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フォトギャラリーFUKASAWA屋

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#小説

分岐(小説10)

「どうせ最後はみんな死ぬんだから、周りの目なんて気にせず自分の好きなことやりなよ。」 僕はこの言葉が嫌いだ。 確かに生物である以上どうせ死ぬ。 それはどんな生物も例外なく訪れるもので、この主張自体は一理ある。 しかし、これは裏を返せば「どうせ最後はみんな死ぬ、絶対死ぬんだから、何をやっても無駄でしょ。」 ということになる。 僕はどちらかと言うと、後者の考えを方だ。 妹が死んだ。 涙が出るかなと思ったらそんなことはなかった。 あまり気持ちのいい奴ではなかったか

長編連載小説『サンキュー』第314話。

 俺は、洗濯機に汚れ物を入れて、回し、洗濯槽に溜まっていた汚れも取って、汚れ物を全部洗ってしまってから、ベランダと、部屋に分けて干した。ベランダの方が早く乾く。俺が洗濯籠に、洗濯物を入れて、干していると、近くの人が来て、 「前川さん、こんにちは」  と言ってきた。もう、午後11時を回る時間帯なのだ。紘一を接客していて、遅くなった。紘一は帰った。保険証券と保険証のデータは、ちゃんと、パソコンに入力させて、それで事が済んだ。後は、医療保険の認可が下りるのを待つだけである。(以

ハッシュタグご報告

梅雨の晴れ間。 一人暮らし、社会人、アラサー、独身、女♀。 平日より3時間ほど寝坊して、溜まっていた洗濯物を5L洗濯機に放り込み、水栓を捻ってスイッチオン。 たちまち衣類が水の渦に巻き込まれていく。 これだけで家事が大分進んだ錯覚が起きる。 もう7年も使用している洗濯機が仕事を終えるには、あと40分はかかる。 そうだ、こんな天気の良い日曜の昼は、インスタグラムを開いて「#ご報告」で検索をかける。 どんどん出てくる、誰だか知らない人たちの#ご報告。次から次へとスワイプ、スワ

ショート・ストーリー~ホットミルクをあなたと

僕は、あまり万人受けしない小説を書いている。 わざとそうしている節がある。 簡単に僕の中の宇宙を理解されてたまるか、という思いと同時に、 ストーリー展開がわかりやすく、キャラクター重視の話が周りでウケているのを感じて、焦りを感じてもいた。 易きに流れると、ろくなことはない。作品さえよければ、今は認められる時代だ。 僕が敬愛する、ミステリー小説家の言葉だ。その言葉だけを支えに、今まで書いてきた。 いつか、誰かが認めてくれる。 いろんな賞に応募した。 新聞社主催の

あるもの削りの達人

無いものねだりをした経験は誰にでもある。〇〇ちゃんは頭が良くて算数が凄いできる、私も賢くなりたい。 あの人はお金持ちの家でいいなぁ、私も贅沢がしたいなぁパパ! 生まれつき足が速かったら、いい記録出たんだけどなぁ。 あいつは天才でいいなぁ。俺にもわずかでも才能があったらなぁ・・。無いものねだり程、実現が難しく、自分を苦しめるものはない。 ねだったところで、人それぞれ限界があることをいつしか知ることになる。 そこで提案、「欲しい→失う」に発想の転換をし、あるものを削りを

夏休み、神様と出会った

 長期休みはいつも親戚の厄介になる。親が忙しいからだ。一日中小学生の面倒など見てられない。子供を無料で預けられる先が田舎の親戚しかないため必然的にいつもそこ。送り迎えさえも難しいほど忙しいらしく、いつも一人で電車に乗っていく。途中からバスも利用する。そうして着いたエアコンのろくに効かない古屋で、特にすることもなく、ただただ宿題を倒す。ゲームさえも持ってくることを許されず、近所の見知らぬ子供の輪に紛れるコミュ力もなく、畑仕事等でそれぞれ忙しい親戚たちになにかねだれるほどの勇気も

執筆日記83 風みたいな

寂しいとかカッコいいことがしたいとか、そういう感情や欲求がエネルギー源なのかもしれないと思った。 心が持続的に満たされることがないので、満たされ「そう」なことをしたいと思って何かを作っているのかもしれない。 心の中はスカスカではないが、なんとなく風が吹いている。 それは無色透明で、普通に生きてたら寝れば忘れる程度のちょっとした感情だけど、毎日そういう透明な風みたいな感情を記録してかき集めると、案外それなりの質量のあるものになるのかもしれない。 折角色々思って生きてるの

