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「トラブルはチャンスだ」はただの精神論だと思っていた


2024年3月27日(水)朝の6:00になりました。

幸福は安定せず、暫定的なり。

どうも、高倉大希です。




トラブルは、チャンスだ。

このような言葉を聞くたびに、うんざりとした気持ちになっていました。


ポジティブ教の信者たちが、都合よく解釈しようとしている。

ずっと、こう思っていたのです。


たしかにそのような人も、一定数は存在します。

考えることを放棄して、耳触わりのよい言葉に簡単に食いついてしまいます。


最近気づいたんですけど、面白い人って「ちょっと待てよ」と思うことが多いなと。みんなと同じものを見ても、違うふうに見えてしまう。「よい科学とは、みんなが見ていることを違った見方で見ることだ」という言葉があります。みんなが見ているものに対して「ちょっと待てよ」と思う。そして「そもそもそれって何なのか」と考える。

石川善樹(2019)「問い続ける力」筑摩書房


トラブルは、チャンスだ。

この考え方も、あながち間違いではないのかもしれない。


そう思うようになったのは、小学校の学級担任を務めるようになってからでした。

数十人の小学生と一緒にいれば、トラブルなんて自動的に発生します。


そんなとき、子どもと一緒になって慌てる先生の姿を見て違和感を抱きました。

子どもが学ぶチャンスを、大人が潰してしまっているように見えたのです。


「トラブルが起こらない社会」を目指すのが「心の教育」で、「トラブルが起きたときに解決できる人材がたくさんいる社会」を目指すのが「行動の教育」であり、民主主義教育です。だから学びの機会を増やしてあげるためにも、トラブルは起きたほうがいいんです。小さな対立はいっぱいあっていいんです。

苫野一徳、工藤勇一(2022)「子どもたちに民主主義を教えよう」あさま社


トラブルが発生すると、わたしたちはいち早く解決したいと願います。

他の人にバレたくないという気持ちも働き、隠蔽が起こります。


トラブルは悪いことだと、思い込みすぎています。

たしかに、トラブルを想定して先まわりすることは大切です。


しかし、どれだけ想定していようともイレギュラーなトラブルは必ず発生します。

トラブルが発生することは、至極当然のことなのです。


風はろうそくの火を消すが、炎を燃え上がらせる。それは、ランダム性、不確実性、無秩序も同じだ。それらから隠れるのではなく、利用しなければいけない。炎になって、風が吹くことを期待するのだ。

ナシーム・ニコラス・タレブ(2017)「反脆弱性 上」ダイヤモンド社


トラブルが起こらないことが、よいことだとは限りません。

この前提に立っていると、トラブルが起こったときに慌てふためいてしまいます。


トラブルなんて、どんと来い。

このくらいの、心構えが大切です。


トラブルを起こした人が、白い目で見られる。

こうなった瞬間から、コミュニティは窮屈な場になっていきます。






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