月と時計
「この時計さ、月の満ち欠けがわかるんだよ」
「へえー、すごいね。」
そういって君は私の右腕に時計をつけてきた。
月なんて興味ないんだけどなとか内心思ったけど、グッと抑え込んで言わなかった。というか言えなかった。嫌われたくないし。失礼だし。
すごい素敵な時計だとは思った。淡い水色のレザーに宝石がチラホラと散りばめられた文字盤。でも私の趣味ではなかった。それでも彼と会うときは毎回この時計をつけて大事に使ってるアピールをし続けた。時計は私にとって彼とのつながりを表してるような存在でそれさえつけてれば彼との時間は永遠に続くと信じてた。けどもう外さないといけないみたい。だって彼は私のそばにいたくないみたいだから。
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