彼とお笑い

私には3年付き合ってる彼氏がいる。そして今その彼氏は私の目の前にいる。大きなため息。彼が話がしたいとか言って私を喫茶店に誘ったくせに中々話そうとしない。仕方ない、こうなってしまっては私が話を振るしかない。振りたくないけどね、どうせあれでしょ?心臓がぎゅっと締め付けられて目の前が真っ白になる現象を引き起こすあの話でしょ? 別れ話でしょ? 「あの、どうした?話って何?」 「ごめん、好きな人ができた。だから別れてほしい。」 やっぱりか。話なんて結婚か別れだろうなとは思ってたけど、最

「しあわせですか~?」「しあわせですよ~!」

時を24歳に戻しましょう。 青年にとって2度目のテレアポのお仕事だったのですが、この時はあまりうまくいきませんでした。 仕事内容としては、以前にやった時と似たような感じだったのですが…いや、似たような内容だったからこそダメだったとも言えます。 3年前と違って、今回は大手金融会社で働くことになったんですけど。間に人材派遣会社が入っているにもかかわらず、結構な金額の時給を払ってもらってました。そこら辺のハンバーガー屋さんやコンビニで働くよりは、よっぽど効率よくお金が稼げる額

【冒頭だけ小説】イスタンブールの空

「あの飛行機雲はあなたと私みたいね」  二つの飛行機雲が交差し、互いに引き離れていくのを僕らは見てた。  愛している人に愛されている状況というのは奇跡だ。愛の難しさを知ったとき、自分がこの世界に生きていることが少し奇跡に感じた。 彼女の空を仰いだ横顔が夕日に染められて輝いている。 僕は奇跡のような時間をあとどれくらい過ごせるのだろう。

やっと、ログインできた。

 メールアドレスじゃなくて、noteIDを入れれば、ログイン出来る。あと、パスワードも。今から読書しますが、もう一つ、回顧談がある。昔、ボクが作品を上梓した時、千葉に住んでおられた三尾さんという方がおられた。当時、60ぐらいで、今ご存命なら、75ぐらい。息子さんが40になるかならないかで、お孫さんもおられると思う。三尾さんは、結構ボクの作品に関しては、辛辣な意見を言っていて、辛口の事も言ってきた。ある意味、昔ながらの人で、元は名古屋におられたらしい。まあ、別に、昔の話なんかし

八百屋を始めた2年前、、、

もうすぐ八百屋を始めて2年が経とうとしているけど、始めた当初がどんな感じだったかを書いてみようと思う。当初、自作のドレッシングを売り歩いていた時期で、手作りのドレッシングを生産者直売所や、スーパーに営業して、置いてもらった先では試食販売をするといったことを始めて一年が経つと言う時期で、試食販売をすればそこそこ売れるし、取り扱ってくれるお店も少しはあった、ただ利幅が少なくてこれで生活するには相当な数売れないと難しいぞ、と限界めいたものを感じ始めていた。たまに、「自分でお店を出せ

2020年の13冊目

は、コチラ↓↓の長編小説! 『スター』(朝井リョウ 著) 朝井リョウさんの作家生活10周年記念作品として〔白版〕と〔黒版〕の2作品があり、本作は〔白版〕に位置づけられた作品です。(ちなみに、黒版は人間の性欲をテーマに書き下ろした『正欲』。2021年春に発売予定です。) 本作の主人公は、大学時代に同じ映画サークルに所属していた尚吾と紘の二人。 二人は一緒に作った映画が新人の登竜門となる映画祭でグランプリを受賞し、今後期待のクリエイターとして注目を浴びる。 大学を卒業後

新宿の中央公園でフリーマーケットに参加してお金を稼ぐ

「シノハラさんの講演会」が終わって、一段落着いた青年。これで、肩の荷が1つ降りました。 実は、このコトにより爆弾を1つ抱え込んでいたのですが、この時点で青年は気づいていません。 それよりも、次のスケジュールをこなさなければなりませんでした。手帳は毎日予定でいっぱいなのです。 次は「フリーマーケット」 新宿の中央公園にスペースを借りて、要らない物をお金に換えるのです。こんなコトもあろうかと、事前の準備はバッチリでした!渋谷区のボランティア団体にお願いして、不用品を集めて