槙緒

余裕のない人

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記事一覧

祭り

 週末になるとあちこちからお囃子が聞こえる季節がやってきた。今住んでいる地域は昭和の初め頃からだんじりが始まり、今では神社の祭りに欠かせない。春と秋の例大祭の時…

槙緒
4日前

弁当と給食

 毎朝弁当を作っている。子どもたちを起こす30分と少し前、スマホのアラームが鳴る前から目は覚めている。寝坊したらどうしようという思いが覚醒に繋がっているのだが、目…

槙緒
2か月前
1

新年

 12月のうちに1度はnoteを書きたいな、と思いつつも師走とはよく言ったもので、あっという間に時が駆け抜けていって年が明けた。今回は帰省はせず家でのんびりと過ごす年…

槙緒
4か月前
1

冬の海

 家の前の坂道に出ると遠くに海が見える。車だと10分少々で一番近くの海沿いに出る距離だが、ここは山に近く海まで高層の建築物がないので遠くまでよく見渡せる。朝のごみ…

槙緒
4か月前
1

 朝、弁当に梨を入れようと手に取った。 先日実家の母が送ってくれたものだ。10kg箱にこの時期旬を迎えた2種類の梨が詰め合わせになって届いた。母方の親戚の農園に注文し…

槙緒
5か月前

栗笑う秋

 路地の角を曲がるとふいに金木犀が薫る。八百屋の店先では梨や柿、林檎が目立つ位置で売られるようになる。暑さも落ち着いて朝晩は冷えるほどで、ようやく秋の風情が感じ…

槙緒
6か月前
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おでんの日

 夕飯は久しぶりにおでんにした。残暑が長く厳しかったのと、折からの野菜の価格高騰のあおりを受けて高値になっていた大根に手を伸ばしづらかったのだが、朝晩などしっか…

槙緒
6か月前
1

秋の便り

 月曜日。三連休の最終日だったが、子供は大会前なので午前中部活に出かけていた。相変わらず暑い日が続き、少し冷たくなってきていた水道水もまたぬるくなっている。  …

槙緒
7か月前

渋滞

 三連休の日曜日。雲はあるがよく晴れてジリジリと照りつける陽はまだ夏のものだ。午前中、友達と映画を観に行くので送ってくれと子供に頼まれていたので車を出した。  …

槙緒
7か月前

垣を結んで

 土曜日。9月に入ると子供達は行事が目白押しになる。この日は学校公開日になっており同時に合唱コンクールも行われるので、同じクラスに子供が在籍している友人と誘い合…

槙緒
7か月前
1

夕映の街

 金曜日。夕暮れ時に出かけてふと見上げた空には、薄い雲が筆でサッとなぞったように拡がっていた。西の空から夕陽がさして、雲がピンクとグレーのまだらに染まって、まる…

槙緒
7か月前
4

手土産を買いに

 風の強かった木曜日。洗濯物が飛んでしまうのが怖くて部屋干しして出かけた。ネットではドラム式乾燥機より縦型+乾太くん(乾燥機)のほうがいいという意見が話題になって…

槙緒
7か月前
1

紅茶を淹れる日

 水曜日。台風が近づいており天気が不安定で、風が強かった。雨が降り出しはしなかったが、雲が空を覆って大気も緩く、どんよりとした一日だった。  日常のしんどさにウ…

槙緒
8か月前
1

甘いが苦い

 火曜日。風は強かったが思ったよりも天気が良かったので、厚手の衣類を洗濯した。午後から干しても乾いてくれるのが本当に有難い。夫の出張が近いので、色々と準備をしな…

槙緒
8か月前

宵闇散歩

 月曜日。ようやく2学期が本格的に始まり出した。毎朝弁当を作る生活も再開して、とりあえず5時半〜6時に起きている。コロナ禍真っ只中の頃は更に1時間早起きして散歩して…

槙緒
8か月前

卵焼きの味

 投稿をうっかり忘れて連続が途切れてしまった!仕方ないのでとりあえず日付は無視して日記だけはあげる事にする。   日曜日。9月になったというのに35度を超える暑…

槙緒
8か月前
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祭り

祭り

 週末になるとあちこちからお囃子が聞こえる季節がやってきた。今住んでいる地域は昭和の初め頃からだんじりが始まり、今では神社の祭りに欠かせない。春と秋の例大祭の時期になるとだんじりの練習に熱が入る。集落ごとにだんじりをもっており、それぞれ意匠を凝らした木彫りの飾りのついただんじりを鳴り物にあわせて町内を曳行する。小学生になると揃いの法被でだんじりに参加できるようになる。私の子供達も小学生の頃は何度か

