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ものかきのおかしみと哀しみ

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草は仕事をしてるのか

草は仕事をしてるのか

ときどき草むらでぼーーっとする。草たち、と言っても、ほとんど冬枯れしてるけど。

枯れた草といっても、よくみると地面に這いつくばるようにして冬を越してる多年草の草もある。踏まれても平気なタイプの草たち。そういうのをしゃがみこんで見るでもなく見てる。

そう、真冬でも。ずっと画面に向かってて、ときどき無性に「土」に近づきたくなるんだ。いや、さすがに昼間でも氷点下の日とか吹雪いてるときとかはしませんが

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文章の後ろ姿までプロかどうかの話

文章の後ろ姿までプロかどうかの話

人のエネルギーってふしぎだなと思う。直線距離で12,000km離れた時空を超えて、何か伝わってくることもあるから。

何が何に反応してどうなるのかわからないけど(そういう研究分野もあるんだろうな)たしかに感じた。

ワダシノブさんがつぶやいてるのを見て、ああそうだったと思ったのだ。

フロリダのハードロック・スタジアムで開催された今年のNFL優勝決定戦、スーパーボウルのハーフタイムショー。

アメ

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タイトルだけで旅に出れる

タイトルだけで旅に出れる

煮詰まっている。圧倒的にいろいろリソースが足りてない。

煮詰まるの本来の意味は「いい感じに考えや作業が熟して完成が見える」だけど、最近はもうひとつの解釈で使われるほうが多い。

これ以上先に進めない、行き詰まってるほうの煮詰まるだ。まあどっちでもあるわけだけど。

煮詰まってくると旅に出たくなる。

もちろん現実的にそんなのは無理の無理なので、せめてときどき意識だけ旅に出る。

たまにやるのがタ

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読む人が足りない問題にnoteで見つけた答え

読む人が足りない問題にnoteで見つけた答え

読み手が足りない。最近、よく聞く。書き手はものすごく増えたけれど(noteもそうなんだけどね)読み手が圧倒的に不足してるのだ。

え、読んでるよという人もいると思う。そう、みんな読んでる。だけど、ちょっと思い返してみてほしい。あなたは本当に読んでるだろうか。

書かれたテキストを追って、文字情報を視覚野から言語野に渡し、そこで過去の自分のデータベースを参照して文脈を理解しというのもたしかに「読む」

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自分から降りるくせについて

自分から降りるくせについて

ふつうはしないよ。

その声には、いくらかの蔑みと呆れが入っていた。

そのとおりだよな。味もわからなくなったハイボールを飲みながら、僕も同意する。昔の話だ。なんでそのくだりになったのかわからない。まあでも、飲みながらの話なんてそんなものだ。

