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窓際と野菜ジュース

「あんたそんなの好きだっけ?」
窓際にいるあいつに声をかけた。
「ん?あー、これ?もらった。意外とうまいよ。」
女子が飲んでそうな野菜スムージー。そんなの飲むようなタイプじゃなかったくせに。そもそもあんた野菜嫌いだったじゃん。
って言いたくなったけど、なんか私たちの関係ってそこまでじゃなかったかもとか思えてきて
「へー、今度飲んでみよ〜」
と普通の回答をしてしまった。
「おう、コンビニでも売ってるし今度買いなよ。」
「うん、そうする。にしても今日暑いね〜」
なんだか苦しくなって話題を変えた。
いつもだったら一口くれるのにね。「うまいよ、飲む?」って声かけてくれるじゃん。でも、まぁ仕方ないよな。あなたにそれをあげた彼女も他の女が飲むことなんて望んでないだろうし。とか考えてると彼はまっすぐ前を見て私に言ってきた。
「暑いな〜、だからさ熱中症対策とか言ってさこれでも飲んでってことでくれたんだよ。この野菜スムージー。なんで熱中症対策でスムージーなんだよって思ったけどな笑」
幸せそうな顔。話題を変えたはずなのに余計に辛くなってきた。でもなんか幸せそうだから無視するのも気が引ける。だから私は精一杯振り絞った。
「何惚気てんのよ〜。そんなの聞きたくないわ〜」
本当に聞きたくない。本当に。でもそんな私の事なんてあなたの目には映ってないみたいね。
「ごめんごめん。」
って笑いながら謝るあなた。耳赤くなってんじゃん。そんな表情するんだね。私といるのに今あなたの頭の中に浮かんでるのは違う人。隣の席にいるのにあなたが遠く感じた。私はあなたの隣にずっといたいよ。でも、もう難しいみたいだね。あと絶対スムージーなんて飲まないんだから。絶対ね。

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