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季節を味わう

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日本の自然や言葉の美しさについて、みのおエフエムの番組内で語ったことのまとめ。 主に、暦、季語、季節の花、季節の色について。
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5月の季語「風薫る・薫風」(季節を味わう#0057)

5月の季語「風薫る・薫風」(季節を味わう#0057)

世界で一番短い詩、俳句。
「季節を味わう」では、毎月第2水曜日に季語を一つピックアップ。
その季語が使われている俳句も紹介します。あくまでも私の好みで。

【風薫る、薫風】

五月は木々の緑が美しい季節です。
「風薫る」「薫風」は、緑の香りを運ぶ心地よい風のことを表現した季語です。もともと和歌では花や草の香りを運ぶ春風のことを意味していましたが、俳句では初夏の風の意味で使われるようになりました。

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2024年5月の暦・行事(季節を味わう#0056)

2024年5月の暦・行事(季節を味わう#0056)

「季節を味わう」では、毎月第1水曜日にその月の暦や行事をまとめます。

2024年 5月(皐月)1日(水) メーデー、八十八夜

「メーデー」はかつては「労働者の団結と主張の場」と位置付けられていましたが、現在は「働くすべての仲間の祭典」となっています。
「八十八夜」は立春から88日、暦の上での夏の始まりである「立夏」を数日後に控えて、夏の準備を始める日です。

3日(金) 憲法記念日

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4月の花・植物の俳句(季節を味わう#0055)

4月の花・植物の俳句(季節を味わう#0055)

「季節を味わう」では、毎月第4水曜日にその月の花・植物を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。

【藤】藤は山野に自生するマメ科の蔓性植物で、晩春に咲きます。「藤色」という色の名前になっているほど、美しい色合の花を咲かせます。小さな蝶々のような形の花が房をなすのが特徴。藤棚に仕立てて、垂れる花の様子を楽しみますが、風に揺れる様も風情があります。
藤は万葉の時代から歌に詠ま

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行事・催事の俳句 4月(季節を味わう#0054)

行事・催事の俳句 4月(季節を味わう#0054)

世界で一番短い詩、俳句。
2024年度からは毎月第3水曜日の「季節を味わう」で その月の行事をピックアップ、関連する俳句をご紹介します。
さまざまな行事・催しの中から私の好みで選びました。

【都をどり】

「都をどり」は毎年4月1日から30日まで、京都祇園甲部歌舞練場で開催される舞踊公演のこと。明治5年、勧業博覧会の催しとして開催されたのが始まりで、現在では京都に春を告げる行事として定着していま

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4月(晩春)の季語「雀の子」(季節を味わう#0053)

4月(晩春)の季語「雀の子」(季節を味わう#0053)

世界で一番短い詩、俳句。
「季節を味わう」では、毎月第2水曜日に季語を一つピックアップ。
その季語が使われている俳句も紹介します。あくまでも私の好みで。

【雀の子】

4月(晩春)の季語です。
雀の卵は10日ほどで孵化。数日はまだうまく飛べず、親が付き添って餌の取り方を教え、だいたい2週間ぐらいで巣立ちします。
雀の繁殖は年に2、3回ありますが、春に生まれたヒナ「雀の子」は春の季語で、雀のヒナは

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3月の花の俳句(季節を味わう#0051)

3月の花の俳句(季節を味わう#0051)

「季節を味わう」では、毎月第4水曜日にその月の花を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。

【菜の花】日本では古くから油菜が栽培されていましたが、現在ではほとんどが西洋油菜です。秋に種を蒔くと、翌年の春に芽を出して黄色い十字の形をした花をつけます。一面の菜の花は元気な黄色でありながら、どこか郷愁を誘います。

菜の花や月は東に日は西に  与謝蕪村

この句は、安永3年(1

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日本の色 3月(季節を味わう#0050)

日本の色 3月(季節を味わう#0050)

「季節を味わう」では、毎月第3水曜日に季節を象徴する日本の色をピックアップ。
3月にもたくさんの色があります。その中から私の好みで選びました。

【曙色】

曙色はオレンジ色がかったピンク色で、東雲色・オーロラ色ともいいます。 サーモンピンクに近い色味で、英語色名のオーロラと同じ色です。
枕草子に「春はあけぼの やうやう白くなりゆく山ぎは すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる」とあるこ

