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離職率低減のカギ!中小企業で実践するeNPSによる従業員満足度向上法

=eNPSを活用して、従業員の本音を把握し、離職防止とエンゲージメント向上を実現する具体的な方法=

中小企業が離職率を下げるための効果的なeNPS活用法とは?従業員の本音を引き出し、エンゲージメントを高めるステップ

従業員の離職率が高い中小企業にとって、離職防止策を見つけることは重要な経営課題です。特に、採用や育成にコストをかけても、定着しないことで経営資源が浪費されてしまうケースが増えています。

ここで有効なのが、「eNPS(Employee Net Promoter Score)」です。eNPSは、従業員のエンゲージメントや職場に対する忠誠心を測るシンプルな指標で、従業員の本音を引き出し、組織改善の手がかりを提供します。

本記事では、eNPSを活用して従業員のエンゲージメントを向上させ、離職率を効果的に下げるための具体的なステップをご紹介します。eNPSの導入がもたらすメリットや、中小企業での運用方法をわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。


第1章: eNPSとは?中小企業における重要性と基本的な仕組み


eNPSの概要と背景

「eNPS(Employee Net Promoter Score)」は、従業員が自社をどれだけ推奨したいかを測る指標です。もともと「NPS(Net Promoter Score)」という顧客満足度を測定する指標を基に開発されました。

eNPSは従業員に1つの質問を投げかけ、その回答から職場のエンゲージメントや忠誠心を評価します。

質問は「あなたはこの会社を友人や知人に推薦しますか?」というシンプルなものです。0から10のスコアで回答し、その結果に基づいて従業員がプロモーター、パッシブ、デトラクターの3つのグループに分類されます。

なぜ中小企業にもeNPSが必要なのか

中小企業においても、従業員のエンゲージメントを向上させることは、企業の成長に不可欠です。eNPSは、従業員満足度を迅速に把握し、改善すべき点を明確にするツールとして非常に有効です。

特に中小企業では、従業員一人ひとりの貢献度が大きく、離職が業績に直接影響することも少なくありません。eNPSを活用することで、従業員の忠誠心を測定し、早期に対応策を講じることで、優秀な人材の定着とモチベーション向上が期待できます。

従業員満足度調査(ES)との違い

従業員満足度調査(ES)は、従業員の総合的な満足度を詳細に調査するのに対し、eNPSは「企業を推奨するか」という具体的な行動意欲に焦点を当てています。このシンプルさにより、eNPSはスピーディーに実施でき、リソースの少ない中小企業でも手軽に導入できる点が大きなメリットです。


第2章: eNPSの導入前に知っておくべきこと


eNPS実施の目的を明確にする

eNPSを実施する前に、まずその目的を明確にすることが重要です。例えば、従業員のモチベーションを測定して改善するのか、離職率の原因を探るのか、あるいは職場環境の向上を図るのか、企業ごとに目的は異なります。明確な目的を設定することで、調査の結果を活用しやすくなります。

調査対象の選定と準備の進め方

eNPS調査の対象は、理想的には全従業員に行うべきですが、部署ごとや役職ごとに段階的に実施することも可能です。調査対象を決める際は、対象者が回答しやすい環境を整え、調査が偏りなく行われるように配慮します。特に匿名性を確保することが従業員の率直な意見を引き出すために重要です。

質問の設計と追加質問の有効活用

eNPSの基本的な質問はシンプルですが、追加で従業員に自由に意見を述べてもらう質問を設けると、より詳細なフィードバックが得られます。例えば、「このスコアを選んだ理由を教えてください」や「会社の改善点があれば教えてください」といった質問は、改善策のヒントとなる情報を提供します。


第3章: eNPS調査の実施手順とポイント


調査ツールの選び方(無料ツールの活用)

eNPSを実施する際に使用するツールとして、Google FormsやMicrosoft Forms、SurveyMonkeyなどの無料オンライン調査ツールが便利です。これらのツールを使えば、手軽にアンケートを作成・配布し、結果を集計できます。中小企業ではコストを抑えるため、こうした無料ツールを活用すると良いでしょう。

調査の実施方法と従業員の参加促進

調査を成功させるためには、従業員全体に対して調査の目的をしっかり説明し、協力を呼びかけることが大切です。また、従業員が時間的な制約を感じないように、調査は短時間で終わるよう設計し、全員が気軽に参加できる環境を作ります。調査の回答率を高めるために、適切なフォローやリマインダーも効果的です。

匿名性の確保と信頼できる結果を得るための工夫

従業員が率直に回答できるよう、eNPS調査は必ず匿名で行います。匿名性を保証することで、従業員は恐れずに本音を回答し、信頼できるデータを得ることができます。また、調査実施後には従業員に対して結果の共有を行い、今後の改善に役立てる旨を伝えることが信頼構築に繋がります。


