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文乃 | 歴史フリークときどきコーチ
2022年6月22日 11:01
わたしたちが幼かったころ、祖父母はすぐ、あがなおうとした。じっと見つめていたり、興味をもったものがあれば、すかさず言った。「ほしいんか」甘い声だった。あわてて首をふる。もの欲しげだったのかと、恥ずかしかった。そんな卑しさを、だしてはいけない。ものをほしがるのは、下の下だ。そう思っていた。祖父母は、どこかに連れていってくれるたびに、かならずなにかを買ってくれようとした。おみやげ
2022年5月26日 12:13
短冊が、目の前にぶらさがっている。こう書かれている。自分には能がない、と。道場を変えることにした。ああ、むりだ。もう通えない、と思ったあの日の夜のことを、現像できるくらい明瞭に覚えている。ふつうに考えたらそりゃそうなんだけれど、もう曜日の組みようがない。日常に占める比重が大きすぎる。平日の退勤後に、地下鉄で道場に向かう。帰宅して22時。そこからおふろと夕飯。始業も早いので、早く眠らな
2022年5月25日 14:43
静御前はなぜ名乗らないのか。自分が静だと認めたら、命が危ない。名乗るか名乗らないか、認めるか認めないか。お腹には、やや子がいる。九郎義経の子。謀るか、謀らないか。最後の最後まで迷う。だからこそ輝く、満座のなかで歌いながら舞う白拍子。しずやしず しずのおだまき くりかえし 昔を今に なすよしもがな静よ静よと、あの方がわたしを呼んだ、あのころに戻りたい。だって今もお慕いしているの
2022年5月11日 17:59
ほんとのとこは、なんでもいいんだよ。たいしたことなくても。脇役に感じても。添え物に感じても。お新香ですらなくても。煌びやかでなくても。足に落ちる影が濃くても。濃くみえても。なんの進歩もしていないように感じても。ということを引用4連発で重ねるので、引用おわるまでついてきてください。そう、自分の時間なんだから、ゆっくり使おうよ。のっとられたり、ゆずったり、明け渡したりしないで、自分の肩幅く
2021年1月5日 21:57
まだまだ若いラグビー界の伝説が、ある日突然、末期ガンになった。高校時代、その伝説にあこがれたノーベル賞受賞者が、医師として、親友として、その最後の挑戦を見届ける。この文言だけを読んで、想像する内容そのままの本。文面がやわらかく、暴力的なところも、血をふりしぼるようなところもなく、終始、淡々としている。おとなになってからの友情はありえるのか。悲劇をまえにして友情は、美しいままでありえる
2021年1月2日 00:00
かなしみセンサーの鍛錬に余念がない、切なさ向上委員会のみなさま。そう、あなたです。だいたいこのタイトルを聞いただけで、ピンときますね。きっと戦争だ。あたりです。友にわかれを告げるだけで。旅支度をするだけで。出征する学友の、若いまなざしが、胸を去来します。かなしい旋律シリーズ、つづきます。惜別の歌は、一番はこう。遠き別れに たえかねてこの高殿に 登るかな悲しむなかれ 我が友