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チキンナゲットの相棒

今日マックに行ってドライブスルーをしたら
全てのストローがなかった。


ありえない!どうしてくれるんだ!
と思ったと同時に思い出した。


鬼店長事件である。


20代前半の時に勤めていた引越会社の話だ。
その日は事務所での電話番の仕事であった。
その時は大体朝誰かがみんなの朝食を
近所のスーパーやらコンビニやらに
買いに行く風習があった。

その日は下っ端の僕が
買い出しに行くことは
容易に想像できた。


鬼店長「きょうはどうすっかねー
    朝マックでもいっちゃう??」


家来達「いいですねー、いっときますか?」


の一言で朝マックに決定した。
今日は機嫌が良さそうである。


僕がみんなの注文を聞き
原付きで20分ほどの場所にある
イオンに入るマックへと買い出しに出た。


無難に買い出しを終え
帰ってきて全員に配ろうとした
その時である。


僕は店長の前で1000回
袋の中と店長の顔を往復した。


どこにもないのである。
ソースだ。ナゲットのソースだ。

あろうことかナゲットを頼んでいるのは
店長のみである。代替が効かない。


僕は店員を呪った。
いやナゲットを頼んでいない自分も呪った。

しかしこの現実空間が変化することはない。
僕は勇気を振り絞った。


僕「て、店長!ナゲットのソースがありません!」

鬼店長「はぁ!そんなんありえんやろ!!電話せぇー!!」

早速クレームの電話である。
仮にも接客業にも関わらず
クレームを入れることには
とても積極的なのだ。


僕は逆らえる事もなく店舗に電話した。

僕「すいません、先程ナゲットを買ったものなんですけど
  ソースが入ってなくてですね・・・」


店員「申し訳ありません!お届けすることは難しいのですが
   今度来店した時はナゲットを無料とさせて頂きます。」


と言われたのだ。

僕「???」
 「ということはこのナゲットはどうしたらよいのでしょうか??」


店員「召し上がって頂いて結構です」

な、なんとナゲットがタダになったのだ!
ラ、ラ、ラッキー!!!
店長に喜びの報告ができる!

鬼店長はとてつもなくケチなのだ。
そんな店長にこのナゲットは無料と言うことを
伝えることができる。


今日一日の業務も平和な時間となることを確信した。

早速報告する。


僕「店長やりましたよ!このナゲットは実質タダになりました!
  後日レシート持っていけば無料でナゲットもらえます!」

意気揚々と伝えた。
すると店長の表情が
みるみるうちに変わっていく。

ワナワナワナ
ワナワナワナ
ワナワナワナ

この表現が一番当てはまるだろう。
鬼店長は一瞬で怒りをMAXへ上げ
それを言葉にせず数秒溜め込んだ。

そして
その怒りが僕へと発射された!


「ソースのないナゲットなんぞ食えるか!!ボケェーー!」

フロア中にその
罵声は響き渡った。


マジかマジかマジか
マジかマジかマジか


僕は急いで原付きに飛び乗った。
再度マックにソースを取りに出かけた。
とてつもなく仕事は忙しく
1分1秒も惜しい職場環境であったが
鬼店長は僕を引き止めることはなかった。


チキンナゲットとは
ソースとセットだったとのかと
初めて気付いた。

たしかに僕も
ソースのないナゲットを
5個全部食べたことはない。
そう思った。


チキンナゲットにとってソース
ソースにとってチキンナゲット。


お互いに欠けることの出来ない
最高のペアであることを
社会人アマチュアの僕に
店長は教えてくれたのだ。

そして今ストローがないコーヒーが
目の前にある。


嫁はシロップとミルクを入れて
かき混ぜるストローがない
コーヒを持ち

「どうぞ」


と言って美味しそうにポテトを食べていた。
ドリンクとストローはセットではなかったようだ。


出演 鬼店長


朝の7時から鬼MAXテンションで
キレることができる希少な存在。
クレーム処理は極端に嫌いで
管理職として盾になることは一切ない。

そして何故か僕の事を気に入っている。




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