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3月(春)の季語「卒業」(季節を味わう#0049)

3月(春)の季語「卒業」(季節を味わう#0049)

世界で一番短い詩、俳句。
「季節を味わう」では、毎月第2水曜日に季語を一つピックアップ。
その季語が使われている俳句も紹介します。あくまでも私の好みで。

【卒業】

3月(春)の季語です。
日本では小学校から大学まで、卒業式の多くは年度末の3月に行われます。
卒業は別れでもありますが、次のステップに踏み出すことでもあります。別れの寂しさや新たな世界へ一歩踏み出す不安がある一方で、新たなステージへ

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2024年3月の暦・行事(季節を味わう#00048)

2024年3月の暦・行事(季節を味わう#00048)

「季節を味わう」では、毎月第1水曜日にその月の暦や主な行事をまとめます。(全てを網羅するものではありません)

2024年 3月(弥生)1日(金) 奈良東大寺二月堂修二会

 修二会は我が身の汚れと罪を懺悔し、国家繁栄と五穀豊穣、人々の安寧を祈念する法会で、3月1日から2週間にわたって行う奈良東大寺二月堂の修二会が有名です。

3日(日) 上巳の節句・雛祭

 雛祭の正式名称は「上巳の節句」。かつ

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2月の花の俳句(季節を味わう#0047)

2月の花の俳句(季節を味わう#0047)

「季節を味わう」では、毎月第4水曜日にその月の花を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。

【梅】春の季語である梅は、中国が原産で、8世紀ごろ日本に渡ってきたと考えれています。約4500首が収められている『万葉集』には、梅の花を詠んだものが119もあるそうで、かつては花といえば、桜よりも梅だったことが伺えます。
単に梅といった場合は白梅を指します。まだ寒さが残る中に咲く様

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日本の色 2月(季節を味わう#0046)

日本の色 2月(季節を味わう#0046)

「季節を味わう」では、毎月第3水曜日に季節を象徴する日本の色をピックアップ。
2月にもたくさんの色があります。その中から私の好みで選びました。

【紅梅色】

早春のシンボル梅の花。紅梅色は文字通り紅梅の色から名付けられた色で、少し紫がかった淡い紅色を指します。
現代では「お花見」と言えば「桜」を思い出しますが、かつて日本では春の花と言えば「梅」。香り高く春の訪れを告げる花として愛されてきました。

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2月(春)の季語「立春」(季節を味わう#0045)

2月(春)の季語「立春」(季節を味わう#0045)

世界で一番短い詩、俳句。
「季節を味わう」では、毎月第2水曜日に季語を一つピックアップ。
その季語が使われている俳句も紹介します。あくまでも私の好みで。

【立春】

2月(春)の季語です。
一年を二十四に分けた二十四節気。立春はその一つです。
節分の翌日にあたり、今年(2024年)は2月4日でした。
暦の上でこの日から春とはいうものの、まだまだ寒気が厳しい季節です。
寒さの中にも少しずつ春の兆し

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2024年2月の暦・行事(季節を味わう#00044)

2024年2月の暦・行事(季節を味わう#00044)

「季節を味わう」では、毎月第1水曜日にその月の暦や主な行事をまとめます。(全てを網羅するものではありません)

2024年 2月(如月)3日(金) 節分

翌日は立春、暦の上での春が始まります。
その前日が冬と春の二つの季節の分かれ目、節分です。
元々節分は、立春、立夏、立秋、立冬の前日を意味していましたが、旧暦では春の始まり立春を一年の始まりとして大切にしたため、その前の節分だけが残るようになり

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冬の食べ物の俳句(季節を味わう#0043)

冬の食べ物の俳句(季節を味わう#0043)

「季節を味わう」では、第5水曜日にその季節の食材を詠んだ俳句をご紹介します。あくまでも素人の好みで選んでおります。

【鰤】【大根】譲りあひ席の生まるる鰤大根   照井翠

冬の料理「鰤大根」。冬の食材である鰤と大根を甘辛く煮た料理です。大まかに西日本では塩ぶりが、東日本では塩鮭(荒巻鮭)が年越しのご馳走とされています。
昔はぶりを日持ちさせるために塩漬けしていました。この塩漬けしたぶりを年末に丸

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