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弁当と給食

弁当と給食

 毎朝弁当を作っている。子どもたちを起こす30分と少し前、スマホのアラームが鳴る前から目は覚めている。寝坊したらどうしようという思いが覚醒に繋がっているのだが、目は覚めても結局布団の中で10分ほどうだうだとしてから起きるのが常だ。

 冬のキッチンは寒く、夏のキッチンは暑い。今の時期はエアコンを入れて5分ほどして部屋が多少暖まってきたらエプロンをつけて弁当を作り出す。早めに冷ましたいご飯をわっぱに

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新年

新年

 12月のうちに1度はnoteを書きたいな、と思いつつも師走とはよく言ったもので、あっという間に時が駆け抜けていって年が明けた。今回は帰省はせず家でのんびりと過ごす年末年始となった。

 大晦日は朝から日付が変わるまでお節を作っていた。といっても一日中台所に立っていたわけではなく、途中で買出しをしたり出しそびれていた年賀状の印刷や投函をしたり、その合間合間でだらだらと作業を続けていた。余裕を持って

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冬の海

 家の前の坂道に出ると遠くに海が見える。車だと10分少々で一番近くの海沿いに出る距離だが、ここは山に近く海まで高層の建築物がないので遠くまでよく見渡せる。朝のごみ出しの際にいつも見る景色なので殊更に感動はないが、雨上がりの今朝は海が白く煙ったように輝いて見えていた。

 夜半は雨音が気になって何度か目が覚めた。早朝に出勤した夫も同じだったらしい。夫が家を出る頃には雨が上がっており、傘も持たずに家を

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梨

 朝、弁当に梨を入れようと手に取った。
先日実家の母が送ってくれたものだ。10kg箱にこの時期旬を迎えた2種類の梨が詰め合わせになって届いた。母方の親戚の農園に注文してくれたのだった。
日持ちがすると言われてすぐに食べなかった方の、王秋という梨だった。大きくてざらざらとした手触りの赤梨だ。少し面長のその梨を半分に割ってみると、思ったより熟れていた。弁当用に少し取り分けて、残りは早めに食べようとマリ

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栗笑う秋

栗笑う秋

 路地の角を曲がるとふいに金木犀が薫る。八百屋の店先では梨や柿、林檎が目立つ位置で売られるようになる。暑さも落ち着いて朝晩は冷えるほどで、ようやく秋の風情が感じられるようになってきた。昨晩の食卓には柿のサラダや無花果のケーキを並べたが、今年はまだあれを食べていない。秋の味覚の代表格ともいえる、栗のことだ。

 スーパーでも八百屋でも栗自体は見かけている。鬼皮のついたままパックに入ったもの、渋皮まで

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おでんの日

おでんの日

 夕飯は久しぶりにおでんにした。残暑が長く厳しかったのと、折からの野菜の価格高騰のあおりを受けて高値になっていた大根に手を伸ばしづらかったのだが、朝晩などしっかり冷え込むようになってきた。買い物に出かけた商店街の八百屋でほどほどの質の大根がほどほどの価格で売られているのを目にして、これはもうおでんを作るしかないと決めた。コンビニのおでんがよく売れるのは真冬よりも秋から冬にかけてらしいと夫が何かで見

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秋の便り

秋の便り

 月曜日。三連休の最終日だったが、子供は大会前なので午前中部活に出かけていた。相変わらず暑い日が続き、少し冷たくなってきていた水道水もまたぬるくなっている。

 実家から松茸が届いた。毎年この時期になると母が送ってくれる。田舎のことで、毎年採りに行っては我が家に送ってくれたり、親戚やお世話になった人に配っている。

 子供の頃は好き嫌いが多く茸類全般が苦手で、当然松茸も食べなかった。運動会などに母

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渋滞

渋滞

 三連休の日曜日。雲はあるがよく晴れてジリジリと照りつける陽はまだ夏のものだ。午前中、友達と映画を観に行くので送ってくれと子供に頼まれていたので車を出した。

 観に行くのは春に封切りした映画らしく、既に上映回数は午前の1回のみだった。9時半頃に家を出て子供の友達をピックアップし、上映時間までに間に合うように車を走らせた。大きめのショッピングモールなので付近は車通りも多く、駐車場も混んでいるだろう

