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乾燥肌やアトピーなど、肌が弱っている人ほど「植物エキス」に注意してほしい。

前回の記事で、「自然のものなら当然体にやさしいし、肌にもやさしいはず」というイメージだけで、オーガニックコスメ、ナチュラルコスメ、自然派化粧品を選ぶことは危険であることをお伝えしました。

特に、オーガニックコスメや自然派化粧品に配合される成分が「植物由来であること」「成分を肌の内部まで届ける浸透剤と併用されていること」に問題があるというお話でした。

植物には「植物毒」と言われるものがあります。薬が、薬として効果を発揮するときもあれば、ときに毒にもなることもあるのと同じこと。植物に美容作用があるととらえることもできるし、植物毒の刺激でシミになる、ということもあるのだそうです。

本日は、「植物由来であることが危ない理由」について詳しくご紹介します。

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たとえばこんな「植物エキス」が怖い 

 現代は弱肌の人が増えています。
昭和30年代くらいまでは、皮膚のトラブルといえば、ひび割れ、あかぎれ、水虫などでした。いずれも栄養状態が関係していました。表皮の形成に重要なビタミンAも不足しがちな時代でした。
 現代は、飽食の時代ですが、「石けんで顔が洗えない」とおっしゃるほど肌の弱い方がいます。合成界面活性剤の乱用などにより、皮膚のバリアが壊れているためです。
 こうした時代には、余計に植物エキスを使えない人が増えてきます。
 有毒な成分を含むエキスでも、健康な皮膚のバリアがあれば、皮膚に浸透しないで済みますが、バリアが極端に弱っていると、有毒な成分がスッと浸透してしまうのです。
 化粧品の原料として使われている植物には、有毒な物質を含むものがたくさんあります。
 たとえば、「コンフリー」という牧草です。
 ひと昔前に健康食品として有名になりました。ですが、肝機能障害等を起こす例があり、イギリスやカナダでは飲食が禁止になりました。日本でも厚生労働省や農林水産省が摂取しないように注意を呼び掛けています。
 一方で、コンフリーには、皮膚表面を柔軟にする作用があるといって、現在でも皮膚柔軟剤として化粧品に利用されています。
「アロエ」も要注意の植物です。健康や美容によい面もありますが、皮膚につけると炎症を起こしやすく、生理中や妊娠中の方は避けたほうがいいといわれます。
「コウジ酸」という美白成分も、肝機能障害と発がん性で禁止になりました。しかし、なぜか薬用化粧品への使用のみ認められています。
 食品の着色剤として使われてきた「アカネ」という植物の「アントラキノン」という色素も、肝機能障害の問題で使用禁止になりました。

 植物エキスの怖いところは、あとで危険性がわかる、という例が少なくないこと。使い始めたときは、安全だと思っていても、使い続けているうちに、症状が出てくることもあります。
 すると、メーカーはあわてて、
「あっ、ごめんなさい。実はあれは危ない成分でした!」
といってくるのです。白斑被害もまさにそうでした。つまり、いつ「危ない成分」に変わるかわからないのです。
 皮膚から浸透した毒物は比較的、体中にまわりにくいものではあります。それでも、健康を害する可能性があり、しかも、肌への効果もあまり期待できないのであれば、わざわざ化粧品に入れる必要はないと思います。さらにいえば、わざわざ肌のバリア機能を壊してまで入れる必要はありません。逆効果です。
 化粧品メーカーや原料メーカーは地球上のさまざまな植物を研究し、エキスを開発しています。ただし、化粧品の成分として開発していても、必ずしも安全性のテストをしているわけではありません。

「植物エキス」が複数になると危険度はさらにアップ

 植物エキスを少し入れるのではなく、何種類も大量に入れた化粧品も見かけます。
 見かけるたびに、「どうして、なんのために、これだけのエキスを入れているのかな」と疑問に思います。
 エキスは毒を弱めて利用しなければいけませんから、エキスについての基本的な知識はもちろん、化粧品に対する考えをしっかり持っていないと使いこなすことができません。
 そんなに簡単に使うべきではないし、使っても意味がない場合もあります。
 化粧品にいろいろな植物エキスが多量に含まれている場合は、基本的には使わないでいただきたい。とくに、洗顔やメイク落としといった肌のバリア機能が弱まるときに使う化粧品は要注意です。化粧品は基本的には割り算や引き算でつくります。複数の成分が合わさることで、その効果は計算上より大きなものになる。それは、危険なことです。
 しかし、化粧品のことがわかっていない化粧品会社は、ただ、足し算や掛け算をしているだけのように見えます。
「効果のあるものをとにかく入れてしまおう。そうすれば、保湿とか美白とかシワとりとか、たくさんの効果がある化粧品ができて、お得な感じがするからね」
「耳当たりのいい成分をたくさん入れよう。そうすれば、なんとなく女性が気に入ってくれるかもしれないからね」
 と短絡的に考えているようにしか思えないのです。
 最高級のお寿司と、最高級のステーキを、1つの鍋に入れたところで、最高の料理にはならないのと同じです。
 どうしても使いたいと思う植物エキス入りの化粧品と出合ったのなら、その化粧品の成分や説明をよく読んでみてください。
 ほんとうにエキスにこだわってつくっているのであれば、どうしてこのエキスと、このエキスを合わせたのか、どうしてその分量で配合したのか、というこだわりが読めるはずです。説明に納得ができたとき、はじめて使うようにしてください。
 植物エキスは毒性もある。慎重すぎるほど慎重に、気をつけて選ぶ必要があります。

『ウソをつける化粧品』(小澤貴子 著、2015年刊行)より抜粋・編集

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(編集部 杉浦)

Photo by Tiara Leitzman on Unsplash

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