本の虫12か月 1月 31 若月房恵 2024年1月29日 12:19 (じぶん用。去年は面倒になって、九月くらいで途絶えてしまったので、ことしはひと月ごとに区切って、写真で上げてみる。)信濃の国衆の血を引いているので、面白く読んだ。遠い先祖、保科氏や井深氏のこととか。武田が滅んだあとの、甲斐信濃仕分け。北条、上杉、徳川が取り合う。そこに喉にささった骨のような真田とか、ちいさな国衆たち。いつもわたしの心のなかに、すてきな女性として、文鎮のように置いているひと、片山廣子さん。借りて読んだ本を、ついに買っちゃった。短歌にばかり惹かれていたけれど、次はエッセイを読んでみたい。と思ったら、二月にエッセイ集が、ちくま文庫から出るそうですよ! Amazonで予約しときました! ちくま文庫さん、ありがとう!チェコ人のお友だちに、お餞別としていただいた本。わたしが刺し子の布を贈ったのを、とても喜んでくれて、「チャペックは、山椒魚戦争と園芸家とイギリス紀行は読んだけど、ロボットはまだ」と言ったのを、覚えていてくれたのだ。チェコの小説……と考えて、「あ! 存在の耐えられない軽さを読んだよ!」とかいうはなしをして、仲良くなったMさん。帰国してしまって、さみしい。須賀敦子さんを読んでいる。彼女がその死のまえに、ほんとうに書きたかったのはこんなことじゃなかった、と言った言葉を、かしら石のようにして、考えている。(ギンズブルグの旧姓はレーヴィ) そういえばむかし、プリモレーヴィの本を読んだのであった。一瞬親戚かしら、と調べた。レーヴィというのはレビというだけの、ありふれたユダヤ系の名前で、べつに親戚ではなかった。この本は、こんなくだらないことで、お茶を濁す本じゃないと分かっているからこそ、こんなくだらないことしか書けない。 友だちが、ヴェイユと言った。同時期に読み漁っている須賀敦子さんも、ヴェイユと言っていた。道が交差するみたいに。神学的に、どうこう言う気はない。ただ、このひとも同じ真理を感じていて、そしてこのひとはそれに、イエスキリストという名前を見つけていたらしいこと。道の辿り着く先の、近さと遠さを思う。幼いころのわたしの周りにいたひとたちは、カトリック左派的な雰囲気がただよっていたので、なつかしいかんじがする。ネットでよく記事をよんでいたので、借りてきた。アメリカ兵が、硫黄島の日本兵の頭蓋骨をお土産に持っていった、というところで、唖然としている。硫黄島に核が配備されていた、なんて知らなんだ。あと、船だと小笠原諸島まで一日かかるけど、飛行機だと一時間なのねえ。だとか、どうでもいいことを。この著者の、硫黄島への熱意には頭の下がる思いである。気になっていたけど、少女趣味すぎて、わたしはもうちょっと……甘ったるすぎる。モンゴメリのエミリー三部作に似ている。ことばとイメージはとても美しい。でも読んでいてときどき食傷しちゃう。二年越しの積ん読、消化! さあ、次だ…。さいごの大審問員のところは、もういちど読み返さなくては。神がかり行人について、戦争と平和のおかげで理解できて、うれしかった。わたしにはエルフリーダという友だちがいて、彼女は戦争末期、幼児だった頃に、赤軍からの逃避行を経験したという、ドイツ人である。サンテックスが空のうえから見ていた、避難民のはなし。いつも、根っこを心なかに、心のなかのキリストのうちに持って、どこにでも行けるような、生き方が出来なくてはならない、というふうに、遠いことにも思えない(それは戦争だけでなく、災害でも起こりうるのだ)、根こそぎにされたひとたちの話を読みながら。須賀敦子さんを案内人兼翻訳者にして、イタリアの詩を読む。なんという贅沢な小旅行。サバ詩集を、借りてきたいなあ、と思っていたけど、貸し出し中だったのかな。次はそれを読む。How sickning…ローマカトリック教会の醜さ。ギンズブルグ以降、イタリアのユダヤ人や、イタリアの近代史に興味がある。メシアニックジューというひとたちがいる。イエスをメシアとして受け入れたユダヤ人のこと。しかし彼らは、このようにカトリックに強制的に改宗させられた中世的な存在ではない。使徒パウロが言っている、福音はユダヤ人に帰っていくのだと。それは福音であって、宗教ではない。生きたキリストであって、時がくれば、彼らは自然に目の鱗がおちて、みずからの同胞であるキリストを受け入れる、と。われわれ異邦人への恵みの時が、尽きたときに。本じゃない番外編。家事をしながら、コテンラジオを聴いている。第一次大戦、フランス革命、日露戦争、アメリカ開拓史などをきいて、いまユダヤ人迫害を。歴史の、大きな見方をする語りかた。「学問」ではない、学びかた。 ダウンロード copy この記事が参加している募集 読書感想文 182,964件 今月の振り返り 10,045件 #写真 #読書 #読書感想文 #読書記録 #歴史 #イタリア #ロボット #今月の振り返り #読んだ本 #本棚 #チェコ #ドストエフスキー #カラマーゾフの兄弟 #須賀敦子 #硫黄島 #シモーヌ・ヴェイユ #カレル・チャペック #片山廣子 #平山優 #ナタリア・ギンズブルグ #エドガルド・モルターラ誘拐事件 #天正壬午の乱 #硫黄島上陸 #野溝七生子 #デミーンの自殺者たち #エドゥガルド・モルターラ誘拐事件 #モルターラ事件 31 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? 記事をサポート