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展覧会まとめ

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観た展覧会の記事をまとめていきます
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#芸術

シュルレアリスム展(ポンピドゥーセンター)

シュルレアリスム展(ポンピドゥーセンター)

 詩人のアンドレ・ブルトンが『シュルレアリスム宣言』を発表してから100年という節目に、シュルレアリスムの都パリが満を持して開催するド級の展覧会です。日本でもシュルレアリスムと関連した企画は多く、国際様式と化した美術運動ですが、その総本山の本気が見えます。

概要 作品の豪華さはもちろんですが、導入部の演出からわくわくさせるもので、日常や現実とはここから離れますよ、というテーマパーク的な演出になっ

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「未完の始まり 未来のヴンダーカンマー展」(豊田市美術館)感想

「未完の始まり 未来のヴンダーカンマー展」(豊田市美術館)感想

豊田市美術館で開催されている、現代美術の展覧会です。毎度ワクワクさせてくれる数少ない美術館です。

これまでの展示もぜひ読んで頂きたいです。

概要ヴンダーカンマーとは「脅威の部屋」と訳される、世界中の珍品が集められた部屋のことを指します。特に15〜18世紀にかけて貴族たちが鉱物や貝殻といったものをコレクションし、見せ合っていました。

18世紀に博物学が成熟して、謎のままごちゃ混ぜになっていたも

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ウスター美術館蔵・印象派展 感想

ウスター美術館蔵・印象派展 感想

東京都美術館で開催されている印象派展。ウスター美術館はアメリカ・ボストンから西に進んだところにある、アメリカでも最初期に印象派の絵画を集めていた施設です。

印象派展は山ほど開催されてきましたが、今回はかなり異色の内容だったと思います。モネが2点しかない、ということもありますが、主眼が「印象はどのように国際的な様式として普及したか」というものでした。

概要前半部でコローからモネ・ルノワールなどが

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テート・ブリテンのリニューアルについて

テート・ブリテンのリニューアルについて

どのようなものだったかはTwitterを覗いてください。

続き

テート・ブリテンのリニューアル展示は、これまで以上に女性や有色人種のアーティストに重点が置かれています。しかし賛否両論(明らかに否の方が多い)です。

これまでマイノリティーとして真剣に取り上げられなかった作家を取り上げた、だけならこうはなりません。批評家憤慨のわけは明らかに「これまで長く偉大とされてきた画家や作品が減らされたこと

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スペインのイメージ展感想(西洋美術館)

スペインのイメージ展感想(西洋美術館)

版画中心ということもあり、あまり話題になっていないようで、私が行った時も休日の割には空いていました。カタログは今期の展覧会の中では最も読み応えがあると思いました。

概要ヨーロッパでもイベリア半島はイスラーム勢力の侵攻などから、ちょっと違うよねと長く思われていました。いわば未知の国です。しかしその未知が生み出したイメージに引き寄せられ、特にロマン主義以降スペインは大人気の旅先になります。

またス

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織田有楽斎展 感想

織田有楽斎展 感想

京都文化博物館にて開催中の「大名茶人 織田有楽斎展」の感想です。京都での会期は6月25日までですが、来年の1月末から東京のサントリー美術館でも開かれます。有楽町の語源にもなってる大物です。

概要織田有楽斎(長益)は信長の13歳下の弟で、兄と一緒に多くの戦に従軍した武将ですが、本能寺の変で状況は一変します。

信長の後継者信忠と共に二条御所にいたのですが、信忠を置いて脱走。この行為が武士として色々

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重要文化財の秘密(国立近代美術館)の感想

重要文化財の秘密(国立近代美術館)の感想

前期に行きました。展示されている作品全てが重要文化財であり、日本の近代美術の展開と「正典」を知ることができるとても良い機会でした。

概要何より、ホームページの作品紹介の小ネタが面白いです。バーっとピンクに染まり、それを指で拭うことで文字が出てくる仕組みです。遊び心があります。ぜひ試してみてください。

作品は教科書に載っているような作品ばかりですし、美術初心者の方でも楽しめるもので、とても良かっ

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