化粧品OEMと環境配慮
おはようございます、化粧品開発者のけいです。
9月も後半になり、夜はすごしやすい気温になりました。
お風呂上がりに少し外の空気を吸うと気持ち良いので、皆さんも試してみてください。
いよいよ今週、2023年9月27日～29日にインテックス大阪で開催される化粧品開発展があります。
私は2日目（28日）に行きます。当日お越しになる方がいらっしゃれば、会場でお話しできれば嬉しいです！
第4回化粧品開発展【大阪】2023｜主催：RX Japan株式会社 (cosme-week.jp)
さて、無印良品のスキンケア「敏感肌シリーズ」が全面リニューアルし、天然成分100％になったようです。
無印良品のスキンケア「敏感肌シリーズ」が全面リニューアル 天然成分100％に (fashionsnap.com)
今回は前から解説していました化粧品OEM業界の問題点(課題)の解決法【４回目】です。
早速ですが、現状の問題点は以下の５項目です。
１．過剰な宣伝
２．高価格
３．不必要な成分が多い
４．環境への負荷
５．個人差
今回は「４．環境への負荷」について詳しく解説していきます。
環境への負荷（問題点）
スキンケア商品に使われる容器はプラスチックやガラス製が多いのが実情です。
大手の化粧品メーカーではこのような配慮も行ってきていますが、まだまだ中小のOEMメーカーはそのレベルに至っているわけではありません。環境配慮に重きを置いている企業がOEMで自社商品を出すとき、中身、容器ともに頭を抱えることになります。
環境配慮とは？
近年、サステナビリティな商品が増えてきており、企業は「SDGs（持続可能な開発目標）」の取り組みにより力を入れるようになっています。
化粧品業界でも大手化粧品会社を筆頭にSDGsへ取り組むメーカー、化粧品販売会社が増えています。
でも、、、
化粧品製造（OEM）でどのような取り組みをすればよいのか？
この記事では、SDGsの考え方と化粧品OEMでできるSDGsについて考えていきます。
まずはじめに、
SDGs（持続可能な開発目標）とは改めて何なのか？
SDGs（エスディージーズ）」とは、「Sustainable Development Goals（持続可能な開発目標）」の略称です。
SDGsは、国際社会共通の目標として、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で決められました。
2015年から2030年までの長期的な開発の指針として、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、この文書の中核を成す「持続可能な開発目標」がSDGsと呼ばれています。
SDGsは、17項目の目標が掲げられており、「SDGs（持続可能な開発目標）17の目標」ともいわれます。
分野は多岐にわたり、経済格差や差別の撤廃、飢餓や環境問題、教育や人権問題とさまざまです。
その17の目標というのは以下の通りです。
この目標の中から、それぞれの企業が社会的責任を果たすための取り組みを行ないます。
これからは企業が実践可能なものを一つひとつ積み重ねていくことが求められています。
化粧品OEMでできるSDGsとは？
化粧品OEMでできるSDGsとはいったい何なのか？
これについて考えてみます。
化粧品OEMにはいくつかSDGsポイントがあります。
これを知るためには、化粧品が何でできているかを理解する必要があります。
化粧品が完成するまでの工程（流れ）を簡単にまとめると次のようになります。
バルク(中身)製造 → 容器へ充填 → 化粧箱に入れる → 納品
この中で注目すべき点は主に2つ、「容器」「化粧箱」になります。
この2つがSDGsを行ないやすいポイントになります。
それではそれぞれ説明していきます。
容器
海洋プラスチック問題が深刻化する中、代替プラスチック素材やリユース可能な容器を使う化粧品メーカーが増えています。
その中で化粧品の容器をサステナブルにするためには、4Rと呼ばれる4つの視点が用いられています。
その4つの視点とは
樹脂の使用量を減らす「リデュース」
詰め替えで対応する「リユース」
再生樹脂を使う「リサイクル」
植物や再生由来のプラスチックといった代替素材の採用「リニューアブル」
４つの頭文字をとって「４Ｒ」。ボトル、キャップには一つでも多くの「Ｒ」を新製品の開発段階で盛り込もうという基本方針です。
これらを実施するためには、化粧品容器の素材、形状、加飾の3つの場面でよりサステナブルな選択が求められます。
