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想定外を歓迎する


2024年4月12日(金)朝の6:00になりました。

もう誰の言うことでも予想つくくらい、長いあいだ悩んだんだもんね。

どうも、高倉大希です。




学校の先生は、トラブルを嫌います。

子どもの喧嘩がはじまれば、すぐに仲裁に入ります。


自分のクラスで喧嘩が多いと、指導力が足りていないと思われてしまうからです。

対応に時間を取られて、当初の予定が狂ってしまうこともよくあります。


先生からしてみれば、トラブルなんて起こらないに越したことはありません。

出てこようとしている芽は、速やかに摘むのがいちばんなのです。


「トラブルが起こらない社会」を目指すのが「心の教育」で、「トラブルが起きたときに解決できる人材がたくさんいる社会」を目指すのが「行動の教育」であり、民主主義教育です。だから学びの機会を増やしてあげるためにも、トラブルは起きたほうがいいんです。小さな対立はいっぱいあっていいんです。

苫野一徳、工藤勇一(2022)「子どもたちに民主主義を教えよう」あさま社


しかし、どれだけ注意深く先まわりしようとも100%予防することはできません。

それでも起こるのが、トラブルです。


起こること自体が悪いことだと思っていると、いざ起こったときに慌てます。

なんとしてでも沈静化しなければならないと、思い込んでしまうのです。


くり返しになりますが、トラブルは起こるものです。

起こることが悪いのではなく、起こって当たり前だと思っておかねばなりません。


一度習得したことを「捨てる」タイプの変化のことを、「学習棄却(アンラーニング)」と言います。アンラーニングは、言うは易し、そう簡単には起こりません。日常のなかで大きな不都合やトラブルが起きない限り、人は自らの認識を変えないため、無自覚のうちに皮膚に蓄積した垢のように自覚されない認識は“こすり落とす”ことでしか気づけません。

安斎勇樹、塩瀬隆之(2020)「問いのデザイン 創造的対話のファシリテーション」学芸出版社


いざ起こってしまえば、あとはいかに上手く活用するかを考えるだけです。

トラブルから学べることは、案外たくさんあるはずです。


現状に慣れて先まわりする力がつくと、トラブルは起こりづらくなります。

目の前で展開されるほとんどすべてのできごとが、想定内に収まります。


たしかに、安心することはできるのかもしれません。

しかしそれは、現状が変わることを怖れるようになるという意味でもあります。


デューイは「不確定な状況」をかき乱された、困った、曖昧な、混乱した、矛盾に満ちた、不明瞭な状態、などと表現している。モヤモヤなどのわからない状態を不安と感じるかワクワクと感じるかは個人差もあるかもしれないが、わからない、わかりたいという気持ちこそが深い学びを引き起こしていくのである。

藤原さと(2023)「協働する探求のデザイン」平凡社


想定内に収まることが増えるほど、想定外のことを怖く感じるようになります。

多くの学校の先生が、トラブルを嫌う理由も同じです。


ドラゴンボールの主人公、孫悟空はこう言います。

「オラ、もっと強いやつと戦いてぇ」


想定外を歓迎する。

じつはこれがいちばんの、想定外対策なのかもしれません。






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