第4章: eNPSスコアの分析と改善に向けたアプローチ


eNPSスコアの計算方法と評価基準

eNPSスコアの計算は非常にシンプルです。まず、従業員の回答を3つのカテゴリーに分類します。

  • プロモーター(推奨者): スコア9〜10をつけた従業員。このグループは企業に対して非常に満足しており、他者に推薦する意欲が高いです。

  • パッシブ(中立者): スコア7〜8をつけた従業員。このグループは満足しているものの、積極的に推奨するほどではなく、競合他社への転職なども検討しやすい状況です。

  • デトラクター(批判者): スコア0〜6をつけた従業員。このグループは企業に対して不満を持ち、他者に推奨するどころか、むしろ否定的な意見を持つことが多いです。

eNPSスコアの計算式

eNPSスコアは以下の計算式で求めます。

 eNPS = プロモーターの割合(%) - デトラクターの割合(%)

たとえば、100人の従業員のうち、プロモーターが40%、デトラクターが20%の場合、eNPSスコアは以下のように計算されます。

 eNPS = 40% - 20% = +20

スコアは -100 から +100 までの範囲で表され、プラスのスコアであれば、企業全体として従業員のエンゲージメントが良好であることを示します。スコアが高いほど、従業員が会社に対して忠誠心を持ち、積極的に推奨していると考えられます。

スコアの目安

  • +50以上: 非常に高いエンゲージメントレベル。従業員の満足度が高く、職場環境や企業文化が良好であると評価されます。

  • +10〜+50: 良好な状態。全体としては従業員のエンゲージメントが高いが、いくつかの改善点が残っている可能性があります。

  • 0〜+10: 改善が必要。従業員のロイヤリティが低く、離職のリスクが高い可能性があるため、迅速な対応が必要です。

  • マイナススコア: 危機的な状況。従業員の多くが不満を持っており、離職リスクが非常に高いと考えられます。早急に組織改革や環境改善が求められます。

自由記述のフィードバック分析

eNPSのスコアだけでは、従業員が具体的に何に満足し、何に不満を抱いているのかを把握することはできません。そこで、追加で行った自由記述のフィードバックを分析することが非常に重要です。このフィードバックを適切に分析し、解釈することで、具体的な改善策を見つけ出すことができます。

自由記述から得られる有用な情報

自由記述欄では、従業員が感じている具体的な問題や、改善すべき点が明確に浮き彫りになります。以下のような点に注目してフィードバックを分析します。

  1. ポジティブなフィードバック: プロモーターが企業に対して特に満足している点や、推奨したい理由が書かれています。これを分析することで、企業の強みを明確にし、さらに強化する方向性を見出せます。

  2. ネガティブなフィードバック: デトラクターが不満を持っている理由が記述されています。特に、職場環境や労働条件、上司との関係、キャリアパスの不透明さなどが問題として挙げられることが多いです。これらを具体的に分析し、改善することで、従業員のエンゲージメントを向上させるヒントが得られます。

  3. パッシブ層のフィードバック: パッシブ層からは、特定の問題点が明確に示されることは少ないかもしれませんが、企業に対して「良くも悪くもない」という中立的な意見が多く見られます。この層をプロモーターに引き上げるために、どのような改善が必要なのかを探ることが重要です。

フィードバック分析のポイント

  1. 頻出ワードの洗い出し
    自由記述のフィードバックを読み込んで、頻繁に出現するキーワードを洗い出します。例えば「コミュニケーション不足」や「労働環境の改善」など、複数の従業員が共通して抱いている課題を抽出します。

  2. ポジティブとネガティブを分ける
    ポジティブなフィードバックとネガティブなフィードバックを分けて分析します。ポジティブなフィードバックをさらに強化するための施策を検討し、ネガティブなフィードバックに対しては具体的な改善策を見つけ出します。

  3. 部門やチームごとの違いを分析する
    もし部門やチームごとにフィードバックを分類できる場合、それぞれの部門が抱える特有の課題や強みを明確にすることができます。例えば、ある部門では労働環境に対する不満が強いが、別の部門ではキャリアパスに対する不透明感が強い、といった具体的な課題が浮かび上がることがあります。

分析結果に基づく優先的な改善策の決定

eNPSスコアと自由記述のフィードバックを分析した結果、次に取り組むべきは、改善策の具体化です。すべての問題を一度に解決するのは現実的ではないため、優先順位をつけて効果的な施策を打つことが求められます。

優先的に取り組むべき課題の選定

  1. インパクトの大きい課題を優先する
    最も多くの従業員が不満を持っている課題や、企業全体に大きな影響を与える問題を優先的に解決します。たとえば、コミュニケーション不足や労働環境の改善など、多くの従業員が共通して感じている課題があれば、それを早急に改善することで、エンゲージメントが大幅に向上する可能性があります。

  2. 早期に解決できる課題に取り組む
    一方で、すぐに対応可能な改善策にも取り組むべきです。例えば、社内コミュニケーションの改善や、柔軟な働き方の導入など、比較的短期間で実施できる施策を進めることで、従業員に対して企業が積極的に改善に取り組んでいる姿勢を示すことができます。

  3. 長期的な改善策も視野に入れる
    長期的な施策として、キャリアパスの透明性向上やリーダーシップトレーニングなど、時間がかかるものの企業全体の成長に繋がる取り組みにも着手します。これにより、従業員が長期的に安心して働ける職場環境を整えることができます。

