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【企画会議 #1】出版企画はどうやって決まるのか?

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

言うまでもありませんが、商業出版において、本という商品をつくるために「企画づくり」はファーストステップになります。

各出版社によってやり方は違いますが、フォレスト出版では、どのように企画を立てて、どのように企画書をつくって、どのように企画を決めているのかを、複数回にわたってご紹介できればと思います。この記事タイトルにある【企画会議 #1】が目印です(次回は【企画会議 #2】となります)。

出版業界に興味をお持ちの方は覗き見的に、ご自身でいつか本を書きたいと思っている方は自分の企画づくりの参考になればうれしいです。
※あくまで、2020年4月時点の弊社での基本的なやり方であることを踏まえてお読みください。


フォレスト出版の企画会議

今回は、「出版企画はどうやって決まるのか?」をテーマに、フォレスト出版ではどのような流れで企画が決まるのかについてお伝えします。

弊社では、一次会議、二次会議、三次会議の3回の会議を設定しています。3回の会議を通過した企画が刊行決定となります。それぞれの会議がどのような目的と役割があるのか、ざっと解説します。


①一次会議(編集会議)

参加者は、編集部メンバー全員です。
編集部メンバー全員それぞれが立案・作成した企画を持ち寄って、それぞれの企画について編集者全員がコメントをする会議です。基本的に隔週で開催しています。

1回の会議で各編集者は最低2本以上の企画提出が求められます。「隔週で2本以上」が多いのか少ないのかわかりませんが、編集者はまず企画立案が最初の仕事。いいテーマがないか、おもしろそうな著者がいないかを毎日アンテナを張って探す習慣をつけるにはちょうどいいのではないでしょうか。

この一次会議で、通すか、落とすかどうかを決めることは一切しません。編集長だろうと、ベテラン編集者であろうと、全員フラット。

企画立案した編集者がプレゼンし、それに対して参加編集者が知見やアイデアをコメントしていきます。自分には思いつかなかった視点やアドバイスがもらえる機会となっており、建設的な会議になっています。

また、コメントをもらえるだけではありません。自分も他人の企画についてのコメントを求められます。自分の企画のブラッシュアップのみならず、他の編集者の企画についても考えることで、自身の今後の企画立案のヒントや考える力が身につく点もメリットです。

一次会議で出した企画は、それぞれが他の編集者からもらったアドバイスを基にブラッシュアップするなどして、次の会議(二次会議)に上げるかどうかは各自の判断に任されています。


②二次会議(営業・編集会議)

参加者は、編集者メンバー全員と営業部メンバーです。
事前に営業部に回していた企画書1点1点に対して、営業部メンバーそれぞれがコメントする会議です。

商業出版ですから、個人的な「好き嫌い」は関係ありません。基本的に「売れるかどうか」が評価基準。もちろん、いくら売れるといっても、コンプライアンス違反の危険がはらんでいる企画はNGです(笑)。

営業部はどうしても「過去」(実績)から判断することになります。実績とは、同じようなテーマの書籍(類書)の実売データ、著者にすでに著書があれば、その実売実績も判断材料にします。また、書店市場の現況(今、売れている他社本など)や書店担当者の意見も、判断材料の1つとなるでしょう。これは、弊社に限らず、取次・書店を通して売り上げをつくる立場にある書店営業は、客観データに重きを置くことになります。

一方、編集部は比較的「未来」(新しい才能発掘や新テーマ)から企画を出しています。特に弊社の場合、弊社の会社紹介のnote記事でも触れたとおり、「まだ光が当たっていないが、世の中が求めているダイヤの原石(人物やメソッド)を見つけ、磨きあげてコンテンツ化する」ことを1つの編集方針にしているので、「未来」に目線がいく傾向があります。

営業部は「過去」重視、編集部は「未来」重視とはっきり分かれるものではなく、良い悪いもありません。その傾向が強いということです。それぞれの立場からしたら、当たり前のことです。編集と営業は、「売れる本を出したい」という目標は同じですが、目線を向ける先が違うのです。

だから、当然ながら、意見がぶつかり合います。

でも、この衝突はとても健全なことだと思っています。

編集者がそのテーマや著者に思いが強く入りすぎて、あまりに客観性が欠けている場合の抑止にもなったり、普段から書店さんに足を運んでいる営業ならではの視点やアドバイスが企画のブラッシュアップにつながるケースもあります。

自分の企画を通したい編集者にとって、営業部との二次会議は、3つの会議の中で一番ハードルの高い会議となります。

この会議を通過した企画が三次会議に上がります。なお、意見が賛否両方に割れた場合も三次会儀に上げて最終検討をします。


③三次会議(経営会議)

参加者は、経営陣と企画担当編集者、編集部役職者、営業部役職者です。
企画担当編集者がプレゼンをした後、二次会議での反応や意見を共有して、最終判断を下します。

1冊の本を出版するのに、初版5000部として、印刷費、印税などを含めて、約250~300万円かかるのが一般的です。ここには、社員編集者、営業部の人件費などは含まれません。
つまり、会社としては、1本の企画に250~300万円の先行投資をするわけです。1冊も売れなくても、250~300万円はかかります。当然シビアになります。

ただ、三次会議では、2回の会議を通過し、ブラッシュアップされている企画ですから、ある程度クオリティが高い企画を検討します。

出席している経営陣からの意見や質問に答え、どれぐらいの実売見込みがあるのか、現在考えられる販促プランなど、担当編集者、営業部から伝えて、OKであれば刊行決定となります。


結局、出してみなければわからない!?

以上が、弊社で企画が決まるまでの大きな流れです。

あくまで、私の個人的な見解ですが、人間が考えていることですから、「売れるかどうか」は出してみなければわかりません。出す前から売れるかどうかなんて、誰もわかりません。

実際、あまり期待されていなかった企画がベストセラーになったり、期待されていたのにあまり売れなかったりする企画も存在します。

では、なぜ会議をやるのか? やる必要があるのか?

それは、出てきた企画が「1冊でも多く売れるようにする」「売れる確度を高める」ために、社内の関係者が自身の頭に汗をかいて、個々の経験や知恵を出し合う場になるから。

会議という過程があるからこそ、ダイヤの原石は磨かれていくのではないかと思っています。

これは、その後の「原稿づくり」にも、「本づくり(編集段階)」にも言えること。「売れる確度」を高めるために、原稿に肉薄し、本づくりに執念を燃やす。その努力がハマったとき、本の神様が微笑んでくれるのではないか――。

そんなふうに思っています。

次回「出版企画 #2」では、フォレスト出版の「企画書フォーマット」を公開したいと思います。お楽しみに。

なお、5/6まで期間限定で、フォレスト出版の話題書27点の全文無料公開しています。当たり前ですが、いずれも今回ご紹介した企画会議を通過して書籍となった作品です。「面白そうだな」と思ったら、ぜひ覗いてみてください。


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