素材
化粧品容器の素材をより環境負荷の少ないものに取り替えることで、4Rのうちのリユース（再利用）、リニューアブル（代替素材）になります。
素材の代表例は以下の通りです。
・バイオマスプラスチック
・リサイクルペット
・グリーンナノ
・紙
企業によって選択が異なりますが、このような素材によりCO2排出量の削減、生分解性プラスチックといった自然に帰るモノなど、環境配慮へ貢献することが可能となります。
形状
容器の軽量化やレフィル（詰替え）を採用することで容器に使われるプラスチック量を減らすことが可能です。
また、薄型にすることで輸送での環境負荷を減らすことができます。
ここでは、4Rのリデュース（樹脂の使用量を減らす）に当てはまります。
・レフィルタイプ → 詰め替え容器(パウチ容器)、付け替え容器(容器の内部のみ付け替えられるものなど)
・メール便対応容器 → 薄型容器
・軽量化容器 → 樹脂量を削減された容器
このように製品のライフサイクルや取り組みのしやすさから、「詰め替え・付け替え」製品が注目を集めています。
また、メール便対応容器も昨今では増えてきています。
加飾
容器に施される印刷や包装を簡略化することで、環境負荷を減らします。
ここでは4Rのリデュース（樹脂の使用量を減らす）に当てはまります。
・印刷の簡略化
・ラベル対応とその印刷の簡略化
・シュリンクの有無
・封印シールの有無
過剰な包装をなくすことで、リデュース化させるとともに消費者の利便も向上させることになります。
化粧箱
ここではFSC認証について説明します。
FSCってなに？
FSCは、森林の問題を解決するために、1994年に設立されました。1980年代、欧米では熱帯産の木材が環境破壊や人権侵害に繋がっているということで、熱帯材の不買運動が起こっていました。しかし、不買運動では、適切に森林管理を行っている生産者の木材も区別なく不買につながり、木材が売れなくなった林業者が森林を伐採し、農地に転換してしまうなど、結果的に森林破壊を止めることはできませんでした。 そこで、適切に管理された森林からの木材を区別して購入できる認証制度の必要性が検討され、26カ国の環境NGO・林業者・林産物取引企業・先住民団体などが中心となって設立されたのがFSC（Forest Stewardship Council、森林管理協議会）です。
FSC認証は環境、社会、経済の便益に適い、きちんと管理された森林からの製品を目に見える形で消費者に届け、それにより経済的利益を生産者に還元する仕組みです。
※FSCジャパンHPより引用→森を守るFSCマークとは | Forest Stewardship Council
FSC認証にはマークがあり、化粧箱に印刷することで環境に配慮した紙を使用していることをPRできます。FSC認証はSDGsへの取り組みの一環として認識されるようになっています。
いかがだったでしょうか？
このように化粧品容器、化粧箱の素材を一捻りするだけでサステナビリティな商品になります。
これからの時代、さらに環境配慮の考えが強まっていく中で、SDGsへの取り組みは無視できません。
一人ひとりが小さなことに取り組むことは、業界の継続にもつながることを頭の片隅に置き、商品づくりに取り組んでいきましょう。
それでは市場にも目を向けてみます。
市場商品の実用事例
資生堂
【SHISEIDO】オイデルミン エッセンスローション | SHISEIDO | 資生堂
これは資生堂さんのオイデルミン エッセンスローションです。
本体とレフィルに分かれており、本体容器を繰り返し使用することにより、使用後廃棄するプラスチック量を92%削減します。
（2本目を購入時、本体容器を廃棄する場合と、使用後にレフィル容器のみ廃棄する場合との比較）
コーセー
https://www.kose.co.jp/company/ja/content/uploads/2022/08/2022090102.pdf
コーセーさんの雪肌精 クリアウェルネス オーバーナイト クリームです。
こちらの容器はバイオマスプラスチックを採用しています。
このように化粧品では容器をサステナブルにし、SDGsに取り組んでいる企業は多くあります。
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写真引用元
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