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【和訳】露ラブロフ外相 2022年3月23日モスクワ国立国際関係大学訪問時のスピーチ 2/2

前書

前半から間が空いてしまい、ネタも少し古くなってしまったのかもしれないが、とりあえず約束の後半部分を投稿致します。前半をはるかに上回る長文となってしまったがご容赦を。ロシア語の原文はこちら

本編

今まで我々、ウクライナの血塗れクーデターは欧州の『価値観』に反していると西側に訴えてきた。これに対して彼らは我々がクリミアを併合したと反論した。つまり、国民投票実施に至った一連の流れを彼らは『取り消している』。これは彼らの文化だろう。彼らは不都合なことについての会話も考えも避ける:ミンスク合意も、保証も、EUも、クーデターも、流れた地も、全てを無視してきた。クリミアの国民投票は、ロシア系住民の命が直接的危な険に晒されていたから行われたのだ。しかし、西側はこれを無視し、国民投票そのものから議論を始めるのだ。彼らが『併合』と称する国民投票までの経緯に対して彼らは興味を持たない。このような事例は外にも多数ある。
今日の出来事も同じだ。彼らにとって、ロシアの大統領が欧州安全保障に関するイニシアティヴを提案した2021年の11月でもなく、我々が米国およびNATOとの条約案をまとめた12月でも、その後実施された米国およびNATOの代業者との会談でもなく、全てが2月24日に始まったのだ。当時の会談では、我々の安全保障の一体性の保証を文面化に関する提案は全て断られた。この経緯は既に忘れ去られているだろう。
ウクライナ政府は接触線沿いに12万人の兵隊を集中させ、射撃も活発化し始め、プラン『B』についての公の議論が始まっていた。今となっては、このようなプランは実在していたことが分かっている。これを証明する書類を我々は入手している。これらの書類は、我々がいだいていた、ドンバスの武力による制覇を狙いとした攻撃の予定に関する懸念の妥当性を証明している。しかし、これをもはや誰も思い出そうとしない。2月24日にロシアが『侵攻』した言われている。これは西側が得意としている言葉の綾だ。歴史の不都合な部分の歴史の切り捨て文化が展開されている、そして今回はつい最近の歴史に対しても行われている。
2014年クーデター直後に、ヤーロシュや彼の様なネオナチが、ロシア人がウクライナ語で話しさない、考えない、シュヘビッチやバンデラを称賛しないからクリミアから追放されるべきだと主張していたことについて以前から話してきた。我々はこれらの事例を西側諸国にも提示した。彼らは、これをやっているのはウクライナ国民ではなく一部のごく少数派だと反論した。ゼレンスキーは選挙戦の際、ユダヤ系の血が流れてロシア語で話す自分がネオナチになれない、ロシア人の制圧が出来ないと胸を叩いていた。第一に、彼が政権に来てから、ロシア語のウクライナでの全ての可能性が法的に『潰された』。我々はこれからこの法律の撤回を求める。第二に、彼が政権に来てからネオナチのイデオロギーと実行が特に盛んだ。2021年9月インタビューの応える際に、彼がドンバスに暮らす人々を『個体』と呼び、人間として見ていないと話していたことが、彼のロシア人に対するスタンスを物語っている。これによって彼も、首相でいながら2014年ドンバス住民を『非人間』と称したヤツェニュークと同じ『名誉リーグ』に加入したのだ。『非人間』、『個体』これはフロイトの教えだろうか。
このように片方は元首相、もう片方は現在の大統領と、『尊敬される』人物として扱われている。こういう思考だ。まだ『素面』なのだろうか。まるで、あの諺とそっくりだ。その後、ゼレンスキー大統領は、自分がロシア人であり、ロシア人であり続けたいと思うならロシアに出ていけ、という発言もしている。これはヤーロシュの、ロシア人がクリミアから追放されるべき、といいう主張とどう違うのか。全く同じだ。しかし、これに誰も気が付かない。
仮面は全て外されたと言えよう。今やウクライナはロシアに関係する全てを抑圧、侮辱、壊滅させるために利用されている。全世界が『食らいつけ』の指示を受けている。『文明』の西側も一緒だ。ロシアのパスポートを所持するだけでもしくはどこかの店に入った際にロシア人だと思われただけで『攻撃』されるようになっている。スポーツ界は最早言うまでもない、我々のパラリンピック選手団が明らかにいじめられたことは西側にとって判決に等しい。後々歴史の前で、どの様に『償おう』としているかは想像すらできない。もちろん『攻撃』、『侵攻』のせいにするだろう。これらの実例は、我々のやむを得ない行為に至った要因の僅か一部に過ぎない。我々の行為は、8年間空爆された人々と人名救助、ウクライナ領土の我々に直接的脅威となりうるインフラ配置の阻止に向けられている。また、同国のNATO加盟を阻止することに向けられている。非ナチ化。これらは、譲歩不可能な要求なのだ。
