ぬこ

何となく日々感じたことを。

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最近の記事

他人の幸せのそばで

菅田将暉と小松菜奈が結婚を発表したあの日、私たちはお別れをした。 あんな素敵な2人が結婚を決意したという幸せなニュースなはずなのに、なんだか心から祝福できなかったし、そういえば菅田将暉と小松菜奈が共演した映画を彼と一緒に見たよなとかどうでも良いことも思い出してしまった。 あの映画を見たのはたしか付き合う前だった気がする。私たちの出会いは今流行りのマッチングアプリ。2人とも小松菜奈が好きだったこともあり一緒に映画を見ようという話になった。私たちは夜ご飯をちょっと早めに食べてその

    • 女とかわいい

      「かわいい」 ああ、またこれね。 いつからだろうか、下心のあるかわいいばかり耳にするようになったのは。 中学は吹奏楽部、高校は女子校。顔は普通。成績も普通。全て普通。そんな私はいつも女の子たちに囲まれて生きてきた。女の子たちは『かわいい』という言葉が大好きだ。美しい顔立ちの生徒に対してかわいいと言うのはもちろん、ちょっと年老いたゆるキャラみたいなおじさん教師に対してもかわいいと言う。筆箱を変えたらかわいい。髪型を変えたらかわいい。ちょっと痩せたらかわいい。私の周りはいつも

      • 彼とお笑い

        私には3年付き合ってる彼氏がいる。そして今その彼氏は私の目の前にいる。大きなため息。彼が話がしたいとか言って私を喫茶店に誘ったくせに中々話そうとしない。仕方ない、こうなってしまっては私が話を振るしかない。振りたくないけどね、どうせあれでしょ?心臓がぎゅっと締め付けられて目の前が真っ白になる現象を引き起こすあの話でしょ? 別れ話でしょ? 「あの、どうした?話って何?」 「ごめん、好きな人ができた。だから別れてほしい。」 やっぱりか。話なんて結婚か別れだろうなとは思ってたけど、最

        • からい痛さはつらい

          私はとにかく韓国料理を食べるのが好き。 あの辛さが大好きで、一時期はハマりすぎて毎日夕飯は韓国料理だったぐらい大好きだ。 そんな私はこの前スーパーマーケットで韓国のインスタントラーメンを見つけたので手に取って買ってしまった。あの辛さを私の身体は求めていた。 早速家に帰って湯を沸かしラーメンを作る作業に取り掛かった。茹で時間は約5分。その間私は箸でくるくる麺をほぐしながら溜まっていたLINEのメッセージを返した。そうこうしてるうちに5分なんてあっという間に過ぎて待ちに待ったイ

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          301号室とエメマン

          合鍵とエメマン。これがあいつの家に行く時の私の持ち物。 営業マンのあいつはいつも仕事をするときエメマン片手にプロボックスで商談に向かうのが当たり前らしい。 コーヒー無いとやってられんとかよくベランダでタバコを吸いながら愚痴ってる。まあ大学生の私にはよくわかんないけど。 仕事頑張れなんていくらでも口なら言える。けどそれって心から応援してる感じがしない。だから私はいつもエメマンを持ってあいつの家へと向かい、仕事頑張れと念を込めたエメマンを冷蔵庫に入れて細長い部屋で彼の帰りを待つ。

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          雨とバイト

          雨の日のバイト。 私はこれがとても嫌いだ。 そもそもバイト自体好きじゃないのに、雨まで降ってるなんて最悪すぎる。 いつもだったら自転車でサーっと行ける道も雨だと傘をさして歩いて行かなければならないのでいつもの倍、時間がかかってしまう。 でも最近雨の日のバイトも悪くないなと思うようになってきた。 「もしもし。」 「もしもし、こちら中村不動産です。」 「もしもし?何ですか?それ?」 「バイト終わりやろ。疲れてるかと思って笑わせたかったけど、オモロないボケだったわ。ごめん。」 「そ