僕が元もといたメディア系企業の制作ブレーンをやってたときのこと。

制作ブレーンは外の人間なんだけど半分「中の人」みたいな関わり方で仕事をする。一緒にクラ

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ジップロックとフジロック

ジップロックとフジロック

ふと似ているなと思った。何の前触れもなくそういうことがある。

あれとこれが似ている。音の響きだったり、存在の確かさや不確かさだったり。あたり前のようにあるのに誰も意識していない感じだとか。

瞬間的にふたつのものが降ってきて、ランウェイの僕の前で立ち止まる。

そうだね。ジップロックとフジロック、似てるかもしれないね。音の響き以外にも何かあるんだろう。じゃなきゃ、わざわざ立ち止まったりはしない。

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土があれば生きていける

土があれば生きていける

土地があればではない。「土」だ。「soil」。こいつまた何言ってんだと思われそうだけど。

土があれば生きていける。アジテ―ション的に言ってるわけでもなくて、わりと素でそう思う。思うというか感じてるから、それを言語化したら「土があれば」になるだけだ。

吉玉サキさんのnoteを読んであらためて思った。

あえての有料noteだから引用はしない。ただ、僕らも根っこの部分では同じような感覚は持ってる。

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何日後に死ぬヤギ

何日後に死ぬヤギ

『100日後に死ぬワニ』という@yuukikikuchiさんの4コマ漫画をみんな楽しみに読んでると思う。いまや国民的連載だ。

それは言い過ぎだけど、僕の周りではけっこう読まれてる。

とくにすごい出来事が起こるわけじゃない。なんなら本当に100日後にワニが死ぬのかすらわからない。

100日後に死ぬとされてるけど、だからってワニは、残された命で特別なことしなくちゃと思ってるようにも見えない。ワニ

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最後に愛は勝つだとか

最後に愛は勝つだとか

仕事の中に「愛」を入れるのが難しくなってる。

愛なんて臭いこと考えてたらだんだんソファに沈んでしまいそう。あいみょんっぽく言ってみた。だけど、まあそんな感じはする。

端的にいろんな仕事の現場で「時間」が厳しくなっている。効率。数値目標。

考えるべきこと、気にするべきことがありすぎて、そこに時間を費やさないといけない。

効率と数値目標(それ以外もあるけど)をクリアするために時間がいくらあって

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フリーランスこそラジオ体操をやったほうがいい理由

フリーランスこそラジオ体操をやったほうがいい理由

ラジオ体操をほぼ毎日している。というと意外な反応をされるのだけど。そういうイメージはないらしい。

どこかの工場とか現場で勤めてるわけでもないフリーのライターなのに?

たぶん99%の人はラジオ体操に興味ないと思うので、ちょいちょい小ネタ挟んでいくよ。

なんでフリーランスのライターがラジオ体操するのか? 

最初は妻がどこからか「ラジオ体操いいらしいよ」と聞いてきたのがきっかけ。正直、最初は「ラ

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取材の笑顔の向こう側(再放送)

取材の笑顔の向こう側(再放送)

取材用の顔というのがある。比喩的な意味でも使われるけれど、実際にその現場に居合わせるといろいろと考えさせられる。

ある著名な法律家の先生のところに伺っていたときに、急に新聞社の記者が同席することになった。

記者は時間がないらしく先に話を聞きたいという。僕は別にかまわなかった。どうせその日は泊まりだし、時間は気にしなくていい。

先生は「それならすぐに始めましょう」と、僕らとの雑談をやめて記者か

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おじいさんはもう山へ芝刈りに行かない

おじいさんはもう山へ芝刈りに行かない

おじいさんは山へ芝刈りに、おばあさんは川へ洗濯に。

昔話『ももたろう』の有名な書き出しは令和の時代になっても生き続けている。なんてことのない、おじいさんとおばあさんの日常が書き出しなのに、なんでこんなに記憶に残ってるんだろう。

まあ、でもそれはよくて、問題はもうおじいさんは山へ芝刈りに行かないことだ。

これも有名な話だけど、本当は「芝刈り」じゃなく「柴刈り」。べつにおじいさんは山で優雅に芝生

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好きなひとのはなしをするよ

好きなひとのはなしをするよ

いつ告白しようかと、ずっと考えていた。

嘘です。そういう誤解を招く言い方はよくない。だけど、いつ書けばいいんだろうなというのはずっと自分の中にあった。これは本当。

日記の話だ。

僕には好きな日記がある。もしかしたら、その人はこんなふうに話題にされるのはあまり好まないのかもしれない。

日記はどうしたって本来、その人自身に向いているものだから。なのになぜか日課のように読んでしまう

短い日記だ

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なぜ、あの飲食店本を読みたくなるのか(その5)バーのマスターが書く理由

なぜ、あの飲食店本を読みたくなるのか(その5)バーのマスターが書く理由

どんな仕事もそうだと思う。新人のころは先輩や大ベテランの仕事ぶりが、すごく余裕のあるものに見えたし、本当に同じ職業を名乗っていいのだろうかと気後れすることもあった。

自分は仕事の中身もスカスカなのに、悩みはつきない。わからないことは聞けと言われても、なにがわからないかがわからないのだ。まるで服を買いに行く服がない状態。(ちょっと違う)。

そんなのは誰もが通る道で、その先にはとくに悩むこともなく

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