次投票で全て読んで投票し大賞作が決まる仕組みです。

既に結果はご存じの方が多いとは存じますが念のために貼っておきます。

※トップ画も依空さんのツイートから引用しました🙇‍♀️

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☆翻訳小説部門『ザリガニの鳴くところ』

翻訳小説部門第1位は『ザリガニの鳴くところ』(ディーリア・オーエンズさん著、友廣純さん訳、早川書房)でした!

6歳で家族に見捨てられたときから、たったひとりで生きなければならなかった少女のカイア。この小説での重要テーマは「孤独」であると著者のオーエンズさんは仰います。貧困、差別、暴力といった重いテーマも描かれています。しかし、読み終えると解放感というか、どんな命にも生きようとする力が備わっている、という印象を受けると訳者の友廣純さんは仰っています。

オーエンズさんは優れた動物行動学者でもあり、学生時代に手つかずの原始の自然を求めてアフリカに渡り、20年以上もフィールドワークなど研究を続けてきた方です。そんな彼女は、「ヒト」という動物の行動についてどのように描いているのか。未読の方はぜひお読みください!🦞

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☆超発掘本『「ない仕事」の作り方』

そして発掘部門の超発掘本には『「ない仕事」の作り方』(みうらじゅんさん著、文春文庫)が選ばれました。

「仏像ブーム」を牽引してきた第一人者であり、「マイブーム」や「ゆるキャラ」の名付け親としても知られるみうらじゅんさんが、それまで世の中に「なかった仕事」を、企画、営業、接待も全部自分でやる独自の手法で作ってきた「みうらじゅんの仕事術」。アイデアのひらめき方から印象に残るネーミングのコツ、世の中に広める方法まで、過去の作品を例にあげながら丁寧に解説されています。

私もそうですが、コロナで大学中退を余儀なくされたり、仕事がまったくなくなったり、という方も多いと思います。こんな時代だからこそ、「ない」ところからできること、やるべきことを自ら作り出す気持ちが大切かもしれません。

「好きなことを仕事にしたい」、「会社という組織の中にいながらも、新しい何かを作り出したい」と願っている人たちに贈る、これまでに「ない」ビジネス書。サラリーマンの方にも個人事業主の方にも私みたいな全力ニートの方にもおススメです!


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☆初めての長編小説で本屋大賞に!

そして、見事に本屋大賞2021大賞に輝いたのは、『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこさん著、中央公論新社)でした🐳


2016年、新潮社が主催する「女による女のためのR-18文学賞」で大賞を受賞した町田そのこさん。受賞作「カメルーンの青い魚」は短編集『夜空に泳ぐチョコレートグラミー』に収録されています🐟

「女による女のためのR-18文学賞」は、応募者は女性に限られており、また選考委員の作家や下読みにあたる編集者も女性のみというかなり尖った新人文学賞です。ちなみに2015年以降の選考委員は三浦しをんさん辻村深月さん、そして友近さんが「友近賞」を選出しています。

児童虐待の問題やLGBTQ の差別問題などに関心の高かった町田そのこさんにとって、「女による女のためのR-18文学賞」は相性が良かったのかもしれません。

また、原稿用紙30~50枚、ネットから応募できて、1人3作までOKと、新人文学賞の中では垣根が低かったというのも応募の動機だったようです。

そんな経緯もありこれまではずっと短篇小説を書いていた町田そのこさん。実は『52ヘルツのクジラたち』は、長編小説としてはなんと町田そのこさんの初作品でした。

生まれて初めて発表した長編小説でいきなり本屋大賞をとってしまうなんて、めっちゃすごいですね✨🐋

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52ヘルツのクジラとは?

タイトルにある「52ヘルツのクジラ」は、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴くため、仲間に声を届けられない「世界で最も孤独なクジラ」として知られています。

デビュー作を執筆するために海洋生物を調べていた時に「52ヘルツのクジラ」と呼ばれているクジラの存在を知った町田そのこさん。このクジラの存在が、自身の興味ある児童虐待やLGBTQ 差別などの諸問題にすんなり結びついて、いつか書いてみたいとずっとアイデアを温めていたようです。

物語の舞台となる大分県は、福岡県内にある町田そのこさんの自宅から車で1時間ちょっとの身近な土地です。町田そのこさんは祖父母から「大分の海には時々クジラが迷い込んでくる」という話を聞いたことがあって、舞台を大分県に決めたそうです🐋