          雨とバイト

          LINEと元カレ

          「暇なんだが」 別れたあいつから突然のLINE。 急にどうした?なんなんだ。てかただの暇つぶしなんだろうなとか思ったけど、無視するのも可哀想だなと思い、適当に今ハマってるザコシの動画を送った。 「見たことあるわ。他にないん?」 面倒くさい。昔の私だったら必死になって面白い動画を探して送っていたんだろうな。 「ないねー。おやすみ。明日も仕事がんば。」 そう送ったら未読無視。 やっぱりただの暇つぶしだったみたい。 何となくあいつの事を嫌いになれなくて放っておくことができなくていつ

          LINEと元カレ

          彼女の癖

          彼女はいつもキスをしてほしいとき口を強く閉じる癖があった。 今日も彼女は口を強く閉じている。 けど今日はそれを求めているわけではないみたいだ。 「これ、○○ちゃんやろ?」 僕がそう聞いた。 彼女は申し訳なさそうな顔をしながら頷いた。 「だって寂しかったからつい」 彼女は泣きそうな顔をしながら僕のことをじっと見つめてきた。 「は?寂しいからって出会い系のアプリ始めていい理由にならんだろ。」 「うん、そんなことわかってる。」 そこから彼女は黙ってしまった。口を強く閉じながら。彼女

          彼女の癖

          月と時計

          「この時計さ、月の満ち欠けがわかるんだよ」 「へえー、すごいね。」 そういって君は私の右腕に時計をつけてきた。 月なんて興味ないんだけどなとか内心思ったけど、グッと抑え込んで言わなかった。というか言えなかった。嫌われたくないし。失礼だし。 すごい素敵な時計だとは思った。淡い水色のレザーに宝石がチラホラと散りばめられた文字盤。でも私の趣味ではなかった。それでも彼と会うときは毎回この時計をつけて大事に使ってるアピールをし続けた。時計は私にとって彼とのつながりを表してるような存在で

          月と時計

          お別れ上手

          「今までありがとう」 君が私に伝えてくれた。 引き止めるのも嫌で、重い女なんて思われたくない。そんな気持ちが邪魔をして 「わかった。じゃあね。」 とか言っていつも通り手を振りながら車から降りた。 頭の中がごちゃごちゃしてたけど、なんだ、別れるの上手じゃん。ってことだけは理解できた。 私たちはいつもお別れするのが下手くそだった。 「じゃあね!」 私が車のドアノブに手をかけて手を振って、そこからハイタッチをして痛い痛いとか言って結局ずっと車の中。 お別れするの下手くそすぎるとか

          お別れ上手

          ドンキホーテのテレビ

          今日もバイト。 私の売り場はテレビがあるのでいつもテレビの音を聞きながらバイトをしている。 今日は音楽番組がやっていた。 MISIAが歌っていた。 相変わらず歌が上手いなぁとか思いながら仕事をしているとテレビの前で立ち止まって彼女の音楽を聴いているお客さんがチラホラいた。 音楽の影響力ってすごいなぁって思った。 誰かの心を掴むものだと改めて実感した日だった。

          ドンキホーテのテレビ

          コンビニと孤独

          夜は急に孤独を感じる。 何となく独りでいるのが嫌になりコンビニへと向かった。 「いらっしゃいませ」 店員が私に言う。それを聞くだけで孤独な気持ちも少し和らぐ。 特に買いたいモノはなかったので適当にウロウロと歩き、お菓子売り場に辿り着いた。 そこには若いカップルがいて、2人でお菓子を選んでいた。 「これうまいよ。」 「本当?私食べた事ない〜」 「マジで美味いから、食べるべき。」 「えー、本当かな?」 「俺が美味しいって言ってるんだからうまいって。はい。」 と彼は言ってカゴにお菓

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          窓際と野菜ジュース

          「あんたそんなの好きだっけ?」 窓際にいるあいつに声をかけた。 「ん?あー、これ?もらった。意外とうまいよ。」 女子が飲んでそうな野菜スムージー。そんなの飲むようなタイプじゃなかったくせに。そもそもあんた野菜嫌いだったじゃん。 って言いたくなったけど、なんか私たちの関係ってそこまでじゃなかったかもとか思えてきて 「へー、今度飲んでみよ〜」 と普通の回答をしてしまった。 「おう、コンビニでも売ってるし今度買いなよ。」 「うん、そうする。にしても今日暑いね〜」 なんだか苦しくなっ

          窓際と野菜ジュース