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垣を結んで

垣を結んで

 土曜日。9月に入ると子供達は行事が目白押しになる。この日は学校公開日になっており同時に合唱コンクールも行われるので、同じクラスに子供が在籍している友人と誘い合わせて学校まで出向いた。

 友人は子供が幼稚園の頃からの知り合いだ。所謂ママ友になるのだが、距離感が程よく、建前なしで何事も話せる数少ない友人だ。色々と相談したり食事に行ったり、子供たちを抜きにしても親しくさせてもらっているので、あまりマ

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夕映の街

夕映の街

 金曜日。夕暮れ時に出かけてふと見上げた空には、薄い雲が筆でサッとなぞったように拡がっていた。西の空から夕陽がさして、雲がピンクとグレーのまだらに染まって、まるで子供が書いた夏休みの宿題のポスターのようだと思った。ざらりとした画用紙いっぱいに拡げた、水で溶いた水彩の絵の具の色をしていた。

 夕焼け空の下、道路沿いで信号待ちをしている自転車に乗る女性は、長袖を着て足元はショートブーツの拵えで、秋の

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手土産を買いに

手土産を買いに

 風の強かった木曜日。洗濯物が飛んでしまうのが怖くて部屋干しして出かけた。ネットではドラム式乾燥機より縦型+乾太くん(乾燥機)のほうがいいという意見が話題になっていたが、我が家は洗浄重視の夫の見立てた縦型洗濯機で乾燥機能なしだ。実家や寮は縦型+乾燥機で実際かなり良かったので本音は乾燥機が欲しいが、晴れた日の外干しは嫌いではない。ただ、外に干せない日には乾燥機が恋しい。

 午前中にギフトを買いに夫

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紅茶を淹れる日

紅茶を淹れる日

 水曜日。台風が近づいており天気が不安定で、風が強かった。雨が降り出しはしなかったが、雲が空を覆って大気も緩く、どんよりとした一日だった。

 日常のしんどさにウワーッとなったので、好きなことを書く!

 幼い頃、クリスマスや誕生日などにケーキを食べる時は母が紅茶を淹れてくれた。カフェインを気にしてだと思うが、中学生になるまで普段は紅茶は勿論コーラなどもあまり飲ませてもらえなかった。ただケーキの時

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甘いが苦い

甘いが苦い

 火曜日。風は強かったが思ったよりも天気が良かったので、厚手の衣類を洗濯した。午後から干しても乾いてくれるのが本当に有難い。夫の出張が近いので、色々と準備をしなければならない。

 夕方に商店街で買い物をした。八百屋の前を通りがかると、つい先日まで店頭の目立つ位置に並べてあった桃がなくなって、代わりに梨が並んでいた。実家からそのうちまた梨の便りが届くだろう。

 SNSにはあちこちのカフェが出す秋

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宵闇散歩

宵闇散歩

 月曜日。ようやく2学期が本格的に始まり出した。毎朝弁当を作る生活も再開して、とりあえず5時半〜6時に起きている。コロナ禍真っ只中の頃は更に1時間早起きして散歩して戻ってから弁当を作っていたが、流石にもうしんどい。

 夕方に用事があり車で出かけた。駐車場に駐めていくつか用事を済ませた後、少し歩いて駅向こうまで足を伸ばす。宵闇が迫っており、薄暗くなった街はあちこちで明かりが灯りだしていた。

 夏

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卵焼きの味

卵焼きの味

 投稿をうっかり忘れて連続が途切れてしまった!仕方ないのでとりあえず日付は無視して日記だけはあげる事にする。 

 日曜日。9月になったというのに35度を超える暑さ。身体も心もまだ夏を引き摺っている。昼は素麺を食べた。早めに食べないと秋になってしまうと思って茹でたのだが、秋が来るような気配は全くない。

 素麺の具に錦糸卵を付けたが、毎日の料理で卵を使わない日は滅多にない。繋ぎや具材の一部としても

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