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☆あらすじ

長年にわたって親から虐待を受け、心に深い傷を負っていた三島貴湖(きこ)は、家族の束縛から逃れ、大分県の古い一軒家に引っ越します。穏やかに暮らすつもりだったのに、地元の人たちの無遠慮な眼差しにさらされてうんざりさせられる日々。

ある日、貴湖は一人の少年と出会います。彼は聞いた言葉を理解することはできますが、言葉を発することはできないのでした。いつもおびえている様子から、貴湖は少年もまた虐待されているのではないかと疑うのですが…。家族に人生を搾取されてきた女性と、母親に虐待されている少年との出会いは、二人にどのような運命をもたらすのでしょうか?

物語は、「明日の天気を訊くような軽い感じで、風俗やってたの? と言われた」という、なかなか衝撃的でキャッチーな一文から始まります。普段は好んで読まないような作家の作品も敢えて読んで、読み手を飽きさせないように1行目から「殴りつける」つもりで書き出しを研究された成果だそうです。確かにインパクトがあるだけでなく、主人公の置かれている環境や立場が一瞬にして想像できますね。

「読んだ後に『よかった。あしたも頑張ろう』と思える作品を、ずっと書き続けていこうと思っています」と語る町田そのこさん。『52ヘルツのクジラたち』もきっと、あなたの背中を押してくれます!✨🐳

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☆小説で泣き、スピーチでも泣ける😭

本屋大賞の発表会はYouTubeで見ることができます。


🔖ディーリア・オーエンズさんからビデオメッセージ

🔖友廣純さんのスピーチ

🔖みうらじゅんさんのスピーチ

🔖町田そのこさんのスピーチ&記者会見

と本好きならたまらないイベントです。他にも主催者、協賛社、書店員さんのコメントもかなり良くて感動します。涙あり笑いあり1時間まったく飽きることはありません。

町田そのこさんのスピーチのダイジェストも貼っておきます。


こちらでもよいのですが、ぜひともYouTubeで全篇を見ていただきたいです!小説で泣いて、スピーチでも泣きましょう!😭


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☆おわりに 孤独ゆえの繋がる喜び

思い出しましょう。『52ヘルツのクジラたち』が出版された2020年4月はちょうど緊急事態宣言が出ていた時期でした。年中無休をウリにしていた書店もあっさり長期休業になってしまうような、今よりもっと混乱した世相でした。

『ザリガニの鳴くところ』と『52ヘルツのクジラたち』。ともに「孤独」と、孤独であるが故の「人と繋がることの喜び」を描いた作品が本屋大賞の各部門で1位に輝いたことを私は偶然とは思えません。

人と会うことが簡単ではなくなってしまった昨今。これまでは全国から多くの書店員や編集者や作家がたくさん集まるにぎやかなイベントだった本屋大賞の発表会は、昨年と今年、2年続けて配信での形を余儀なくされています。

私の地元では、幼少の頃から親しんでいた大型書店が閉店に追い込まれて私は立ち直れないショックを感じています。あんな大きな本屋さんですら潰れてしまうのかと。

あまりこの記事で政治の話はしたくはないですが、お気に入りの書店が廃業に追い込まれなくて済むような、従前のようにとはいかなくても今年よりは華やかに本屋大賞の発表会ができるような、古き良き時代を真っ当なコロナ対策により取り戻したい。そういう社会の実現を目指して私は日々、noteを書いています。

私が放つザリガニの鳴き声と52ヘルツのクジラの声、あなたは聴きとってくれますか?


最後までお読みいただき、真にありがとうございました🙇‍♀️今後もがんばりますので励ましのスキ・コメント・フォロー・サポート・おススメ・記事の拡散などしていただけますとめっちゃ嬉しいです。フォローは100%返します。今後とも有益な情報発信に努めますので応援よろしくお願いします🙇‍♀️

歴代の本屋大賞ノミネート作は全部で182冊あります。ぜひ、あなたのお気に入りの1冊を見つけてみてください。読書をアウトプットしよう!またねー💕


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🔖本について語りたいならnote大学読書部へ!

😻note大学にもあなたの背中を押してくれるチア部があります!

🐳町田そのこさんの足元にも及びませんがよければこちらもどうぞ🙇‍♀️

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🌸🍃この記事の執筆者、note Partnerは、コペル&アヤでした🐣


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