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【冒頭だけ小説】イスタンブールの空

「あの飛行機雲はあなたと私みたいね」

 二つの飛行機雲が交差し、互いに引き離れていくのを僕らは見てた。

 愛している人に愛されている状況というのは奇跡だ。愛の難しさを知ったとき、自分がこの世界に生きていることが少し奇跡に感じた。

彼女の空を仰いだ横顔が夕日に染められて輝いている。

僕は奇跡のような時間をあとどれくらい過ごせるのだろう。



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