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体重減量活動で感じたこと

今年中に実現させたく取り組んだことのひとつに、体重減量がありました。9月に始めて4か月間かけて自分なりに本格的に取り組み、約12キロ減量させることができました。ありがたいことに、時々「ずいぶん痩せた感じですね」と言われることもあります。

個人的な話題で恐縮ですが、参考になる点も多いだろうと(勝手に)思いますので、今日はこのことに関する自分なりの振り返りを取り上げてみたいと思います。(このような減量についての、医学的な見地の正しさや妥当性は保証できませんので、ご了承ください。行動習慣としての考え方のご参考まで。)

減量には以前にも数回取り組んだことがありましたが、いずれも失敗に終わっていました。5キロ減ぐらいまではいくのですが、その水準で横ばいとなってブレークスルーできず、また元に戻ってしまうという具合です。しかし、今回はブレークスルーしました。

今回うまくいった要因を、自分なりに振り返ってまとめてみました。

1.実現させたい姿(目標)を明確に描く

今回は、目標を明確に定義しました。具体的な到達目標にしたのは「(〇-2)じゅうキロ台の実現」です。〇は9月時点の値です。9月に〇じゅう4キロでしたので、15キロ減らせれば「(〇-2)じゅうキロ台の実現」となります。12キロ減らせましたので、あと3キロ減らせれば目標達成となります。

「(〇-2)じゅうキロ台」が自分にとって適切だという根拠はありません。12キロ減した今日現在の体重は、私の身長に対しての標準体重を既に下回っています。しかし、学生時代はもっと体重が少なく、(〇-2)じゅうキロ台の下限でした。当時が痩せすぎだったのですが。

時々利用する人間ドック先の質問票に「20歳の時に比べて10キロ以上体重が増えましたか」という項目があります。この質問票にこれまでは「はい」で答えていましたが、来年から「いいえ」と答えたい。それが上記の設定目標にした理由です。

また、20年前に新調したものの、2回ほどしか着ておらずいつの間にかサイズが合わなくなり、しかし捨てられず、クローゼットにしまったままになっているスーツがあります。このスーツをもう一度着たいという気持ちも高めてみました。

2.達成できなかった場合の苦痛を明確に描く

上記1.の実現させたい姿は、得たいと思う「快楽」です。心理学的には、人の行動の源泉はつきつめると、「快楽の追求」か「苦痛からの逃避」のいずれかだと言われています。この件では、快楽だけでなく苦痛についても明確に定義しました。

この痩せる取り組みを本格的に始めるきっかけになったのは、人間ドックの結果脂肪肝の判定が出たことです。昨年まで2年連続脂肪肝の疑いの判定でしたが、今年は「疑い」が取れました。その他、要再検査項目が噴出していました。これらの結果を家の中の見えるところに置き、帰宅後毎日見るようにしました。さらに、脂肪肝や脂肪肝が引き金になって起こり得るさらに重度の病状について、いろいろと調べました。すると、脂肪肝が危険度の高いものであることを認識し、危機意識が俄然高まりました。

そして、私のコーチングを受けていただいている方へ、「脂肪肝」「本格的に体重を減らすことにした」と伝えました。私は、ビジネスコーチ社認定コーチ、ギャラップ社認定コーチ、キャリアコンサルタントなど、いくつかの認定者を名乗ってコーチングの活動もしております。そのコーチ自身が、「不摂生で自分の意に反して脂肪肝がさらにひどくなりました」「本格的に体重を減らそうと決めたものの、実行できませんでした」などと言ってるようでは、話になりません。自分に対して、ある種の追い込みをかけたということです。

1.2.についてまとめますと、次の通りです。
・20年ぶりに「(〇-2)じゅうキロ台」の表示を体重計で見ることができたらワクワクする
・「20歳の時に比べて10キロ以上体重が増えましたか」の設問に、「いいえ」と答えることができたらワクワクする。
・20年ぶりのスーツを自然に着ることができたら、ワクワクする。
・脂肪肝が悪化し他の病気を誘発して日常生活に支障をきたした景色を想像すると、ぞっとする
・要再検査項目が悪化して日常生活に支障をきたした景色を想像すると、ぞっとする
・自身のコーチ活動の美意識に反する状態になった景色を想像すると、ぞっとする

これらを紙に書き出して、(過去に断念した時以上に)リアルにイメージするようにしました。書き出した快楽を得たい、苦痛をなんとしても避けなければならない、それらが今回の原動力になったと考えます。

1.2.について、要は、動機を明確に定義するということです。
時折、「どうやったらモチベーションが高まるか」ということが叫ばれますが、モチベーションを高めるという視点を不要にしようということです。動機が明確なら、その視点は不要です。ディズニーランドに遊びに行くのにモチベーションを高めようとわざわざ努力する必要はありませんし、2時間ドラマの犯人も同じ(これは悪い例ですが)です。

