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あなたのビジネスを飛躍させる会計士・税理士の選び方

中小企業庁のデータによると、中小企業の経営者の相談相手としてのダントツトップが【会計士・税理士】だそうです。
税理士や会計士には「税金屋さん」というイメージがまだ強いと思いますが、決してそれだけではありません。
節税して決算書を作って終わりではなく、税理士や会計士は「数字のプロ」として、社長が目指すゴールに向けて何が必要かというアドバイスができる立場にいます。
単に面倒な経理の書類を間違いがないかどうか見てもらえばいい、というのではなく、「数字の得意な参謀役」という視点で対応すべき、と公認会計士・税理士として1000社以上の経理を見てきた町田孝治さんはおっしゃいます。

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社長を憂鬱にさせる税理士・会計士

税理士を交代され、初回の面談をしたあるお客様から「こんなにじっくり話を聞いてもらえるなんて!」と喜びの感想をいただいたことがありました。
そのお客様は、前に頼んでいた税理士とコミュニケーションが取りづらかったそうで、「以前は、税理士との面談が憂鬱だった」とまで言っていました。
どうやら以前の税理士は常に上から目線で、「また前回と同じ間違いをしています」「この前お願いした資料、まだできていないんですか」「こんなに利益が出ているのですから、もっと経費を使ってください」などと怒られてばかりだったそうです。
月に一度、面談に向かうときはいつも「ああ、また今日も怒られるのか……」と足取りも重くなったという話でした。
これでは、社長のテンションが下がってしまい、前向きな気持ちで経営に取り組むエネルギーを奪ってしまいます。
税理士の立場上、資料が揃っていないと困るのはわかります。
しかし、「憂鬱だ」と社長に言われてしまい、コミュニケーションも取りにくくなってしまうというのでは問題です。
あなた自身は税理士や会計士とのコミュニケーションはうまく取れていますか?
「難しい専門用語がたくさん出てきて、本当はよくわからないけど、わかったふりをして聞いている」という社長も少なくないようです。

税理士・会計士を選ぶときのポイントはいくつかあります。
「仕事ぶりが優秀である」
「会社の業種に強い」
「会社の近所にある」
そして、「難しい経理の資料をシンプルにわかりやすく説明してくれる」というのも大事な要素です。
でも、最も重要なのが「コミュニケーションが取りやすい」かどうか、としても言いすぎではない、と私は考えています。

「社長を元気にする」ことを、面談での最も大きな目的と考えている弊社では、1時間の面談のうち半分以上はお客様の話をじっくり聞き、アドバイスする時間にあてています。
経営上のアドバイスを行うためには、お客様が今どんなことを考え、何をやろうとしているのか、悩みは何か、ということを把握することが必要だと考えるからです。
特に初めての面談では、起業の経緯や5年後、10年後にどんな会社になっていたいかなど、社長の想おもいをしっかりとうかがうようにしています。
その際に用いるのが「夢」という言葉です。
「ビジョン」が会社としての夢、パブリックな響きをもつものであるのに対して、「夢」は子供の頃や起業時に思い描いていた理想や憧れを思い起こさせる力があるようで、みなさん、様々なことを楽しそうに話してくれます。
「仕事とは関係ないんだけど」と前置きをして、
「世界中に家を持ちたい」
「自由に休みをとって、のんびりゴルフを楽しみたい」
といったことを話される方も多いのです。
それこそが私の狙い。
「世界中に家を持ちたいのなら、そういう事業展開をしていきましょう」
「自分1人で抱え込まないで、任せられる社員を育てましょう」
と、仕事に絡めたアドバイスをすると、社長の顔がパッと輝きます。私が「この仕事を選んでよかった」と思う瞬間です。
荒唐無稽に思っていた夢、自分でも忘れていた夢、人には話せなかった夢。そうした夢を仕事で実現できる。
これは会社を私物化することではなく、会社の活力になることです。
「よし、実現するために一緒に頑張ろう!」と意欲が湧いてきて、そのための具体的な道筋を、数字のプロとして一生懸命考え、提案することができます。そうしたきっかけになる「夢」を顧問税理士・会計士について語れないとしたら、または顧問税理士・会計士も社長に聞かないとしたら、その関係は残念なものに私には見えます。

また、少し横道にそれますが、税理士と会計士の違いについて説明させてください。
税理士も会計士も「士業」と呼ばれる、国家資格がないとできない仕事です。
資格取得にあたっては、税理士が税法中心の試験科目であるのに対し、会計士は幅広い会計や財務の勉強が必要になります。また、会計監査は会計士にしか許可されていません。
会計士も税理士登録をすれば税理士として仕事ができるので、税金についてのアドバイスをしたり、税務や会計の書類を作ったりと、名前は違っていても実際はほとんど同じような仕事をしていることが多いと言えます。
でも、税理士であっても税金だけでなく、コンサルティングに優れている人もいます。一方、会計士であっても、「頼まれているのは、税金関係だから」と税金についてのみ、黙々と任務を遂行される人もいるでしょう。
つまり、「税理士か、会計士か」ということではなく、ここでも重要なのは、いかにコミュニケーションを取れる相手であるか、ということ。重視すべきは、相手とあなたとの相性ということなのです。

『会社のお金を増やす 攻める経理』より抜粋・編集)

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(編集部 杉浦)

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