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【読書】 『学生街の殺人』 東野圭吾(著) 講談社文庫

『学生街の殺人』 
東野圭吾(著)
 講談社文庫

あらすじ
学生街のビリヤード場で働く津村光平の知人で、脱サラした松木が何者かに殺された。「俺はこの街が嫌いなんだ」と数日前に不思議なメッセージを光平に残して……。第2の殺人は密室状態で起こり、恐るべき事件は思いがけない方向に展開してゆく。奇怪な連続殺人と密室トリックの陰に潜む人間心理の真実!

書名:『学生街の殺人』
著者名:東野圭吾
発売日:1990年07月06日
定価:880円(本体800円)
ISBN 978-4-06-184721-7
判型:A6
ページ数:482ページ
出版社:講談社(講談社文庫)
講談社HPより引用

東野圭吾さんの作品としては4作目、講談社としては3作目の本書『学生街の殺人』。

巻末解説によると、講談社発行の『放課後』『卒業 雪月花殺人ゲ-ム』と本書『学生街の殺人』は青春期を背景にした初期三部作。
そして第41回日本推理作家協会賞長編部門候補と第9回吉川英治文学新人賞候補になった作品。

物語序盤では事件の全貌も犯人候補も目処がたたず、読み進めるとともにミステリーのパーツがみえてくる読み応えのある推理小説。
終盤からはまさに一気に読み終えた。
いつの日か映画化されそうな、そんなミステリー小説。

物語後半、主人公の津村光平が父と対話する場面が印象的だ。

どう生きるかなんてことは、ちょっと年くっているからといって話して聞かせられるものじゃない。自分でもわかっとらんのだから
(中略)
どんな人間でも、一種類の人生しか経験することはできん。一種類しか知らんわけだ。それなのに他の人間の生き方をとやかくいうことは、傲慢というものだ。
(中略)
道を間違ったらどうするんだい?
(中略)
間違いだと思えば引き返せばよい。小さな過ちをいくつも繰り返しながら、一生というのは終わっていくものではないかな。中には大きな過ちもある。
(中略)
その事実から目をそらしてはいかんだろうな。償う気持ちを宝にして、その後のことにあたるべきだろうな。それでなくては、生きていけん。
(本書より一部抜粋)

自身の進退に思い悩む息子に父が語った話だ。
未来への道を藻掻きながらも事件を解決し前に進もうとする主人公に感慨深く思う。

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