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食糧難と新世界秩序(NWO)との闘い

今年の3月、露のラブロフ外相は、モスクワ国立国際関係大学で上げたスピーチの始まりのフレーズは『今日の世界情勢を考える際、ウクライナを見るのではなく、新世界秩序が構築されようとしているのを見ないといけない』だった。実にウクライナでの特別軍事作戦開始とともに、第二次世界大戦来の激しさで西側と露の戦いが繰り広げられている。いいか悪いかの議論をさておき、NWOについての情報は大量にある一方で、それに対して露がどの様な世界観・価値観を差し出そうとしているのかが解り辛い。今回はこの辺について少しばかり整理してみたい。

昨今の世間動向から見る経緯

まず、NWOを推進する勢力は世に対しどんな「提案」をしようとしているか、それは一般人にはどんな風に見えているのかを3つの観点から述べてみたい。
1.     経済
一般的に、流行病に対する行動規制が主たる理由とされている世界規模でのモノの不足。今年2月末の露による特別軍事作戦に対するG7およびEU諸国が課した対露制裁の影響でより一層深刻化し、「食糧難」の単語が各国メディアで流れる様になって既に2ヶ月以上経つ。当方の認識を先に供述しておくと、食料等を含むモノの不足は全て人工的に作られた状況であり、この状況によって次の動きに必要な土俵となる。国家と巨大企業の境目が消え、トランスナショナル企業が政治家を支援し、政治家はトランスナショナル企業の利益が増す様な政策を通すという構図で、ダボス会議(WEF)はこれの(ビルデルベルグ会議よりは立ち位置が低いとされるものの)象徴的な事例。まずは世界中で人流と物流を止め、モノづくりを制限し、未だかつて無い程の紙幣を印刷し、短期間で大規模なオンライン化を実現した後、露に制裁を課し、必要なものすら買わせない状況を作ることで消費が減らされているのはこれまでの大きな流れの延長に過ぎない。こんな状況で誰がどの様な利益を受けられる様になるかは、ここで割愛する(ただでさえ毎度「注意書き」が貼られるため)。

2.     文化
平たく言うと、20世紀から米を中心に広がった所謂「人種のロツボ」にしても、昨今のLGBT云々にしても、西側で考えられる「多様化」とは、様々な特徴・文化・人種・民族‥等を一つのロツボに入れて最終的に一つにすることだ。それに少数派を差別防止という大義名分の下で多数派にとって時には野蛮な価値観まで押し付けられる事もある。こうなると当然ながら、保守的な価値観との対立が生じる訳だ。米のRoe v. Wade判決が覆された事案や、武器所持に対する論争や、小学校での性教育に大量に同性愛の話しが盛り込まれるのとそれに対する保護者の反抗もその一環だろう。次元が異なり少し無理はあるかもしれないが、日本でも激しい論争を呼んだ皇位継承も古代から守られているある民族の文化を否定する力(キャンセル・カルチャー)とそれに反抗する力の衝突なのではないだろうか。
これらは、一説によると、集団主義から個人主義へのシフト、帰属意識の希薄化、やがて人口減少を齎す(性的少数派が性的多数派になり、家族より個人の暮らしを求める人口が増えるとそうなる)だろう。

3.     安全
上述の延長にあるのはあらゆる「安全」、治安、環境、食、情報‥等
この部分に関して日常的に直面し考える機会は多いだろう。しかしここで述べたいのは、「安全」と「自由」のトレードオフ関係だ。それも本当の意味での安全なのかという議論はあるが、何れにしても2001年の9/11来、安全の為に個人の自由を一部譲るしかないという風長が急速に強まった。あらゆる場面で感じることがあっただろうが、最近では、ロックダウン、予防接種‥等も同じカテゴリーに分類できるのではないだろうか。

ルースキー・ミール

他にも様々な場面からNWOがオファーする世界観・価値観を見ることが出来るが、今回はこの辺で留めておくとし、これに対し露がいうルースキー・ミール(ロシア世界)とは何か?露語ウィキペディア曰く、ルースキー・ミールは、文化・文明的・地政学的・宗教的なコンセプトであり、法的定義も統一した解釈も持っていない。

このコンセプトの歴史は長く(最も古い記録は11世紀に遡る)、一般的には露正教会の価値観を基礎としていると考えられている。13世紀に南(現:ウクライナ)はポーランド、北(現:ベラルーシ)はリトアニア、東北(現:露)はモンゴル帝国の一部となり、ルースキー・ミールは文明として大幅な変化を経験することとなった。この時期に、露人(ヴェリコロス=大露)、ウクライナ人(マロロス=小露)、ベラルーシ人(白露)と、民族と言語が分かれたと言われる。
ソ連崩壊後、ルースキー・ミールは、露語で交流する人の統一を目的としたアイデアとして使われ始め、プーチン氏の大統領就任と共に(2000年代)、ルースキー・ミールのコンセプトは、露の外交ドクトリンとしても活用されている。
ルースキー・ミールとはどういうものかを論じる前に、ミールという単語について説明したい。ミール(мир)とは露語で二つの意味がある。一つ目は「世界」、二つ目は「平和」だ。つまり、ルースキー・ミールとは露が想像する世界だけでなく、露風の平和、調和、融和を意味するものだ。故に、ルースキー・ミールはロシア正教会だけでなく、ムスリムのチェチェン人も、仏教徒のブリヤート人も、偶像崇拝のモザンビーク人留学生も、皆各々のバックグラウンドを保ちつつも皆共通してルースキー(ロシア人)というのがルースキー・ミールの趣旨。これはあくまで当方の理解。このコンセプトが実現されると素晴らしい世界になるのかもしれないが、今のところはまだコンセプトであり、上述の様に他にも解釈があるため、まだまだ様子を見る必要がある。

ルースキー・ミール対NWO

ここでは大げさなことを語らず、昨今の動きを見ての当方の勝手な観察を述べたい。
冒頭にもあったラブロフ外相の『今日の世界情勢を考える際、ウクライナを見るのではなく、新世界秩序が構築されようとしているのを見ないといけない』という言葉からも、露は今NWOを築こうとしている勢力と闘っている認識でいると言えよう。これは露にとって、ルースキー・ミールを作る絶好の機会でもあるのではないだろうか。現に、先週より話題となっている穀物供給の件にしても、供給難は人工的でありこれを誰が作っているのかは、全世界が見て然るべき判断・結論を下している筈だ。露は穀物を輸出してもいいが、制裁がかかっているため動けないというプーチン大統領のメッセージをメディアが制裁解除の要求の如く報道しているが、これは食糧難で苦労する各国(少なくともリーダー層)へのメッセージだと当方は読み取っている。つまり、今まさに作られている新しい世界の秩序はどんなものになり、各国はどこの味方になりたいのか、どんな未来を築きたいのかを決める、選ぶときだということだ。プーチン大統領はその様な呼び掛けをしているのではないだろうか。そして既に、この呼びかけに答えている国も出ている:アフリカ、アジア(日本除く)、南米の大半はそうだ。

本投稿の目的は、「人種のロツボ」が良いのか、「ルースキー・ミール」がいいのかという議論ではなく、このような衝突が起きていることと、現時点では世界の大半からみて後者の方がより魅力的に感じられているという当方の勝手な観察を述べることだった。
 
今日はここまで。

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