3.KPIを絞り込む

今回の目標を達成させるために私が設定したKPI(重要業績指標)は、次の3つでした。
・飲まない:アルコール類の摂取を一切やめる(摂取ゼロ)。
・食べない:1日3食をやめ、1食か2食とする。米・パン・麺摂取は1日1回だけにする。
・歩く:1日8000歩以上。どうしても達成できない時は、次の日に差分を追加して歩く。

体重は、足し算と引き算です。足し算は飲食量、引き算は運動量です。理想は、引き算に関する取り組みも追加すること(例:ジョギングやジム)ですが、一度に新しいことをいくつも追うとやりきれなくなります。これは仕事でも同じで、KPIが多すぎると忘れてしまいます。

理想のKPIは、「今期はとにかくこれだけ」の最重要1つに絞ることです。多くても3つがよいでしょう。今回の件も、引き算はこれまでの日常生活の中でできそうな最低限のもの(歩く)にとどめ、KPIは主に足し算部分にフォーカスしました。

足し算のKPIも、「なるべく控えめ」「〇キロカロリー以下」「糖質〇グラム以下」などだと、分かりにくいため(例:この食事が糖質何グラムかなどぱっと分からない)取り組みが中途半端になると考えました。よって、食の回数自体を削る、アルコールも控えめなどではなくゼロなど、分かりやすい設定にしました。このように、KPI数を絞り込み、かつ明確で取り組みに直結する設定にしたことで、徹底がしやすくなったと感じます。これらの取り組みが、意識しなくても自然にできるぐらい自分の中で定着すれば、来年はKPIを引き算部分に変えようと思います。

ちなみに、アルコール類についてはその後、土曜日の晩に1缶分だけ許容するというルールに変えました。1か月経った後に試しに飲んでみたところ、全く飲めなくなっていてびっくりしたためです。飲酒の楽しみ自体は今後も残しておきたいため、全く飲めない体質にならないよう、週に1度は敢えて摂取することにしました。

4.PDCAのCを絶対的な仕組みに委ねる

これまでに挙げた1.~3.は、PDCAの主にPD部分です。C=チェックの工夫として、私のコーチングを受けていただいている方(クライアント)へ報告するという方法をとりました。

コーチング活動では、クライアントに対しコーチ側は「前回取り組むと決めた行動目標について、その後取り組み状況はいかがですか」と問いかけることになります。問いかける側のコーチが、自分で取り組むと決めたことを実行していないわけにはいきません。

もちろん、自分以外の第3者との協業で成り立つような行動目標や、コロナ禍のように社会環境の変化で取り組めなくなる行動目標は、予定したもののできなかったという結果にもなり得ます。しかし、今回の行動目標については、すべて自己完結できるものばかりであるため、取り組まなければすべて責任は自身に帰結します。「そうしようと決めたんですが、途中でやめてしまいました」とは絶対に言いたくない相手をC=チェックに巻き込むことで、強力なけん制機能になったと言えるでしょう。

これは、仕事の場面でも同じです。PDCAのCがしっかり設定されていない場合、目の前の業務に忙殺されると、中長期的な取り組み(重要度は高いが緊急度が低い取り組み目標)はないがしろになります。Cをしっかり設定することが、成功のカギとなるでしょう。

以上をまとめると、動機を明確にし、取り組むべきことを絞り込み、取り組みの継続を徹底する、という、至ってシンプルな要素が成功要因だったとなります。こうしたことは、行動変容するための考え方として広く知られていることです。逆に言うと、シンプルながらそれだけ実践が難しいことだと言えるのでしょう。私も過去に減量プロジェクトでうまくいかなかったケースでは、今回のようなきちんとした設計ができていませんでした。

上記でまとめてみた構図は、個人の行動変容に加えて、組織活動で変革を起こす際にも通じるものと考えます。ジョン・コッターによる、企業変革のための「8段階のプロセス」は次の通りとされています。これまでの経験則では、組織の置かれた状況やメンバーの状況によっては、いきなり危機意識を高めることから始めるのが必ずしも有効とは思いませんが、1.~8.のフレーム全体としては的を射ていると感じます。上記構図は、この8段階プロセスの流れにも沿っていると思います(個人の取り組みだったため、チームに関する要素は当てはまりませんが)。

1.危機意識を高める
2.変革推進のための連帯チームを築く
3.ビジョンと戦略を生み出す
4.変革のためのビジョンを周知徹底する
5.従業員の自発を促す
6.短期的成果を実現する
7.成果を生かして、さらなる変革を推進する
8.新しい方法を企業文化に定着させる

以上、ご参考になれば幸いです。

<まとめ>
・「快楽」と「苦痛」の状態を、明確に定義して認識する。
・シンプルなKPIを定義し、その実践徹底を強力に牽制するC=チェックの仕組みをつくる。

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