見出し画像

お金をかけずに家で野菜を育ててみる。

こんにちは、フォレスト出版編集部の杉浦です。

おうち時間が増えて、庭の手入れにいそしんでいる、おかげで花が例年以上に咲いている、なんていう声を聞きます。ご近所に、バラを上手に育てているロザリアンなお宅が多く(バラ愛好家をロザリアンと呼ぶそうです!)、毎年この時期は、散歩がてら見て回るのが楽しみです。一年のうちのわずかな開花時期のために、とげのある茎を塀やフェンスに誘引したり、蕾を間引いたり、ロザリアンの方々のバラ愛はすごいなぁーと思います。

バラなどの観賞用の植物だけでなく、ベランダで野菜やハーブを育てだした、なんていう声も聞きます。おうち時間が増えたというだけでなく、節約のためとか、土に触れると心身の健康にいいとか、自分が育てた野菜で料理する充実感とか、丁寧な暮らしとか、いろんな理由があると思います。

ロシアには「ダーチャ」という「畑付きのセカンドハウス」を持つ風習があり、普段は都市に住んでいても、週末は田舎にあるダーチャに行って、畑仕事をするのだそう。ダーチャはソ連時代に政府から市民に無償で提供されたもので、土地面積は1軒あたり平均600㎡。畑ではさまざまな野菜やハーブ、果物、花などを育てているそうです。そこでの収穫量は、ジャガイモを例にとれば、ロシア全体の生産量の9割近くをまかなうほど。ソ連崩壊後の混乱期、モノ不足で商店に食料がなくなるという危機を乗り越えられたのも、多くの人がダーチャで野菜をつくっていたからなのです。(ダーチャの説明はこちらから引用・抜粋させていただきました)

以前、こうしたダーチャだったり、日本の食糧自給率の低さとか、農薬使用量の話などを聞く機会があり、イケイケどんどんなイメージのフォレスト出版なのに農に関わる本をつくったことがあります。(フォレスト=森だけに、むしろ自然な流れだったのでしょうか)

こちらの本で扱ったのは、【無肥料・無農薬栽培】というもの。「自然栽培」「自然農」などとも呼ばれます。無農薬はみなさんなじみがあるかと思いますが、「無肥料って?」と思いますね。非常にざっくりな説明になりますが、肥料は、作物を大きく丈夫に育てるために与えるもの。でも実は逆効果で、肥料によって作物の基礎体力が奪われ、結果的に虫などに弱く、また栄養価も低いものができてしまう……という話なんです。書籍が大ヒットして映画にもなった『奇跡のリンゴ』がまさに無肥料・無農薬栽培です。

著者の岡本よりたかさんは、「無肥料・無農薬栽培はベランダでもできる!」と、これまでたくさんワークショップを開いてきました。

(ワークショップに参加された方のブログ記事を貼り付けさせていただきます。ベランダでどんな感じで育てるのかよくわかります)

無肥料・無農薬栽培にたずさわる方々は、食の安全や環境汚染などに意識の高い方々が多いです。が、なんと、この本をつくってわかったのですが、うちの父がいつの間にか無肥料・無農薬栽培をしていたんですよ……。定年後に趣味で小さな畑をはじめたのは知っていたのですが(基本的に自分たちで食べ、あとは近所におすそわけする程度の規模です)、その栽培方法がまさかの無肥料・無農薬栽培だったんです。

当然、なんでやってるのか(むしろなんで知ってるのか)聞きますよね。そして返ってきた答えは……。

「肥料も農薬も必要ないなんて、お金かからなくていいじゃん」

どーーーーーーん。たしかに! そして、明快!

「(近所の)○○さんもやってるよ」とのこと。思想や理念といったところではなく、なかなか俗っぽい理由でも無肥料・無農薬栽培が広まっていることを知ったのでした。でも、これってかなり重要ですよね。リアルな意見だなと思いました。

アフター・コロナ、ウィズ・コロナ。これからどんな世界になっていくのか関心が高まっていますが、「自然」はひとつの大きなキーワードなのではないかなと思います。家庭菜園をはじめてみたいという人もたくさんいらっしゃるかなと思い、今日はこんな話をシェアしてみました。


(Photo by PHÚC LONG on Unsplash)

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?