国際法の前で『他の国よるも平等』な国
露のウクライナでの特別軍事作戦が国際法違反だと言われる。
露の動きが国際法違反だとしたら、他にも国際法違反と断定せざるを得ない事例が多数ある。今回は、露の批難をリードする米が第二次世界大戦後の歴史に於いて犯した異国の内政への関与、武力行使を伴う侵略等、国際法違反と一般的に認められている(けどメディアでは騒がれてこなかった)事例をいくつか述べたい。では手短に:
1948年、イスラエルがパレスチナ人の大量退去をお越し、60∼70万人程を追放し、その土地を奪い取っている。イスラエルの侵略行為は今日まで続いており、昨年だけでも千人を超えるパレスチナ人の子供がイスラエルにより拘束されている。2000年まで遡ると、少なくとも19,000人のパレスチナ人の子供がイスラエルによって拘束されている。
ガザ地区での度重なる戦争も基本的に米に後押しされている一方で、世間からの反応は、今のウクライナでの出来事に対する反応と大違いで、静観だった。国連がパレスチナに纏わる決議だけでも174件出しているが、当然全て無視され続けている。
1949年、CIA職員(Stephen Meyadi)がシリアのホスニ・アル・ザイム中佐と結託、軍事クーデターをお越し、当時のシュクリ・アル・クワトリ大統領を引き落とす。これも当然、全員が合意している筈の国連憲章に反している。
1953年、選挙で選ばれたイランのモハンマド・モサッデク首相が、英波石油会社の国有化を発表。これを受け、英米がCIAによるクーデターをお越し、イランの政権交代に成功。これも当然、全員が合意している筈の国連憲章に反している。
1954年、(アメリカ国家安全保障アーカイブ資料によると)CIAがグアテマラのハコボ・アルベンス・グスマンをクーデターで倒した。それはアルベンス・グスマン大統領の土地改革が米ユナイテッド・フルーツ・カンパニーの利益を害する可能性があったからだ。CIAが現地で民兵を訓練させ、クーデターと併せてグアテマラ海岸に米海軍が寄ってくる。これを不法行為と後にCIAも認めている。
1955年、米が宣戦布告もなくベトナムに軍隊を派遣。もちろん、国連の場でもベトナムとの戦争に言及していない。当時、米大統領が非常事態の大統領権限を125回以上使用している。
1958年、米がシリア(アデル・アル・シシャクリ大統領)と結託し、エジプトのガマール・アブドゥル・ナーセル大統領降しを試みる。
1960年、米がベルギーと結託し、コンゴ民主共和国の初大統領パトリス・ルムンバを降し、最終的にCIAの『協力の下』で殺している。その理由は単純で、米はアフリカ人が戦略的原材料を自らの管理下に置くことを恐れていたからだ。
1961年、CIAがドミニカ共和国のラファエル・レオニダス・トルヒーヨ・モリナ大統領の暗殺を手助けしている(実際にはCIAがやっていると読み替えて差し支えない)。
1963年、またもやCIAが南ベトナムのゴ・ディン・ジエム首相をクーデターで降ろしている。
1964年、同じくCIAブラジルのジョアン・グラール大統領も不法に交代させ、代わりに首席補佐官を立て大統領選挙を阻止したこともある。
1973年、チリのサルバドール・アジェンデ大統領をやはりクーデターで降し、アウグスト・ピノチェトを設けたのも外ならぬCIAだった。
1978年から2000年の間、イスラエルがレバノンに侵攻し同国の一部地域を支配。最終的に地元の反対運動による継続的に攻撃を受け、撤退を余儀なくしているが、そもそも異国の侵略を後ろで支えたのはやはり米国だった。1982年にイスラエルがレバノンに侵略し(ガリレイの平和作戦)、一部地域を占領した際の口実は、レバノンに逃げ込んでいるパレスチナ解放機構との間で40キロの安全帯を設けることだった。国連はイスラエルの侵略を当然、承諾していない。
イスラエルはレバノン侵略を何度も繰り返しており、比較的最近では2006年も、数千人の負傷者と犠牲者を出し、100万人程の避難を余儀なくされている。これに対し、なぜか世界中からの批判もヒステリーも無かった。
1999年、コソボ。もちろん国際法違反。
2001年、アフガニスタン。国際法違反。
2003年、イラク。当然国際法違反。
2011年、リビアとシリア。どれも、これと言った法的根拠はないどころか、全世界で認められている国連憲章をはじめとする各種規定、条約の違反となる行為だ。
米自体はさておき、今回の対露ヒステリーに便乗する国は、歴史的事実(国際法違反なら違反、犯罪なら犯罪、なんでもいいけど)片方に反応し、制裁を課したり事実上国交を切ったりしておきながら、もう片方には反応しないどころか事実を否定すらする。余談だが、最近、米中心の世界秩序のために自国民の利益さえ捨てても構わないと思っている国のリーダーたちはなぜかよくマスクをしている姿で人前に表れ、そして特定の『病』だけに対する予防接種を繰り返し繰返し推奨する。偶然かな?
今日はここまで。
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