改善策の実施プロセス

  1. 改善チームの編成
    具体的な改善策に取り組むため、経営陣や人事担当者を中心に改善チームを編成し、改善策を実行するための計画を立てます。従業員の意見を反映した改善策を策定し、実行する責任者を決定します。

  2. 実施計画の立案
    改善策ごとに具体的な実施計画を立て、目標と期限を設定します。計画的に実施することで、改善の進捗を管理しやすくなります。また、従業員に対しても改善の進捗を定期的に報告し、透明性を保つことが重要です。

  3. フィードバックの循環
    改善策を実施した後は、その効果を測定するために再度eNPS調査を行い、従業員の反応や新たな課題を把握します。これにより、改善のサイクルを継続し、企業全体としてエンゲージメントの向上を図ります。

まとめ

eNPSスコアを計算し、自由記述から従業員の具体的なフィードバックを得ることで、企業が取り組むべき課題が明確になります。

次に、その課題に優先順位をつけ、インパクトが大きく、早期に対応できる課題から改善を進めることが成功の鍵です。

さらに、改善策を実行した後は、定期的に効果を測定し、フィードバックを反映させることで、企業全体のエンゲージメントを継続的に向上させることが可能です。


eNPSアンケート

1. 基本のeNPS質問:

Q1. あなたは、同僚や友達にこの会社で働くことをすすめたいと思いますか?

  • 0(全くすすめたくない)〜10(とてもすすめたい)の中から数字を選んでください。

(このスコアからプロモーター(9〜10)、パッシブ(7〜8)、デトラクター(0〜6)の割合を計算します。)


2. 理由を聞くための質問:

Q2. そのスコアを選んだ理由を教えてください。
(自由記述)


3. 良い点を引き出す質問:

Q3. 会社の中で「ここはいいな」と思うところがあれば教えてください。
(自由記述)


4. 改善点を引き出す質問:

Q4. 「もっとこうしてほしいな」と感じるところがあれば教えてください。
(自由記述)


5. 未来に向けた質問:

Q5. 今後、会社や自分の働き方に期待していることがあれば教えてください。
(自由記述)


このように、シンプルで答えやすく、従業員が本音で感じていることを引き出せるような質問にしました。質問の言葉を優しくすることで、回答者もリラックスして回答でき、より率直なフィードバックを得やすくなります。


第5章: eNPSを効果的に運用するためのフォローアップ


定期的な調査と改善のサイクルを作る

eNPSは一度実施して終わりではなく、定期的にフォローアップ調査を行うことが重要です。四半期ごとや半年ごとに調査を実施することで、改善策が効果を上げているかを確認し、新たな課題を早期に発見できます。継続的なサイクルを作ることで、従業員エンゲージメントの向上が長期的に期待できます。

eNPSの結果を経営層や従業員と共有する方法

調査結果は経営層だけでなく、従業員全体とも共有することが推奨されます。透明性を保ちながら結果をフィードバックし、今後の改善計画を明確にすることで、従業員の信頼感が高まります。また、改善の進捗を定期的に報告し、従業員に変化を感じてもらうことが重要です。

成果を追跡し、継続的に従業員エン

ゲージメントを向上させるためのアプローチ
eNPSの実施と改善策の継続により、従業員エンゲージメントが向上する過程を追跡します。目標を設定し、達成度を定期的に評価しながら、長期的な視点で改善に取り組むことが求められます。特に中小企業では、従業員一人ひとりの貢献が大きいため、定期的なフィードバックと柔軟な対応がエンゲージメント向上に繋がります。



記事全体のまとめ


この記事では、eNPS(Employee Net Promoter Score)を中小企業で効果的に実施するための具体的な手順を解説しました。eNPSは従業員が会社をどれだけ推薦したいかを測るシンプルな指標であり、従業員エンゲージメントや忠誠心を迅速に把握できる点が特徴です。

中小企業では、従業員一人ひとりの影響が大きいため、eNPSを活用することで、離職率の低減や生産性向上が期待できます。記事では、eNPSの導入手順として、目的の設定、調査の準備、実施、結果の分析と改善、継続的なフォローアップのプロセスを段階的に解説しました。

また、定期的なフォローアップと透明性の高い結果の共有が、従業員エンゲージメント向上に繋がると説明しました。eNPSを適切に運用することで、中小企業における持続的な成長が実現可能です。

さいごに

最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。
中小企業の人事担当者の皆さまに、この記事が会社の従業員エンゲージメント向上や職場環境改善の一端に活用いただければ幸いです。eNPSはシンプルで実行しやすく、企業の成長に直結する貴重な指標です。これを通じて、従業員がより充実感を持って働ける職場作りのお役に立てることを心より願っております。


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この記事を最後までご覧いただき、心から感謝申し上げます。
中小企業の人事担当者として、皆さまが直面する多様な課題に対して、より実践的なアイデアや効果的な戦略を提供できることを願っています。

皆さまの未来への一歩が、より確かなものとなるよう、どうぞこれからも一緒に前進していきましょう。

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