ウクライナの支配層は、このような法律は存在しない、全てが『ヨーロッパ風』だと主張する。しかしこれは真実ではない。法律は存在している。インターネットを調べれば確認できる。ゲルギエフ、ネトレプコ、コンサートツアーが取り消された。学校や大学のカリキュラムからドストエフスキーおよびソルジェニーツィンが排除されている。これは我々の相手(パートナー)国の素顔なのだ。この怒りに満ちた騒ぎが『アンチ・ロシア』計画が失敗に終わったことを表していると思う。ここへきて『手段を問わない』状況となっている。反ロシア主義者(ルソフォーブ)なら何をやってもいい。直近の8年間、これはウクライナの政権が日常的に犯してきたことがこの思想を裏付けている。今ではこのなんでもありの反ロシア主義は『西側世界』全体に広がっている。制裁は常にあった。プーチン大統領もこれについて言及している。しかし、今回の制裁の程度に驚く。西側の『想像力』がここまでとは思いもしなかった。真面目に言うと、これは世界の一極化構築の『邪魔』をするロシアを排除するために行われている(と彼らは思いたいだろう)。かつて、制裁を科す際、一般人ではなくレジーム(政権)や非協力的リーダーを狙い、苦しめることが目的であると強調していた。一般人が常に対象外と言われていた。全く真実ではない。そんな主張は既に何回も忘れ去られている。彼らは公に一般人を叩き、それを自慢している。フランスのル・メール経済財務大臣が公の場でロシアとの全面的な経済戦争を求めていることを話している。聞き覚えのある言葉ではないだろうか。ドイツ人が第二次世界大戦を始める際に言っていた『Totaler Krieg』(全面戦争)そのものだ。彼らはロシアの経済を『ズタズタ』にしたいのだ。
最早ウクライナには関係のない、米国が唯一無二の主権者の立場にある世界秩序が狙いなのだ。平たく言うと、アジアでは『インド太平洋戦略』と呼ばれ、中国の抑止が主たる目的としてあげられているが実質的にはモンロー主義が世界規模で展開されている。他の地域では他の名前で呼ばれているかもしれないが本質は変わらない。欧州も『戦略的自治権』の夢を忘れてもいい。フランスのマクロン大統領のこの方面での前向きな努力が称賛に値するが、他の全員が既に『戦略的自治権』を諦めている。『戦略的コンパス』の様な体裁の良い書類をいくらでも可決できるが、実質的には欧州はもう独立したプレイヤーではない。一方ではドイツがネオナチ要素を含むキエフ政権を明らかにそして疑いなく擁護していることが心配に値する。ロシア人とドイツ人の和平が行われたのは比較的最近のことではないか。ドイツの賢者の多くはこれを理解している。こんな不安定な状況でも我々は会話の機会を断っていない、寧ろNATO、米国、EUの全てに対し協議を打診し続けている。我々の特別軍事作戦の真っ最中、ウクライナ政権から協議を申し込んだ際に我々が賛同した。プーチン大統領の指令の下で協議が始まった。協議の進捗は乏しいと認めざるを得ない。ウクライナ側はこの協議で合意すべき内容を理解していながらも、度々主張を変えたり、自らの提案を却下したりしている。彼らをアメリカの同僚が『誘導している』という印象を避けられない。ロシアおよび西側の政治学者たちが述べている様に、米国側にとってこのプロセスが早期に収束するのではなく出来るだけ長く続いた方が得だ。故に彼らはウクライナに耐えず武器を供給する。東欧からソ連製MiGやスティンガーをウクライナに移す等の挑発も聴こえている。無法地帯である洗浄に移された武器は、やがて欧州全土に渡り、大変な脅威となる。米国は我々が極力長い間、武力行為状態に居続けることを狙っているだろう。我々は守るべきものを守るために必要な健康(力)、経験、胆力と気力を持っている。ロシア連邦の安全をしっかりと保障し、他のスラブ諸国同様、ウクライナでの暮らしを希望するロシア文化の持主の皆さんにも誇り高く暮らしてもらえる様にする。
我々を孤立させられている若しくは自ら孤立している様に見せる試みは、無駄な努力だ。我々は多くの国と友好関係にある。制裁を科した国と、米国のとんでもなく『下品な』手口を使った圧力にも拘わらず制裁を断った国を数えて見ると分かる筈だ。米国は、中国、インド、トルコにも制裁への参加を求めたと恥じずに言っている。こうやって数千年にもわたる偉大な文明を誇るこれらの主権国家を侮辱していることを分かっているのか。しかし、米国はこの程度なのだ。『ゴールド・ラッシュ』は続く。

以上

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